トヨタプリウスのリコール問題について、各メディア(特に新聞)の取り上げ方について考えてみたいと思います。
実は!今だけ委員長もプリウス(2007年式)のユーザー。エコ減税などなかった時に少々割高だったけれど燃費のよさに惹かれて購入しました。ディーラーの担当者も親切な方で、いまでも快適に生活の足にとして活躍しています。
米国では大騒ぎになっているリコール問題。米国では集団訴訟にまで発展する様相ですが、日本のメディアの報じ方は「販売台数世界一になったトヨタ(日本企業)へのやっかみ」だとか、「マクドナルドのコーヒーでやけどしたことで訴訟するような米国人(訴訟社会の米国)」、「部品も現地調達なので品質に問題」など、「トヨタは悪くない」と印象付けるものがほとんどだと感じていました。
そして日本でも新型プリウスのブレーキ制御部分のトラブルで、リコール問題へと発展しているのは周知の通りです。
何となく、プリウスのリコール問題についてマスコミの突っこみが甘いように感じています。「腰が引けてはいないか」と。
新聞やテレビの大口スポンサーだから「突っこみはほどほどに…」と電通あたりから指示が出ているのではないかと思うくらいです。
以前にもありましたね、元経団連会長を務めた奥田碩氏のマスコミに対する問題発言。
元日本経団連会長で、トヨタ自動車取締役相談役の奥田碩氏の発言が波紋を呼んでいる。12日に開かれた同氏が座長を務める「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、マスコミの厚生労働省批判に言及。特にテレビに対し「個人的」としながらも「あれだけ厚労省が叩かれるのは、ちょっと異常な話」「正直言ってマスコミに報復してやろうか。スポンサーでも降りてやろうか」と発言した。
▽トヨタ奥田氏 何様か!(九州企業特報より)
http://www.data-max.co.jp/2008/11/post_3419.html
これまでも当ブログで紹介させていただいた日本経済新聞社出身で日本広告学会常任理事の森内豊四さんからもプリウス問題に関するご意見を頂戴しました。とても示唆に富み問題点を的確に指摘されているので、引用します。
ご存じの通り、トヨタは今、不具合に発するリコール問題で苦心惨憺しています。同社は、アメリカではお詫びの新聞広告を出すとともに、テレビCMでリコールについての説明も流し、懸命に信頼回復に努めているようです。原因がトヨタにあるとはいえ、アメリカのメディアや産業界には、世界1の座を奪われたことへのやっかみや報復もうかがわれ、トヨタパッシングには苦々しく思っておりました。
しかし、国内でのプリウスのリコールにまで飛火し、なおそこに至っても国内では何の説明をする広告も打たないことについて、いま不信感にとらわれております。
トヨタは2年前、同社の赤字を報じる記事に、「広告を減らすぞ」というかたちでマスコミに反撃を加えました。また昨年、新聞協会とアドバタイジング協会とが共同開催したシンポジウムでも、朝日の広告局長を謝らせたことがあったと思います。それは企業として最低のやり口で、日本一の多額の広告費を使ってきたことへの驕りがありありと見えます。みな口にこそ出さないまでも腹の中では忌々しく思っているはずです。
数年前、松下(当時)は欠陥石油ストーブの回収のために年間300億円とも言われる宣伝費を、これでもかこれでもかと使い続けました。その愚直さが却って消費者の好感を呼び、イメージ修復のみならず同社の業績回復へとつなげることになりました。
トヨタはそこから何も学んでいなかったのでしょうか。社会面の半2段程度のお報せでいいものでしょうか。それさえ出していませんが。
これはあまりにも国内メディア軽視というか見くびりすぎです。そんなことを進言する人もいないとみえて、メディアも広告関係者も一切口をつぐんでじっと逼塞しています。
しかしそれが本当にトヨタのためになるかどうか。
トヨタは日本を代表する企業ですから、応援したい気持ちはやまやまです。しかし、これではどうしようもないのではと思います。遅れれば遅れるほど、名誉挽回は遠のき、ずるずる後退することを何よりもトヨタのために懼れるものです。同時に、メディアは自らのレゾンデートルのためにも、トヨタの傲岸に批判のひとつも加えるべきではないでしょうか。