2010年05月07日

数字は嘘をつかないが、その数字に嘘があっては無駄な分析に終わる…

 データブック日本の新聞2010.jpg
データブック 日本の新聞 2010
日本新聞協会 500円

 「日本新聞協会のサイトを見れば把握できるのに…」と思いながら、ついつい手元に置きたくなるデータブック。1999年度版から購入しはじめたので11冊目となりました。新聞社に勤めている方は「会社が買ってくれる」ものを仕事に活用していると思いますが、私のような新聞販売店に身をおくものは個人で購入して(あまり仕事には役立ちませんが)いろいろなデータを参照しています。


 2009年10月現在の新聞総発行部数は、50,352,831部で前年比1,138,578の減少。1世帯当たりの部数(普及率)は1部を割った2008年からさらに減り、0.95部。広告収入もさることながら販売収入も厳しい状況が続き、今後値上げをしなければ、販売収入が前年を上回ることは極めて困難な時代にあるのは間違いありません。
 データブックが強調するのは「新聞の戸別宅配率」。「日刊紙全体の94.7%が戸別配達によって読者へ定時に届けられ購読収入を得ている」ということのアピールだと受け止められます。だから「これまでのビジネスモデルを崩すことはできない」ということなのかもしれませんが、それはそれとして、生活者のニーズを無視して“これまで”にしがみつくと誰からも見放される危険もあると感じます。多くの新聞経営陣も「戸別宅配を守ることが…」というフレーズをよく使いますね。


 戸別宅配網は新聞業界が培ってきた「地域インフラ」のひとつ。生活者の情報摂取のあり方が変化してきているなか、そのインフラを多様に活用して収益をあげることを考えた方がよいと、ずっと言い続けているのですが(能力不足で)無視され続けているのが現状です。


 販売店従業員(販売店数)の数は2009年で404,865人。部数に準じて前年比では12,304人減っているものの、40万人を超す人たちが新聞産業の底辺を支えているのはスゴイことだとあらためて思います。逆な言い方をすれば、この40万の方々も読者であるということです。

 時勢を読む―。数字の動きを見ていると意外なものが発見できます。でもその前提となる公称部数に偽りがあっては虚構の解析で終わってしまいますが…。

posted by 今だけ委員長 at 09:09 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍紹介
この記事へのコメント
>戸別宅配網は新聞業界が培ってきた「地域インフラ」>のひとつ。生活者の情報摂取のあり方が変化してきて>いるなか、そのインフラを多様に活用して収益をあげ>ることを考えた方がよい

戸別配達網は日本の新聞各社が構築した素晴らしいインフラだと思います。
そのインフラを活用した新しい収益モデルというのは、
具体的にはどういうことを考えておられますか?

興味がありますのでお聞きしてみました。
Posted by portmall at 2010年05月12日 22:06
portmallサマ!コメントありがとうございます。
インフラを活用した新しい収益モデルとは?
現在行っているのがメール便(DM)の類(輸送会社からの委託分と自社で受注したもの)ですが、バイクで運べるものはすべて対象にすべきだと考えています。新聞販売業は実のところ物流業になっていくのだと思います。
そのような事業をそれぞれの新聞社が単独で行っても総収入は大したことはないと思います。総力戦でいかないと…。輸送会社、販売店網、輪転機のスペースに物流倉庫機能を持たせれば、完成版。あとは媒体を活用して営業しましょう!ということです。
Posted by 今だけ委員長 at 2010年05月25日 01:15
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