■特殊指定見直しの程度は?
改正、廃止、存続どれもありうる
●「見直す」と表明したのみで「改廃」と言ったことはない。改正、廃止、存続、どれもありうる。ニュートラルな立場で進めている。
●新聞協会、社団法人日本新聞販売協会(以下:日販協)と話し合い、現状把握を淡々と進めている。新聞のみではなく、5つの特殊指定すべて見直している。昭和30年に作られたものが現在も有効に活用されているのか。現在も必要なのか、直視するよう指示されている。5つのうち3つは廃止の方向でパブリックコメントにかけている。教科書の見直しもかなり進んでいる。
●公取委は各省庁に規制緩和を求めているが、省庁から「そう言う公取委にも古い規制が残ったままだ」と指摘された、という背景もある。
●今期、再販を見直すつもりはない。見直しへ向けて国公民的合意を得ようという動きもない。
■新聞協会・日販協とはどんなやりとりをしているのか
「主張が崩れるから」と実態隠す
●弾力的運用を進める、という約束は頂いているし、学割などが広く行なわれている実態は知っている。
●しかし、かなりの割合があるセット割れの朝刊単読の価格を聞くと「価格は言えない。言ったら自分たちの主張が崩れるから」と答えない。こんな状況が続けば「議論は尽くされた」と判断せざるをえなくなる。公取委上層部が「もう聞かなくていい」となるのを懸念している。
●業界側は「特殊指定と再販が個別配達を担保している」と言うが、特殊指定と再販は本来反対のもの、矛盾するものだ。新聞業界側は実態を挙げてこの話しに入りたくないのだろうが、公取委は新聞だからといって他の業界と差をつけるつもりはない。淡々と作業を進める。
●実態を教えてくれと言っているのに、事実は言えないという。特殊指定を残すのに必要な材料を出してくれないなら立証できず、廃止のパブリックコメントをかけざるを得ない、と新聞協会・日販協には言っているのだが。ちゃんと建設的な協議をしたい。こういう実態があり、特殊指定はこういう機能を果たしているので必要だ、と言ってくれないと。指定当時に特殊指定が必要だとした理由が今も存在するのかどうか。
■宅配が崩れる懸念がある
ニーズがあるなら残るはず
●宅配をなくせ、と言うつもりはない。自分たちも個人としては新聞宅配を利用する立場だから残してほしいと思う。ただし、宅配は読者のニーズがあるなら残ると考えるが。特殊指定がなければ宅配がなくなる、と主張しているが、宅配のニーズがあり、かつ再販を新聞発行本社が守れば残ると私たちは考えている。「いや、再販が守られないのだ」というなら、どうして守れないのかを教えてほしい。
■見直しは規制緩和の流れの一つなのか
そうだ。法で縛る必要はない
●そうだ。1円でも安くしたら駄目、という話は今は通用しないのでは?1円でも安くしたら駄目だ、と法律で決める必要はないのでは?
●新聞労連も、ゼロか100かではなく、現状に基づきこういう形で、と考えてみたらどうか。
●中部読売の事例のような、略奪的差別対価で市場を奪う方法を恐れているのだろうが、そんなことを販売店レベルでできるものだろうか?
■11月に見直し着手を表明して結論を出すめどが6月というのは、時間が短すぎると思うが
新聞協会・日販協は了解の上だ
●新聞協会、日販協には事前に見直し実施の話をしてある。前回の再販見直しの時と同程度の期間を取り「今回は3月めどでどうか」と話したら「短い」と言われ、6月にした(一方的に決めたわけではない)。ただし、時間切れで決めたくはない。ちゃんと協議したい。
■労組は見直し協議に加われるか。労組側が逆提案をしたら聞くか
協議の主体は新聞協会・日販協
●協議の主体は、あくまで新聞協会と日販協だが、意見はありがたい。
■公取委の案ができ上がったら(以前の再販論議の時と同じように)パブリックコメントにかけるのか
確実にそうする
■特殊指定がなくなると資本力のある大手紙が地方都市をターゲットにして集中攻勢を掛け、地方紙が生き残れず、報道・言論が画一化される事態になると懸念している
乱売は一般指定で対応できる
●そうした事態を望んでいるわけでは全くない。我々も地方勤務の機会があり、情報を出しても大手紙が取り上げず、地方紙に広報してもらうことがある。これからもそうあってほしい。新聞社間の記事の競争はあってほしいし、大手紙の寡占は望んでいない。
●しかし、体力がある社が売りやすい地域で安く売りまくる、という手法は、特殊指定でなくても一般指定の「差別対価」で十分対処できる。中部読売が緊急停止となったように。
●我々の基本的なスタンスは「正当な理由があれば、差別対価はよしとするべきではないのか?」「販売店に条件付き自由度をつけてもよいのではないか?」だ。しかし、実態が分からないままに検討を進めた結果、新聞の画一化を招いたのでは互いに不幸だ。いったんそういう展開になったら再構築は難しい。だから地に足のついた実態論議をしたい。
●今回の見直しは、あらかじめ答えが決まっていてそこに向けて引っ張っていく、というものではない。自由度100lで良い、とか、ここは良いけれどここは駄目、とか言ってもらいたい。特殊指定の、ここをなくすとこうなる、というのを出してほしい。
■公取委の協議相手は大手紙中心なのではないか?地方紙や消費者の話をぜひ聞いてほしい。判断を急がないでほしい
労組の意見や集会報告寄せて
●消費者からも聞いているが、消費者は新規読者のみのサービスに不満が大きい。大学生協を通じて購読を申し込めば値引きするサービスで部数を伸ばした例がある。怖い勧誘員が来ず、口座引き落としなので利便性がいいと評判が良いらしい。取りたいのに新聞社側がブレーキを掛けている、それを外す努力もするべきでは?
