ちょっと遅ネタですが、新聞事業者が自ら共同で定めた自主規制ルール、公正競争規約(施行規則)が3月15日、一部改正されました。 今回の改正は「戸別配布の方法による試読紙配布ルール」と「懸賞企画の当選者氏名公表ルール」に関するもので、消費者庁および公正取引委員会から承認され、同日から施行されています。改正内容は「戸別配布の方法による試読紙配布ルール」のうち、試読紙配布件数が定数日をまたがないように設けていた「1カ月につき10日から20日までの間」との期間制限を撤廃しました。「1カ月につき7回を限度に配布するもの」というルールに変わり、「1カ月につき」とは、暦の1カ月に限らないということになったわけです。
昨年9月のエントリーでも試読紙の期間制限の撤廃へ懸念を表しましたが、月をまたぐ試読紙配布が多くなると定数のカウント自体が「試読紙の上げ底」に乗る格好になると懸念され、実配部数(定期購読をしている読者)が曖昧になる可能性があります。
▽関西7社販売局長共同声明に見る正常販売の本気度
http://minihanroblog.seesaa.net/archives/20090929-1.html
「押し紙」を切ることができないため、巧妙な理屈をつけて「押し紙」の行き先をつくり部数の正当性を主張する新聞社も少なくありません。ビジネスホテルへほぼ無償で客室数以上の新聞を納品したり、ファミレスのレジ脇へいわゆる「棚借り」をしたりして配達先を確保します。いったんはその納品先に大きな単位の部数を買い取ってもらい、その代金をそっくりそのまま「PR奨励金」との名目でキャッシュバックするなどのテクニックを使って「押し紙」をなきものにしようと新聞の納品先と代金を迂回させる事例も増えてきました。このようなテクニックは、行き着くところ新聞の価値を下げるだけでしかないのですが…。
いまの新聞販売現場は新規契約を取るのにとても苦労していますが、それどころか試読紙の申し込みを得ることも難しくなっています。「タダなのだから読者はいやとは言わないだろう」と思っているのは現場を知らない人たちの意見で、新聞を読んでいない人たちからすれば「タダで新聞を届けてくれるの?後から代金を請求されるのでは」といった警戒する人たちも増えています。特に大学生の方々は。逆に定期購読する気もなく試読紙を申し込んで1カ月タダの新聞を読み続ける人たちも増えているような気がします。常習の人はきちんと話をして配達しませんけどね。
これまでの新聞販売手法に嫌気をさしている読者は、残念なことに新聞そのものと距離を置くようになっていると感じるこの頃です。
【お知らせ】
新聞公正取引協議会が隔月で発行してきた「中央協だより」が、季刊(年4回)となりました。ネットを活用した情報発信をすることもなく、関西地区や福岡・山口地区でも販売正常化が取り組まれているだけに、販売現場の情報発信の頻度が少なくなるのはちょっと残念です。