2010年11月09日

「新たな新聞像・ビジネスモデル」を絞り出せたか… 新聞労連産業政策研究会全国集会in仙台

 前回のトピックで告知した日本新聞労働組合連合(東海林智委員長)の産業政策研究会全国集会が11月5、6の2日間、仙台市内のホテルで開催されました。集会には全国の新聞労働者がなんと80人も参加する大集会となりました。また、地方紙の組合員だけではなく、読売新聞や共同通信、新聞協会の各労組からの参加者もいて、あらためて新聞産業問題への関心がうかがえました。
 今だけ委員長は新聞労連の専従役員をしていたときに産業政策研究会を立ち上げたこともあって、今集会には主催側という立場で参加してきました。


ワークショップ風景.JPG 研究員から3期目の報告書「新聞2010 扉と鍵」について報告された後、「新たな新聞像・ビジネスモデル」について現状の問題点を整理し、現実可能なモデルやアイディアを打ち出す参加者によるワークショップ(7グループで構成)が行われました。7名の研究委員がそれぞれのグループリーダーとなって議論をリード。アドバイザーとして、山田健太(専修大准教授)、水野剛也(東洋大准教授)、李洪千(慶応大講師)の3氏が加わり、活発な討議が行われました。たぶん…

カスタマー新聞.JPG それぞれのグループから新たなビジネスモデルが発表されたものの、山田健太氏からは「短時間だったこともあって、なかなか妙案は出なかったようだ。10年後の新聞産業を憂いて経営者を非難するのは簡単だが、その10年後にここにいる人たちが経営者の立場にいるかもしれない。結構大変なことだと実感したと思う」とチクリ…。今回はビジネスモデルを打ち出すというよりも、次へのステップを踏んだというところでしょうか。発表された内容は、「産政研WEB」などで随時アップしていく予定です。
http://sanseiken.seesaa.net/


 今だけ委員長も僭越ながら、「講評」というか最後のあいさつをさせていただいたのですが、その要約(メモ)を以下に列記します。


 今回の全国集会は研究会立ち上げ時から、ワンクールとして決めていた3年間の総仕上げという位置づけで、会議を催すこと自体を目的とせずに、いかに参加された皆さんに自らの職場で変えるべき事と守るべき事などをワークショップの議論を通じて感じていただき、それを職場で、それぞれのポジションで実践していただければという願いを込めた会議スタイルであったのだと私自身感じています。
 夕べの懇親会で、慶応大の李先生からこんな指摘を受けました。「もっと、このような会議の内容などを、インターネット技術を使って一般の方々、読者の方々にも公開して、オープンな議論を新聞労働者、特に産業政策研究会が取り組んでもよいのではないか」というもので、情報公開を求めるメディアの側が自分達の活動をクローズにしてしまっていることに対する言及でした。特に流通部門で根深い問題とされる公称部数と実配部数との乖離など内包する問題があるために、なかなか労働組合でもオープンな議論がしづらい状況になっていると感じています。
 産業研究を突き詰めていくと、ジャーナリズムという問題と相当にリンクするものです。情報リテラシィの国民的レベルをあげていくことが、新聞を含めたメディアの勝負どころであって、わたしたちの議論をもっと公開することが求められているとあらためて思いました。様々なビジネスモデルを立案して行くことと平行して記者教育などの働きかけも必要だと感じています。
 最後に、このような集会の場を提供できる労働組合の必要性をやはり皆さんに感じてもらいたいと思います。日々の忙しさに埋もれないで10年後の新聞のあり方、新聞社の機能を残すためにわたしたちの職場をどう守っていくのか、どう変えて行くのかを経営者にもの申せるのは機能を労働組合という形で有しているということです。そして、その集合体が新聞労連だということです。もっと新聞労連の機能を使って、学識者の方々とも連携して、次代を切り開いていきましょう。

河北新報11月6日付25面.jpg
河北新報11月6日付25面に
産研集会の記事が掲載されました

posted by 今だけ委員長 at 00:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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