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ネットエイジア社が行った「ビジネスパーソンの『iPad』に関する調査」(20〜59歳の男女で有職者「パート・アルバイト含む」、2,188名の携帯電話ユーザーの回答を集計)がこのほど発表されました。この手の調査結果は、設問自体が調査者の意図を導き出すための誘導型であったり、ネット利用者だけの意見集約が大半とあって“きな臭”ものだったりします。「ビジネスパーソン」っていう定義もよくわからないし…。横文字使えばイイってもんじゃないですよね。
今回の調査結果で気になったのは、iPadやキンドルなどのタブレット型情報端末(スマートフォン)で新聞が読めるようになれば、紙の新聞は購読しなくなるか?という質問への回答。同社の分析では「購読しなくなる」と答えた方(41.7%)の数字を印象付けていますが、「情報端末で読めたとしても紙の新聞を購読する」と答えた方は過半数の58.7%(1,276名)とまだ高い。でも20代女性(サンプル数248名)では「読まなくなる」が51.6%と過半数を超えています。以下にネットエイジアリサーチの分析を引用します。
◆電子書籍で読みたい新聞を購読できるなら、紙の新聞は購入しなくなると思う、41.7%
「『iPad』などの電子書籍を閲覧できる携帯型端末で、読みたい新聞を購読できるようになった場合、紙の新聞は購入しなくなると思いますか」という質問を回答者全員に聞いたところ、全体では41.7%が「紙の新聞は購入しなくなると思う」と答えた。男女で比較をすると、「紙の新聞は購入しなくなると思う」と答えたのは女性の方が多く、男性36.0%に対し女性は47.4%であった。年代別では年代が若くなるにつれて「紙の新聞は購入しなくなると思う」と答えた割合が高くなり、特に20代女性では半数以上の51.6%がこのように答えた。続いて「(電子書籍で読みたい新聞を購入できるようになったとしても)紙の新聞を購入することはあると思う」と答えた回答者に「どのような時に紙の新聞を購入するか」を自由回答形式で記入してもらい(有効回答:1220名)、その答えの定量化を行った。全体では「なにか記念や重大ニュースなどの時に紙で保存・スクラップしたい」が最も多く、27.4%であった。次いで「いままでの習慣で購読し続けると思う」が9.6%、「新聞広告・折込広告・クーポンが楽しみなので」が7.7%、「じっくりと時間をかけて読みたい」が7.0%と続く。
http://www.mobile-research.jp/investigation/research_date_100916.html
また、「どのような時に紙の新聞を購読すると思いますか」との問いに対しては、@なにか記念や重大ニュースの時などに紙で保存・スクラップしたいAいままでの習慣で購読し続けると思うB新聞広告・折込広告・クーポンが楽しみなのでCじっくり時間をかけて読みたいD紙のほうが読みやすいE端末を持ち歩かない・いつでも観たい時に見れるF紙だと斜め読みできる・探しやすい―といった、「紙」の優位性についての意見が続いています。
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もうひとつ、備忘録としてネタを紹介します。元時事通信に勤務されて現在はウェブサイトTechWaveの編集長を務める湯川鶴章さんの「Apple、電子キオスク開設で新聞社と協議」という記事。
http://techwave.jp/archives/51503582.html#more
内容は、米国では新聞、雑誌を販売するデジタル・ニューススタンドの開設に向けてAppleと新聞社、出版社が協議していて、実現への可能性を示唆しています。また同じような取り組みを各新聞社や出版社がGoogleとも行っているとのこと。
いよいよ始まるのか―という感想なのですが、湯川さんの「蛇足:オレはこう思う」が痛快です(笑ってはいられませんが)。
メディア企業1社で、Google、Appleのイノベーションにとても勝てるわけがない。だからと言ってメディア企業の連合軍はさらに勝ち目がない。時代についていけない人間が一人でも加わればスピードが落ちるのに、そうした人間が何人もいるからだ。これまでにも多くの業界で「黒船に対抗」を旗印にいろいろな連合軍を作っているが、ほぼ例外なく「船頭多くして船山に登る」状態になっている。
湯川さんらしい言いまわしで連合軍(ANYまたは新聞協会か?)を撃沈していますが、販売店側は連合軍にしたほうが実利はあがる。それは間違いありません。でもネックになるのが「本社が…」ですよね。
ジレンマを抱えながら目先の仕事に追われる日々が続きそうです。でも頑張りましょう!