●ジャーナリストや新聞関係者のブログなども読んでいる。新聞労連の「改廃に反対する決議」は今回初めて知った。こうした決議や声明、集会報告など、何でもよいので送ってほしい。参考にする。メールでも郵送でも何でも受付ける。
「新聞特殊指定など大手紙が中心になって決まっていくものだ」などとくすぶっている地方紙の業界関係者は、このような公取委の主張に対してどう感じるでしょうか。昨年は戦後60年の特集記事(検証)をほとんどの新聞社で取り組みました。であるならば、新聞の検証もきちんとされなければならない。これを機に「新聞の売り方、売られ方」について検証し、その責任を受け止め、行動で示す時なのだと思います。
また、新聞特殊指定を撤廃すべきだと主張している方々も公取委の本質をあまり理解せずに新聞業界が気に入らないがゆえに「特殊指定撤廃ありき」という業界批判の書き込みも結構目立ちます。
ことの本質はやはり規制緩和。価格の値引きはそこで働く労働者の労働条件の切り下げに直結します。ましてや全国2万865の新聞販売店で働く、43万9,107人(2005年10月現在)の新聞販売店労働者の労働条件(賃金・休日)をこれ以上下げる訳にはいきません。そうでなくとも労働基準法を守れていない販売店も少なくないのですから。
新聞労働者はカッコつけすぎ。反対意見に対してすべて論破することなど出来るわけもないのですから、指摘されていることについては反省し「正すところは正す」と約束をして、新聞業界の再構築を図っていくべきだと思っているのですが…。
http://www.jftc.go.jp/tokusyusitei/qa.html
ですね。このQ&Aの問6「公正取引委員会は、新聞特殊指定についてどのような問題点があると考えているのですか?」
では、
@新聞特殊指定が新聞について多様な定価設定を行わない口実に使われているおそれがあり、消費者利益を害する結果をもたらしていること、
A新聞特殊指定が、独占禁止法の認めた範囲を超える過剰規制となっているおそれがあるということ、
B新聞については著作物再販制度の対象となっていることから、販売店間の価格競争を回避したいのであれば、新聞発行本社と販売店の間の再販契約を利用すべきであること
が見直しの理由です。新聞に公取の言い分が全く書いてないので、初めて見ました。
でも、新聞に書かれてないのは公取委の見解だけではないみたいですよ。知り合いの新聞関係者から聞いた話ですが、某全国紙の社長は、この新聞特殊指定の見直しが公取委から提案されたことについて、業界団体のあいさつで「見直しをしたら、国会議員を動かして、公取の予算と人員を半分にしてやる。」と言ったそうです。「ペンは剣より強い」と言いますが、自己抑制を失ったペンは、剣より危険と言うのは本当なんですね。
前のエントリーでも私自身が公取委に伺って特殊指定問題(特殊指定維持の立場で)に絡む「押し紙」問題等、販売店労働者への影響など、申し入れ書を提出してきた時の内容などもアップしています。
ブログは多くの方に見ていただくものですから、個人の主張はそれとして「公取委などから言われた事実」は偽り無く書いていこう、というのが私のスタンスなものですから。
今後とも宜しくお願いします。
「嘘つきだから」…頷くしかありません。伝え方が嘘であれば戦時中の大本営と同じですからね。嘘で固めつくされた新聞業界構造の中で、はっきり「大資本が地方を食い潰すから特殊指定を」と公取委にもいえない、新聞公正競争規約も形骸化し、違反行為を繰り返す大資本を摘発もできない「馴れ合い経営」が、一番ドロドロした現実を知っている販売労働者があきれ果てることです。
でも新聞販売店は「紙」がないとメシ食えないんです。斜陽になっていくことは誰もが承知しているのでしょうけど、いま規制緩和の名のもとに値引き競争が“いま以上”に起こってしまったら…。理屈になっていないと思いますが、新聞業界の末端で働く労働者の気持ちとして特殊指定は維持してもらいたいのです。
公取委は「販売店へ対する『押し紙』は発行本社の優越的地位の濫用であり、一般指定にした方が排除勧告命令を出しやすくなる」と述べていますが、実際のところ新聞社と販売店の契約(委託販売契約)では、“言うことを聞かなければ切る”(一方的に改廃させられる)という状況になってしまいます。 多くの販売店が裁判を起こしても、契約書以外の“見えない圧力”までは、司法側も踏み込んできませんしね。所長さんが言われていることは、業界内の自主規制「新聞公正競争規約」が機能していないーということだと思います。一般の商品は行政側の規制を細かくしない代わりに自主規制でもって業界内の健全な競争を担保するーというようになっていますが、特殊指定の第3項(押し紙の禁止)がなくなると、今まで以上に自主規制ルールが形骸化されてしまうと思います。
