詳しくは全下野労組ブログ「闘争日誌!」を参照してください。
今回の争議を少なからず支援をしてきた側からすると複雑な気持ちですが、自分たちの労働条件を自分たちで決定し、自分たちで運営する労働組合(執行部)の決断なのですから尊重したいと思います。大変お疲れ様でした。今後の条件整備に向けて更なる団結を願ってやみません。
この争議を通じて、個人的に2つの問題点を考えさせられました。
ひとつは「労働協約とは社外でどの程度の効力があるのか」という点です。労働法の概念自体が「資本の原理」や「格差社会」によって弱まってきているのではないかと感じています。今回の争議で同労組が宇都宮地裁に対して「会社側計画撤廃」仮処分申請を行ないましたが、宇都宮地裁の判断は「会社が十分に組合に説明すれば、組合の合意はなくとも構わない」という解釈を示しました。労働協約はそれぞれの労使間の憲法のような位置づけなのですが、会社分割制度(商法改正により2001年4月施行)などの法改正によって、企業に働く人達は「持ち株会社」に支配され「子会社の社員」になってもおかしくないという企業側の理屈によって、私たち労働者の権利が徐々に後退して行くのではないかという不安は拭えません。
ふたつ目は、「新聞社の印刷部門の切り離し別会社化の更なる加速と資本独立の意義が危ぶまれる」という点です。新聞社の印刷部門を別会社にするという動きは全国的に広がっています。東北でも福島民友新聞社(転籍)、河北新報社(出向)が、すでに印刷部門を別会社として稼動させており、今年4月から秋田魁新報社(出向)も別会社を設立し印刷業務を移管させるようです。
新聞は取材、印刷、宅配それぞれの工程を辿ってひとつの商品となるわけですが、宅配に加えて印刷部門までも別会社となると新聞社の意に反して輪転機が回らないという事態も起こり得るのではないかと心配します。「別会社とはいえ経営権は有している」と経営側は語るのでしょうが、例えば印刷会社に別な労働組合が組織されストライキが行なわれた場合なども想定されるわけです。印刷会社の従業員として採用される方々が「新聞の使命」をどれだけ認識できるのかは未知数ですし、これまで読者に提供してきた新聞の流通の質的向上にはつながらない思います。
また、新聞社資本の印刷会社も稼働率を上げようと印刷物の受注をめぐって、既存の印刷業社との軋轢も起こりえるでしょう。
【全下野新聞労働組合のコメントから】
我ら敗れり、しかし倒れず。組合再生、経営民主化、新聞印刷と印刷の仲間を守る・・・この言葉を噛みしめて、進んでいくことをここに表明します。
噛み締めましょう・・・
結局は編集部門を中心とした新聞労働者の労働条件維持(待遇維持)が根本にあって、編集機能だけが新聞の生き残りだ―と勘違いをしている経営者(労働者もかな?)が増えているということなんです。