2006年04月26日

オーマイニュース日本版の動き…

 恥ずかしながら、「新聞特殊指定問題」について勉強会をするので講演をして欲しい―という要請を受けて、地方紙の労働組合が主催する学習会に伺って、約90分お話しをしてきました。

レジメはこんな感じです。
@なぜ?いま特殊指定改廃の議論が浮上したのか
 ・特殊指定に定められている(いた)7事業分野
 ・日米構造協議
   米国の狙いは「日本市場の開放」、「独禁法の強化による排他的商習慣の改善」
 ・公取委がいう自由競争の促進=規制緩和
   格差社会の拡大。シワ寄せは労働者への賃金(生活)低下という形で跳ね返ってくる。
A新聞特殊指定問題の争点
 ・新聞社、販売店の経営的問題とジャーナリズムの問題
   一方的な紙面展開。特殊指定がもし撤廃されても「戸別宅配網はなくならない」
 ・新聞協会と国会議員、地方議会との関係
   マスコミ人としてこれ以上「借り」をつくってよいのか?これからの紙面への影響。
 ・議論の場はネット(ブログ)でしか語られなくなってきている
B私たちは、どのような行動をすればよいのか
 ・社内の論議がほとんどされていない
   大手紙の動向で決まるだろうーで良いのか?  対策もない・・・
 ・いままで新聞の売り方、売られ方を知らなすぎた
   読者(部数)を増やすのは販売店に任せっきりだったのでは。経営拡大主義=部数第一主義が、グレーゾーン(販売店との取引関係、違法販売)を拡大させた。
 ・本当は消費税率引き上げの方が脅威
 ・もっと読者の声を聞こう

 どんな話だったのか?自分で言うより同労組が発行した組合ニュースを転用します。

組合は24日、「新聞はどうなる『特殊指定』 学習会」を新館1階多目的ホールで、○○労組の○○氏を講師に迎えて行った。○○氏は「特殊指定改廃の議論が浮上した背景に、日米構造会議による『日本市場の開放』『独禁法の強化による排他的な商習慣の改善』という規制緩和の流れがある。特殊指定に定められている、もしくは定められていたのは@教科書(5月17日廃止予定)A海運(4月13日廃止)B食品かん詰(2月1日廃止)Cオープン懸賞 (もうすぐ廃止予定)D新聞(公取委は6月をめどに廃止、修正、存続−いずれかの結論を出すと明言)E物流特殊指定F大規模小売業告示−の7事業分野。公取委がいう自由競争の促進は、格差社会の拡大につながるものだ。新聞の特殊指定が廃止になったとしたら、乱売合戦、新聞社・販売店の淘汰、戸別配達崩壊となり、市民・読者には情報格差が生じ、新聞業界で働く者には生活低下という形で跳ね返ってくる」と指摘した。
 また、「特殊指定問題」のポイントに「@新聞・販売店の経営問題とジャーナリズムの問題A新聞協会と国会議員、地方議会との関係B議論の場はネット(ブログ)に」の3点を挙げ、「権力をチェックすべき新聞が政治力頼みでいいのか。憲法改悪問題もある中で、紙面への影響が懸念される。紙面で読者の生の声を紹介しているだろうか。ネット利用者がどれぐらい新聞を読んでいるか分からないが、一方でブログでの議論が盛んになっている現状がある」と述べた。
 その上で、業界で働く者の対応について「特殊指定は守らなくてはいけないが、維持を求めるばかりなく、販売正常化に努めなければいけない。これまでの部数拡大第一主義でいいのか。社内議論を活発化し、反省すべき点は反省し、読者の声をもっと聞き、どう読んでもらうか考える必要がある。“消費税引き上げ”問題もあるので、紙面の内容で納得して買ってもらえるよう努めよう」と訴えた。



今回の講演(お恥ずかしいのですが…)では、だいぶブログで議論されているネタを引用しました。「新聞では新聞特殊指定の情報がクローズされており、『戸別宅配網の崩壊を招く』としか報道されていません。唯一、幅の広い議論がされている、かつ一般にも公開されているのはブログ(個人発信)しかなくなってきています。参加された皆さん!この現象をどう感じますか?」という具合に。
 日本的「オーマイ・ニュース」の動きが起こり始めている―という指摘もしました。

