日本郵政グループのJP日本郵便と日本通運は24日、宅配便事業の統合計画を大幅に見直すことで合意。統合に向けて両社の出資で設立した「JPエクスプレス」は来年7月に清算し、人員や設備の大半を日本郵便が引き受けて「ゆうパック」に一本化することが発表されました。日通の「ペリカン便」は消滅し、宅配便事業から撤退するようです。
▽日通、宅配便から撤退 統合計画が破談(朝日新聞12月25日付)
http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY200912240455.html
結局、日通が日本郵便と手を組み「JPエクスプレス」を立ち上げたものの、日本郵便側が「将来性がある収入部門の宅配事業を別会社(JPエクスプレス)にすると本体の経営が悪化する」などとして、ゆうパック事業を手放さず(総務省も認可しなかった)、日通側が宅配事業から撤退。「JPエクスプレス」を清算して、日本郵便の事業部門(ゆうパック)に残すということになったというわけです。
日通側は「JPエクスプレス」の従業員6300人を日本郵便へ受け入れるよう求めていますが、難しいかもしれません。私が勤務する会社にもJPエクスプレスの紺色のユニフォームを着た従業員の方が来られるのですが、JPエクスプレスの直接雇用の方もいれば、「赤帽」の軽トラックで配達する個人事業主(業務請負)もいます。日本郵便も多くの契約社員を抱えているので、受注量をかなりあげないと6300人の継続雇用は難しいのではないかと思います。
日本郵便がどのような戦略で宅配事業の巻き返しを行ってくるのかわかりませんが、当面はヤマト、佐川のツートップの牙城はそのままということになりそうです。
以下は朝日新聞の記事から一部引用。
JPエクスプレスは08年6月に設立。今年4月の増資で日本郵便が66%、日通が34%の出資比率になり、同時に双方の宅配事業を移す予定だった。だが、日本郵便側について総務相の認可が出ず、日通のペリカン便事業だけが移行して発足した。
このため、従業員のうち約6300人は日通からの出向。日通は自前で宅配事業を続ける意思はなく、出向社員の日本郵便への移籍を求めるとみられる。日本郵便側は「雇用確保には努めるが、『今のまま』はありえない」と述べており、交渉が難航する可能性も残っている。
当初の統合案が、なぜ発表から2年もたって破談になったのか。関係者には、計画が「西川案件」だったからと指摘する声が多い。
日本郵政の西川善文前社長が青写真を描いた当初案は、民間流のトップダウンで事業再編を進める手法で、評価する声も多かった。だが、日本郵便の現場や総務省の一部には「成長が見込める宅配便事業を外部に切り出してしまうと、日本郵便本体の経営が悪化する」との声もあった。
かんぽの宿問題で西川氏を批判していた鳩山邦夫総務相(当時)がそうした声をくみ取り「業績の下ブレ懸念が拭(ぬぐ)えない」として、日本郵便の宅配便事業を移すことに「待った」をかけた。その後の総務相も統合計画を認めず、JPエクスプレスは態勢が整わないまま赤字を膨らませた。10月に交代した斎藤次郎社長ら新経営陣からも「西川案件」の一掃を求める声が強まり、統合撤回に至った。
日通に問い合わせてみましたが、日通がJPエキスプレスへ統合した宅配事業(ペリカン便)のみを日本郵便(ゆうパック)へ継承するということのようです。したがってスキー・ゴルフ・クール・空港の各ペリカン便は継続になるようです。
http://www.jpexpress.jp/personal/whats_new/2009/1224_01.html