2006年03月11日

緻密なマーケティングがなければ成功はない

 前にエントリーしたフリーマガジン「R25」について、業界紙にこんな記事が載っていたのでアップします。

3月10日付「新聞之新聞」から抜粋―
「R25」の成功体験聞く
 日本ABC協会の「ABC東京フォーラム」が3月2日、東京・内幸町のプレスセンターホールで開かれ、リクルートのフリーマガジン「R25」編集長の藤井大輔氏が「フリーマガジンR25が男性団塊Jr.に支持される理由」と題して講演した。
 同誌は25歳以上のサラリーマンをターゲットに創刊され、首都圏で60万部が発行されている。JRや私鉄の駅構内やコンビニエンスストア、書店に専用ラックを置き、捌け率(持ち帰られる比率)はリクルートの調査で99.7%という。
 同誌の発刊は社内の新規事業コンテストで「YAHOO!」などインターネットのポータルサイトを例にした「ペーパーポータル構想」として持ち上がったという。藤井氏は「インターネットの入口になるポータルサイトは事業としても成功している。新聞、雑誌、書籍など活字メディアの入口になるペーパーのポータルがあってもいいのでは、と提案があった」と説明。活字離れの傾向にあるM1層(20歳〜34歳までの男性)を対象に「新聞のように日常的に読まれるメディアをつくることができないか」ということで、フリーマガジン事業化を計画した。
 創刊にあたっては、M1層200人に新聞への接触態度についてアンケート調査を実施。調査結果を犬に例えて分析しながら、新聞を読みきれず情報の取捨選択が不十分で、社会的情報をあまりとっていないことにコンプレックスを感じている「情報消化不足のやせ犬」に注目し、それまでのフリーペーパーにあまり見られなかった政治、経済、社会の情報を多く扱うことにしたという。
 「読む時間やシーンを設定しない限り読んでくれない」と、M1層の平日の行動パターンも調査し、朝はギリギリに起きて出社、夜8時ごろまで仕事をまじめにこなし、ほとんどはまっすぐ帰宅、パソコンでメールやブログをチェックして深夜1時ごろ就寝―という平均的な生活パターンが浮かび上がった。そこから「彼らは何かと忙しく、余裕のある時間はない。仕事の時は仕事の情報、プライベートの時はプライベートの情報しかいらない。今世の中に何が起こっているかという社会的情報を得る機会が少ない」と分析、時間的に余裕のある帰りの電車の中で読んでもらうような編集を心がけ、「脳もオンからオフに変わる」と、誌面は前半に政治、経済など硬いニュース、後半はコンビニやテレビなどの軟らかい情報に比重を置いた。
 事業化への課題では、藤井氏は@無料でも自分にとって無駄だと思うものは受け取らない傾向にある人に対するアプローチA「読み捨てられる」など、フリーペーパーに対する広告主の既成概念Bラックの設置場所―を挙げ「帰りの電車で読んでもらうことを徹底したことで、これらの課題が解決した。読み捨てられない工夫として『自宅までじっくり呼んでもらえる』ということを訴え、帰りのコンビニに寄る直前に読む雑誌として広告主に理解してもらった」と話した。
 同誌の書評「R25的ブックレビュー」は、専用コーナーを設ける書店もあるほど好評だが、狙いを「M1層は活字離れが激しく、もう一回活字メディアの良さを感じてもらいたかった」と語った。
 締めくくりで藤井氏は「R25を読むようになってからニュースや新聞が面白くなった」という読者の声を紹介し、「M1層が変わっていくのに『R25』が寄与していると思う。ビジネスを超えたところで何か還元できていると思うし、公益性のあるメディアをつくる者としてプレッシャーはあるが、それがうれしいことでもある」と話した。


 あらためて、リクルートのマーケティング力を…流石です。
posted by 今だけ委員長 at 15:21 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
リクルートの市場分析並びにアナライズセンスには、本当に脱帽します。無料のフリーペーパーと有料の新聞・・・情報の新鮮さ、速報性を考えると新聞のほうが多いに価値があるように思います。主観論でございますが・・・
Posted by newspaper at 2006年03月12日 20:34
新聞を売るためにいろいろ考えるのですが、ターゲットを鮮明にすると他のターゲット(世代)からの反発が増えます。だからページ数も増えていくのでしょうが、フリーペーパーのように世代などを絞り込んだ商品というわけには行きませんね。だから新聞なのだと思うのですが…。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年03月12日 21:17
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