2010年01月19日

報道せざるを得なくなったクロスオーナーシップ規制見直し

 きのうのエントリー「新聞が報じない原口大臣の『クロスオーナーシップ』禁止会見 業界の談合でないことを願いたいが…」の続きです。

 原口一博総務大臣は19日、閣議後の会見で、新聞社からテレビ局への出資を規制するクロスオーナーシップの見直しについて再び言及したことを受けて、各新聞社のサイトでも取り上げられています。これまで、この問題に関する記事が紙面に登場することはありませんでしたが、あすの朝刊には記事化されるのではないでしょうか。

 23:30時点でアップされているのは以下の3つの新聞系サイトです。47NEWSとアサヒコムのアップが遅れているのは、記事化するに値しないと判断したのか…明日の紙面が楽しみです。

▽メディアの同一資本支配、規制を議論へ…総務相(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100119-OYT1T00649.htm
▽新聞から放送局へ出資規制 総務相が導入検討(産経BIZ)
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100119/ecc1001191308006-n1.htm
▽原口大臣がクロスオーナーシップ規制見直しに意欲、現行制度の有効性を検証へ(日経ニューメディア)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100119/343414/

 原口大臣の会見内容が新聞社によってどのように編集されたのか、上記のサイトを一読した後に会見の映像を見てみると実際の発言と文字で伝えようとしていることに微妙な違和感を感じます。
▽クロスオーナーシップは言論の多様性から見て問題(ビデオニュース・ドットコム プレスクラブ1月19日) ↓のサイトから会見の映像が見れます。
http://www.videonews.com/press-club/0804/001337.php


 新聞とテレビ局は広告収入の大きな落ち込みによって、さらなる業務提携が進むのではないかとみる向きもあります。河内孝氏は著書「新聞社 破綻したビジネスモデル」のなかで、メディアコングロマリットを早々に予見していますが、新聞社やテレビ局の経営を維持するためにホールディングス化を模索する動きも注目されるところです。フジ・メディア・ホールディングスへ参入したい産経新聞社のような事例もあり、これまでような新聞社がテレビ局を支配しているというより、上場している(市場から金を集められる)テレビ局が新聞社を系列に加えるということもあり得るのではないでしょうか。

 原口大臣が懸念する「同一メディアによる資本支配によって言論の多様性が損なわれる」という問題よりも日本のマスメディアの経営の現状はもっと深刻で、「あまりいじられたくない」というのが本音のような気がします。
 また、メディアの資本融合によって言論統制のようなことが起こる可能性があるとすれば、そこで働く新聞人や労働組合がきちんとその役割を果たさなければいけないと思います。「会社が大変だから…」と何でものみこんでしまうと、生活者の信頼を損ねることになるのだと改めて考えて欲しいものです。日本新聞労働組合連合の新聞研究活動にも今回の報道の在り方などを検証してもらいたいものです。

 18日から始まった通常国会には「通信・放送の融合法案」が提出される予定ですが、クロスオーナーシップの規制見直しについては、「まずは議論を進めていきたい。この国会で実現できるかどうかは、まだ言える話ではない」というに止めた原口大臣。新聞はこの問題の本質を分かりやすく解説し、その争点を読者へ提示してもらいたいと思っています。

 ちなみに、14日に開かれた日本外国特派員協会で行われた記者会見の映像もユーチューブにアップされていました。


posted by 今だけ委員長 at 23:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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