2006年04月21日

社会的使命を忘れるな!

 4月20・21日の両日、日本新聞労働組合連合(通称:新聞労連)の「第115回中央委員会」が東京都文京区で開催されました。

春闘総括や夏季一時金闘争方針など多くの議案について議論されるのですが、今回は「新聞特殊指定問題」にその多くの時間を割いて論議されました。私も発言の機会があったので、新聞販売労働者の視点から特殊指定に関連する新聞労連本部および加盟組合への要望を話してきました。

 はじめに、労働組合として、新聞労働者として、社会的使命を果たしていくことを目的として、この会議で発言をしたい。いま、業界内外で大きな問題になっている新聞特殊指定の改廃問題。極端なことを言えば、特殊指定が無くとも各新聞社が再販や特殊指定、新聞公正競争規約(自主規制)を守りさえすれば、そう大きな問題にはならない。しかし、現状を見る限りでは「何でもあり」の販売行為が横行し、読者からの信頼を失っている。記者の皆さんが必至に取材をした記事も、読者に伝えたい記事を掲載した紙面も、資本力が影響する乱売競争によって吹っ飛んでしまっている。このような状況が公取委に対しても真っ向から説明すらできず、業界内の襟も正せないでいる。
 私たちは労働組合なのです。自らの生活をより充実させることに加えて、新聞発行に携わる労働組合は、より高い社会的な使命を担っていると思う。だが、最近は組合が経営者以上に「ことを荒たげない」「押し紙の問題にはフタをする」ようになっているのではないかと危惧する。これ以上、業界内の不合理な問題を先延ばしをしてどうするのか。新聞労連に結集する私たちは仲間であるはず。企業内労働組合ではあるが、勤め先(新聞社)の枠を超えて、共に業界内の問題を是正するために団結をして取り組んできたはずだ。それが今は、それぞれの会社の利害を懐にしたためながら議論されているように感じる。
 特殊指定問題についても大手紙の動きを「横にらみ」をせざるを得ないのだろうが、具体的に行動をしている組合は少ないと聞く。公取委の発表からもう半年も経っているのに…もう組合内の勉強という段階ではない。極論をすると朝日新聞や読売新聞の組合の仲間に、先陣を切って「現在あるルールを守る」よう経営側と交渉をして欲しいとお願いしようということもできないのだろうか。
 いま、紙面での特殊指定報道のされ方、国会議員と新聞協会の関係に違和感を持たないのだろうか。おかしいとは思えど、それぞれの組合でどのような検証をして具体的な取り組みを検討しているのだろうか。
 本音の話が組合からなくなったら、組合そのものの機能が果たされなくなる。特殊指定の問題は、新聞社や販売店の経営に関する問題とジャーナリズムの問題の2つに分かれてきている。私のような販売店労働者はペンは持っていないが、やはりジャーナリズムの役割をここに集まる新聞労働者は果たして行かなければならないと思うし、その役割を組合が果たせれば、例え特殊指定が撤廃されてもそれぞれの新聞社は健全な経営へと再スタートを切れるのではないか。
 もっと外に出て読者の声を聞く必要があるし、その声をもっと紙面に反映させるべきだ。ぜひ、特殊指定に関連する紙面での取り扱いについて、各組合で議論されるようお願いする。


 この通りの原稿を読み上げたのですが、「コンニャロ!何も知らないくせに」と思われた方も「その通りだ」と言ってくれた方などさまざま。まぁそれで良いのだと思います。でももっと議論しないと、そして内側だけではなく読者の声をもっと聞かないとダメだと思うのです。自分たちの問題!胃が痛くなるほどこの問題で悩んでいる人がどれだけいるのでしょうか?少なくとも今だけ委員長は眠れないときもありますよ。

※次回に新聞労連の取り組み、特別決議に触れていきます。
posted by 今だけ委員長 at 01:54 | Comment(6) | TrackBack(3) | 特殊指定
この記事へのコメント
委員長に大きな拍手をおくりたいと思います。
業界外の方のブログでは業界の特殊指定見直し反対の声に対して非常に冷めた見方をされているのが殆どです。正直いって現状の販売現場を考えた時に反論できないのが悔しいのです。

残念ながら私には委員長のような系統を超えた全国的な会議に出る機会がありません。しかし、気持ちは誰よりも強くもっております。
発行新聞社から販売店まで衿を正して正常な販売行為を行なえば特殊指定は廃止になってもなんら問題はありません。
その上で長期読者などの割引を考えていけばいいと思いますし、むしろ多様な定価があってしかりだと思います。全国一律同一定価もいいのですが、一方で多様な価格帯の商品がないから新聞を読むか止めるかの二者択一しかないのです。確かにコスト的に難しいとは思いますが、読者ニーズを考えた時にボリュームによっては同一紙で数種類の価格帯の新聞があってもいいと思います。
しかし、今のような不当な値引き合戦をしている限りは、多様な商品を開発しても無意味なものになってしまいます。
諸悪の根元は大新聞が行なう不当な販売行為なのです。
小さな小波を大きなうねりにすべく事に協力は惜しみません。
Posted by とある販売所長 at 2006年04月22日 06:30
もう、委員長さんの言うとおりです。今、膿を出し切らないと崩壊に向かうだけです。これから、所長になりたいっていう夢をもっている人達にも、希望をもたせて欲しいです。新聞ほど、社会的に貢献できる仕事はないのですから。
Posted by newspaper at 2006年04月22日 18:21
とある販売所長サマ!コメントありがとうございます。
ホント、悔しいです。業界内のしわ寄せはすべて末端の業種に押し付けられるのが日本の慣例になっているようです。一番読者と接しているのも私たちなのですがねぇ。
私もまだやれていませんが、読者を巻き込んで『ライブトーク』のようなイベントを販売店が仕掛けられないものかと考えています。有識者を呼んで「特殊指定」も含めて憲法問題などを読者を交えて討論する。もしかすると読者はそうしたものを望んでいるのかもしれません。紙面の補完を販売店が仕掛ける―。やれそうですよね。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年04月23日 03:28
newspaperサマ!いつもコメントありがとうございます。
そんな大それたことを話したつもりはないのですが…。意のある販売店労働者であれば、皆このような憤りを感じているはずだと思います。「膿」は早めに出した方がよいですよね。温存をしていても良い事ありませんから。
発行本社の労働組合である新聞労連も、ある意味で私のような「膿」である?販売労働者を組織に加えて活動をしています。微力ながら「本音」は言い続けていきます。

Posted by 今だけ委員長 at 2006年04月23日 03:37
ライブトークはいいですね。
実は来年フォーラムがあります。その一つのテーマを担当しているのですが、いつもパネルディスカッションで時間が無く一方的な分科会で終わってしまうことに疑問を感じていました。
先日の会議でも参加者を二分してディベート方式をとれないかと提案したのですが却下されました。今一度申し立てしてみようと思います。
Posted by とある販売所長 at 2006年04月24日 22:28
とある販売所長サマ!コメントありがとうございます。
さまざまな企画を考える時、難しいネタを提言すると「どうせ同じような人しか来ないのだから…」と言われ、却下されてしまいます。でも考えなければならないのは、私たちのネットワークより、読者同士のネットワークの方がいかに強いか―ということです。1回目の企画で満足をしてくれた読者は、2回目には「もう一人」じゃなく、ビックリするくらい人たちを連れて来てくれる。そんなものです。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年04月25日 00:05
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