人が届けて、人が読む。だから新聞にはぬくもりがある。
日本新聞協会が毎年10月15日から行う「新聞週間」にあわせて募集、選ばれた今年の『新聞配達に関する標語』です。ぬくもりかぁ・・・。毎朝販売店に届けられる刷りたての新聞の“ぬくもり”を直に感じる販売店スタッフから、ぬくもりを感じている読者がどのくらいいるのかなぁ・・・。「購読料を払っているのだから、届けられるのはあたり前」という世知辛いご時世で、クレームの連絡は受けるけれど、お褒めの言葉は少なくなっているような気がします。
日本新聞協会販売員会が10月に発行した「第17回」新聞配達に関するエッセーコンテスト入選作品集「ふれあいの詩」が届きました。
今回の作品集は各新聞社提供の写真がふんだんに使われていてイイ感じ。
この作品集を読者へ配るのは経費的にも大変なので、紙面で1話ずつ紹介してはどうでしょう。論説委員の方がきばって書いている社説よりも読まれると思います。また怒られるな…。
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きょうは若手の販売スタッフの方と酒を酌み交わしながら、いろいろと有意義な話をさせていただきました。入社半年の彼は某有名大学をこの春卒業し、契約社員としてこの業界に入ってきました。今のご時世だから正社員枠ではなく契約社員として採用されたのですが、とても優秀な人材なのです。その某氏との何気ない会話が心に強く響きました。
今だけ委員長「入社から半年経ってどう。何か悩みなんてない?」
某氏「最近とても悩むことがありました。個人目標(契約件数)の達成まであと1件という時に、担当区域の90歳になるお婆ちゃんに購読をお願いしたのです。でもそのお婆ちゃんは視力も弱いしとても新聞なんて読める状況ではないのだけれど、お願いしたら『取ってあげる』と言われたのです。でも折込チラシが多い週末の新聞をポストから抜くことすらできなくて、新聞は玄関先にたまっているのです。『取ってあげる』と言われたけれどそんな人に定期購読をお願いしてしまった自分が嫌になっているのです」
今だけ委員長「会社員として生きていくには、いろいろなジレンマを抱えながら悩み続けなければならないのかもしれない。その商品性や紙面とは裏腹のこの新聞産業の構造的な問題はもとより、数字を求められる販売部門の人たちはキレイごとでは成り立たない」
某氏「でも今だけ委員長はそのお婆ちゃんに売れますか」
今だけ委員長「オレは売らない。たぶん。会社員だけれど自分自身で最低ラインの線引きはするべきでそのこだわりは持つべきだと思う。それは人間性の問題なのかもしれない」
偉そうにそんな会話をしてしまいました。
「メシを食うために」なら何をしてもイイ? ぜったいにそうではない。そんなことが起きてしまう組織はやはり「偽」というメッキがはがれていくことにビクつきながら、社会に胸を張れない会社でしかないと思う。今だけ委員長も過去にその過ちを犯したこともあるので深く反省。
社歴を重ねた重鎮は「そんな青臭いこと」と笑い飛ばすかもしれないけれど、きょうはその某氏の悩みを深く受け止めて“自分の立ち位置”を再確認できました。