特殊指定の問題は、新聞社を対象にした規制緩和政策なのですが、結局、厳しい状況にさらされるのは販売店の従業員なのだと思います。複数の新聞を取り扱う合売店は何とかなる(しかし合売店のエリアは過疎地域が多く、配達経費がかさむところが多い)と思いますが、専売店は飼い殺しです。また最近の動きとしては、販売店に資本を入れて新聞社直轄の「販売会社化」にする動きも気になります…。
どうも新聞の情報だけでは、特殊指定の撤廃イコール宅配制度の崩壊という前提で議論が進んでしまいます。
宅配は維持しながら、新聞同士が内容で競争できることが理想的と思います。
なお、地元の長崎新聞ウェブコラムでも取り上げられていまして、やはり新聞不要論みたいな議論になったりしています。
新聞協会も国会議員に対して「特殊指定の撤廃イコール宅配制度の崩壊」とだけ伝えている。だから国民から不信感を買うばかり…。新聞もそのような報道を垂れ流ししないでもっとねっ…。
長崎新聞はとてもよくやっていると思います!この特殊指定問題を正面切って受け入れる会社の姿勢(炎上覚悟で…)がすごい。読者からすれば「そんなの当たり前だ」という意見が大半なのでしょうが、やれない新聞社が多すぎる…いわば、自信がないのでしょう。
新聞特殊指定の記事、何処もかしこも同じ論調。普通は、賛否両論に分かれる論調も
この話題については何処も同じ。朝日も読売も毎日も産経も。真のジャーナリズムは
ここには無い。利権がらみの汚い世界だ。
新聞の論調を調べてる面白いブログが有りました。ここの志の高い皆さんには面白いかも。http://ameblo.jp/jc-massmedia/
読者に問いかける勇気も無く、政治献金をチラつかせ来年の参院選の協力を確約している?新聞協会と日販協…。国会議員に擦り寄ったツケは必ず帰ってきますよね。それも憲法改悪と言う形であれば、私たち国民の防波堤にすらなってくれないメディアに新聞は成り下がっていくような気もします。
体質改善はもっと声を高らかにあげて突き上げて行きましょう。でも期待値がゼロならば知らんふりをして下さい「黙っていても新聞は死にます」から…。でも新聞が死ぬとどうなるでしょうか?僕はここを言いたいのです。「直したい」と!
“汚い世界”をブロガーの指摘によって正せるのか否かは分かりませんが、「気づかせたい」から書いてくださるのですよね同志サン。
別に新聞を無くしたい訳ではなく、より良い物に変えることが望みです。その第一歩が、新聞特殊指定の廃止だと考えています。特殊指定廃止=新聞宅配の廃止=知る権利の剥奪。などと論点の揃わない記事を
平気で全国に宅配している新聞・TV。自分たちの社会的役割・貢献性を無視した、利益追求のみの姿勢。やはり憤りを感じずにはいられない。日本国民の皆様にこの事実をどうやったら伝えたら良いのだろう。
なにせ最も影響力のあるマスメディアが使えないのだから。この様な優秀なブログで一人づつ同志を増やすしかないのだろうか。
同志サンが言われているのは、この国のマスメディアの腐敗ぶり…戦後、さまざまな反省の上に立ってジャーナリズムの復権に立ち上がった新聞の機能が果たされていない。いわばジャーナリズムを語った新聞社が「嘘つき」に成り下がっていることへの警笛だと思っています。まさしくその通りに進んでしまっているのであって、ジャーナリズムは自らの利権確保と米国寄りの報道にしか機能しないのか…と思わせるほどです。
私は新聞販売店の労働者です。ジャーナリズムが好きで「新聞を戸別宅配」をする末端の業務に進んで従事したわけではありませんが、これでメシを食っている以上販売店の労働者を守りたいと思っています(私が言う労働者とは販売店経営者ではなく、専業従業員や配達従業員、新聞奨学生を指します)。
多くの方が新聞ジャーナリズムへの批判=特殊指定の撤廃の論調ですが、私は販売店の経営も片側にはある―という考えで、皆さんに理解を求めています。新聞社と販売店は一般の商取引の関係ではないのです。新聞社の従属的な経営支配の下に「生かさず殺さず」ギリギリのところで生活をしているのです。でも私たちも弱い。専売店はその新聞社がチョットでも傾くと死んでしまうから…なのです。