友人から届いた「毎日とスポニチが4月に共同持株会社を設立する」とのメールを見た瞬間、これは1977年の「新旧分離」と同じようなことが起こったのか、とビックリ。
毎日新聞社の経営状況については、以前から厳しい状況にあると言われてきましたが、今回の毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社(毎日新聞社の連結子会社)の株式移転による共同持ち株会社設立(4月1日予定)は毎日新聞社救済のためなのかどうか。
金融庁のEDINETに毎日新聞社の臨時報告書(2月1日付)が掲載されているのですが、それを読んでもあまりピンときません。
▽金融庁HPへアクセス 毎日新聞社のEDINETコード:E00706
https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1296573429498
※毎日新聞社が金融庁へ提出した臨時報告書より
【提出理由】
当社及び当社の連結子会社である潟Xポーツニッポン新聞社は、平成23年4月1日(予定)を効力発生日として、株式移転により共同持株会社を設立することについて基本的な合意に達し、当社においては平成23年1月24日開催、潟Xポーツニッポン新聞社においては平成23年1月28日開催の両社の取締役会において、「株式移転計画」を承認、決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の3の規定に基づき、臨時報告書を提出するものであります。
【当該株式移転の目的】
当社は、明治5年2月に東京で創刊した「東京日日新聞」と、明治9年2月に大阪で創刊した「大阪日報」の流れをくむ「大阪毎日新聞」が明治44年3月に合併して現在の母体を形づくっております。平成24年2月に創刊140年を迎える「毎日新聞」はわが国で最も歴史のある日刊紙であります。一方、潟Xポーツニッポン新聞社は、昭和24年に大阪で創刊して以降、東京支社、西部支社を設立、その後それらは分離独立して別会社となり、それぞれ「スポーツニッポン新聞」を発行してきましたが、平成16年10月に3社が合併して現在に至っております。
近年、わが国における経営環境の激変は、新聞業界も例外ではなく、新聞の総発行部数も減少傾向にあります。今後、毎日新聞グループの経営基盤をより強固なものにするために、紙メディアを基幹としつつ、電子メディアにもさらに力を入れてまいります。そのために総合紙である「毎日新聞」とスポーツ、エンターテイメント紙である「スポーツニッポン」のメディアコンテンツを有機的、効率的に活用するための組織再編、新聞販売機能の効率化を行い、さらに強固な総合メディアグループとしての毎日新聞グループの形成を目的として、株式移転により共同持株会社を設立するものであります。
「経営が行き詰っているのだから当り前だろう」と言われればそうなのですが、スポニチの経営内容も絶好調というわけでもなく…。朝日新聞では「持ち株会社の傘下に両社がぶら下がり、『メディアコンテンツを有機的・効率的に活用する』ほか、『新聞販売機能の効率化』を進めることを狙いとしている」と報じていますが、何か釈然としません。
子会社・系列会社との合併だと、デイリースポーツと神戸新聞社の例が思いつくのですが、持ち株会社の設立となると読売新聞グループ本社のように東京本社、大阪本社、西部本社、中央公論新社、読売巨人軍という形態になると思うのですが…。
▽毎日新聞とスポニチ、持ち株会社設立へ(asahi.com 2月1日)
http://www.asahi.com/business/update/0201/TKY201102010588.html
▽共同持ち株会社を設立 毎日新聞とスポニチ(スポニチ 2月1日)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/02/01/kiji/K20110201000167970.html
◆1977年に起きた毎日新聞の新旧分離とは
新旧分離は、企業が経営破綻あるいはそれと同等の状態に陥った際に、その企業が行っていた事業に対して、再建あるいは他社(スポンサー)への承継のために行われる私的整理手段のひとつである。
「株式会社毎日新聞社」(旧法人)は、読売・朝日との熾烈な競争などで債務超過に陥ったため、1977年、新法人として「毎日新聞株式会社」が設立された。同年12月1日、旧法人は「株式会社毎日」に社名変更して債務返済に専念、新法人は「株式会社毎日新聞社」に社名変更し、旧法人から事業一切を引き継いだ。8年後に債務返済が一段落したことから、「スポーツ報知(報知新聞)と並ぶ現存する日本最古の新聞」の歴史を守るため、旧法人が新法人を吸収し、元に戻った。