posted by 今だけ委員長 at 22:10 | Comment(8) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
お疲れ様です。人前で話すと固まってしまう人なので尊敬してしまいます。ところで、毎日さんからヤヴァイ情報が漏れてしまったようで、拡張カードなどなど説明に苦しいようなアイテム勢ぞろいとか。
Posted by 某S at 2006年04月27日 19:46
某Sサマ!コメントありがとうございます。
M紙の関連会社から個人情報が流出したという問題。他人の不幸を喜ぶわけにはいきませんが、顧客データの管理はもっと慎重に取り扱われるべきだと思います。ファイル交換ソフトShare(シェア)って言うんですか?そんなソフトを開発する方の犯罪性も否めませんが、企業の倫理的な問題だと感じています。
《備忘録として》
関係会社「毎日開発センター」が運営していた会員組織「毎日フレンド」に入会する六万五千六百九十人分の読者会員の氏名、住所、電話番号、生年月日、趣味などが記載された名簿。毎日フレンドは、東日本地域の読者を中心に、希望者を登録していた。
 このほか、同社東京本社管内にある約二千二百軒の販売店に関する情報や、センター社員のものとみられる給与明細や出勤簿、新聞拡張成績とみられる表などもあった。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年04月27日 23:38
そうですか・・・
講演されたのですね。私も聞いてみたかったです。

毎日新聞の流出事件は他人事ではないのですが、やはり怒りが込み上げます。同社のHPにお詫びが載っていますが「内規で徹底してました。」と、ありました。徹底してなかったからおきたのですよね。
法の対策のために規定を作るのでなく、守るための規定であって欲しいです。
Posted by とある販売所長 at 2006年04月28日 03:59
とある販売所長サマ!コメントありがとうございます。
ことあるごとに「関連会社のせい」、「販売店の経営には関与してない」、「記者個人の問題」などなど。新聞の主体性はどこにあるのでしょうか?編集権だけ?なのかなぁ。オール○○新聞キャンペーンなんて拡張コンクールする割にはおかしいですよね。
そういえば、朝日新聞社長の息子さんが麻薬不法所持で逮捕された件でも、各紙あまり大きく取り上げなかったように思います。「なぁなぁ」体質?
いま国会で審議されている「共謀罪」、「国民投票法案のメディア規制」なども、何か新聞の突込みが甘いように思います。考えすぎなのかも知れませんが、特殊指定の“めかじめ料”を取られているのではなかろうか…と。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年04月28日 07:33
はじめて来ました。とても面白いですね。
ご講演も、ほかのエントリもわかりやすく、バランスよい議論と思いました。
特殊指定問題に関して、「押し紙」などの実情を隠して一方的な議論ばかりなされていることにうんざりしていてました(毎日新聞の竹島インタヴューも、ひどいです)。それで公取に賛成でしたけど、こちらのエントリを読み、もう少し慎重に対策を考えるべきかもといま思ってます。でも、からんだ糸をほぐして編みなおすような感じで、考えるのもかなり難しいですけどね。
Posted by かたやま at 2006年05月03日 01:04
かたやまサマ!コメントありがとうございます。
新聞特殊指定の議論は、新聞業界内にある構造的な問題を「まともな商取引」に向かわせるチャンスだと思っています。
@私は販売店の人間ですので、再販制度があっても資本力には太刀打ちできません。「局部的な販売攻勢」は当たり前に起きますし、読者はもうオマケ(拡材)を付けられるより、「使うか使わないか分からないものを貰うより安くしろ」というのは当たり前ですから、当然、価格競争が起きます。そうすると末端で働く労働者からその分配率が下げられるわけで、新聞販売業に働くものとして一辺倒な規制緩和には反対という思いでおります。
Aでは、新聞業界も今のままで良いのか?ということについては、ダメです!最近、公取委のお話にもうなずくことが多々あります、というより新聞の方が本論から逃げているように思います。自分たちの商品がどのように売られているのかーということを「知らない、感知しない」で済ませていたり、紙面の展開もしかり…。新聞協会が特殊指定を守るために国会議員に働きかけことなど、どう見ても首を傾げます。またそれを正確に紙面で取りあげていないーなどなど。

ほとんどの国民(読者)は特殊指定など知りえないと思いますが、新聞のおかしさ、不合理には敏感に反応していると思います。違反販売行為に対する罰則規定を強化することや、紙面審査機構(業界外のメンバーで)も必要なのかもしれません。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年05月03日 08:07
拡張員や専売の景品の使い方(ビール券や諭吉を置きカン)で、公取が是正命令??みたいなものを出していますが・・・今回の見直しもこういった動きを公取が把握しているっていうこともあり得ますか??
Posted by newspaper at 2006年05月05日 04:23
newspaperサマ!いつもコメントありがとうございます。
公取委の方がこういった動きを把握しているか?=もちろんすべて知ってますよ。だって公取委の職員の方も自宅で新聞を購読しているし、拡張行為を受けていますからね。いくら販売店が多くの情報を有していても「この読者は公取委の方だから拡張に行かないように」なんていうことは不可能でしょう。
公取委に交渉に行った際も、直接言わないけれど感じました“すべて知っているよ”って。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年05月05日 07:41
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