以前、日本経済新聞社の経営分析をした時のイメージ(超優良企業)が残っていたので、輪転機購入等の設備投資による借金によって赤字を計上できない新聞社(関連企業)の苦悩を表すために、「ANY連合は安泰」と書いたのですが実際はそうではないという指摘です。以下に引用します。
「日経が初の赤字」に関し、「資産が潤沢」、「無借金体質」は、朝日・読売はいざ知らず、日経に関する限りは当てはまりません。
過去に日経は毎年200億円以上の黒字を生み、新聞社のなかで一番業績が良かった時期がありました。その時でも銀行からの借入金は1,000億円を超えていました。
以前にも申し上げたと思いますが、全社員、一部のOBで全株を所有している日経は、利益が出ると社員、株主で山分けしてきました。印刷設備をはじめ、投資資金は銀行からの借入れを誰も疑いませんでした。オーナー経営者のいない民主的企業の欠陥はそのまま日経に当てはまります。
昨年秋、朝毎読および電通・博報堂の昔の仲間と会合を持った時、新聞社の経営悪化が当然話題となりました。その時、朝日OBが言ったのは、「朝日は全国すべての県庁所在地の一等地に自社ビルを持っている、それを少しずつ売っていけば、あと数10年はやっていける」というものでした。
プロ野球団を持っている読売もそうでしょう。毎日もまだ名古屋と大阪でのビル経営で新聞事業の赤字を埋めることができそうです。そういう資産が一番ないのは実は日経なのです。
ブログをやっていて感じるのは、やはりこのようなインタラクティブ(双方向性)機能によっていろいろなことを発見できることです。(小ブログを除いて)個人ブログの質も高まってきており、「今日のランチ」ネタから「メディア報道を客観視して真実を問いかける」内容のものも増え、そのコミュニティも徐々に広がりつつあります。
既存マスメディアの方からすれば、「情報の二次使用なのに自分で取材したような書き方するな」とか「ウラも取っていないのにネットへ掲載するとは何事だ」という批判も少なくないはず。まだ情報発信の雄は「新聞」であると思っていますが、個人ブログの発信によって各マスメディアの解説を論じるカタチができあがってきたのだと感じます。その多くのブロガーたちは新聞を中心にしたマスコミへの叱咤激励とばかりに“けちょんけちょん”に書きたてる節が目立つのですが、そのようなネット内で形成された意見を無視するのではなく、読者からの「声」として耳を傾けてはどうでしょうか?
ブログの書き手は、読んだ方からの「コメント」が一番うれしいものです。そのコメントに賛否があるのは当然のこと。新聞人も読者からのコメントはありがたいと思うのですが、どうでしょう。コメントが来なくなったらそれこそオワリだと思うのです。
資産を頼りにしないことが理想ですが、実際にはなかなか厳しいでしょう。企業にとって一番の資産は「人材→人財」であってほしいと思います。
ジャーナリズム活動は金にならないので、本気でその活動を実践しようと思うなら編集に全く介入しないパトロンがいないと難しいものです。米国では新聞社の経営を「寄付」によって賄うか、NPO化して再出発を図るという方向へシフトしていると聞きます。
日本の場合は戦後のどさくさで社屋はそれぞれ一等地をあてがわれたので固定資産はそこそこ所有してますが、その固定資産に輪転機を置くのか、商業施設として定期的な家賃収入を得るのか、それぞれの新聞社の経営センスの違いがはっきり分かれてきたというところでしょうか。
きのうのNスペでも佐々木俊尚さんがおっしゃっていましたが、「高コスト体質の既存マスメディアはジャーナリズムを守るというより、企業体を守るということのみを優先させている」と皮肉っていました。
労働組合的にいえば、「生活・賃金を守る」ことは大前提で、「設備投資よりも人材へ投資せよ」となるわけですが、情報技術の進歩とともに「コスト」への意識(見られ方)も変わってきたように思います。
ネット社会ですべてが可視化されたことによって、世論誘導や記者クラブなどの問題が露呈(既存メディアからの反論もない)し、プロのジャーナリスト=新聞記者という定義も崩れかけているように感じます。新聞から「信頼」がなくなったら終わりなんですけど…。
小ブログも「信頼回復」のために「声」をあげているのですが、グループ内では…。それこそ昨夜のNスペの内山さん状態と同じなんですよね。