少々早いのですが…2009年も何かと忙しい年でした。いろいろとお世話になった皆さま、訪問してくれた皆さま、今年1年どうもありがとうございました。
今年の世相を最も反映した漢字は「新」ということでしたが、新聞業界のこの1年を振り返るとどうでしょう。私のイメージは「共」ですかね。業界内だけでなく、他産業ともさまざまな提携を推し進めた新聞社もありました。単独で生き残り策を模索するより、共同で相互の利益を考える方がリスクは少ないですから。でも皆腹黒いので慎重に事を進めなければ。
もうひとつあげるとすると「休」という漢字も多く使われました。あとは「減」も…。あまり前向きではありませんね。
昨年に引き続き、新聞協会報(09年12月15日付)が報じた「2009年報道界重要ニュース」(協会報編集部選定)を引用して、今年1年を振り返りたいと思います。
注:重大ニュースに順位づけはされていませんが、見出しの大きさなどを勝手に判断して並べています。
@毎日が共同に来春加盟へ 地方紙十数社と個別に提携
毎日は来年4月から共同に加盟する。共同の配信記事を紙面に活用するほか、地方紙数十社とも個別に提携し、取材拠点を置いていない地域面の記事配信の実現に向け協議中だ。これにより、分析や解説記事など独自取材を充実させる。
Aメディア対応政権交代で変化 事務次官会見を廃止 外相会見、全メディアに開放
8月の総選挙結果を報道各社は「民主308 政権交代」「自民支配に終止符」といった見出しとともに詳報した。選挙後、民主、社民、国民新3党の連立による鳩山内閣は「脱官僚」を掲げ、事務次官会見を廃止するよう各省に指示。長官会見を廃止するなど過剰反応も見られ、記者クラブから抗議の声が上がった。また、鳩山政権に対応するため、各部横断型の取材チームを発足させるなど連携を強化する動きが報道各社で相次いだ。
B裁判員会見に地裁側介入 守秘義務の範囲、あいまい
8月の東京地裁を皮切りに、全国で裁判員裁判が順次開かれている。裁判員経験者らによる記者会見では、報道側が強く求めていた音声の録音・録画が実現していないほか、地裁職員が「守秘義務に抵触する」として介入する問題が相次いでいる。新聞協会編集委員会は制度や取材・報道上の問題点を整理。検討するため来年1月に調査を実施する。
広告収入の激減などを受け、全国紙でも2009年中間連結決算で赤字に転落する社が出るなど、新聞社の経営環境は著しく悪化した。新聞協会の調査委によると、08年度の新聞41社の営業利益は前年度比89.0%減、経常利益は同79.3%減、当期純利益は同90.7%減となり、いずれも減率幅が大きく拡大。08年の日刊紙の1世帯当たり部数は0.98部となり、初めて1部を割り込んだ。
D公正販売実現へ推進会議 正常化徹底全国に呼び掛け
公正販売の実現に向け、関西地区で新聞を発行する7社(朝日、毎日、読売、日経、産経、京都、神戸)は9月、大阪市で関西新聞販売正常化推進会議を開いた。公正競争規約(6・8ルール)の厳守など15項目の合意事項の順守と確実な実行を約束したほか、「共同声明と行程表から逸脱する行為があった場合には、当該局長が責任を持って是正する」との関西7社販売局長共同声明を採択した。京阪神・近畿地区では、大型景品類の提供や景品としての無代紙が横行していることを踏まえた。
E印刷の受委託 さらに進む
新聞社間では、印刷での提携がさらに進んだ。経費削減や安定輸送が狙い。各社は共同輸送も視野に入れている。東京読売は7月、新潟県の上・中越地方向け朝刊約7万部の印刷を来秋から新潟の印刷センター(新潟市)に委託すると発表。会見で新潟の高橋道映社長は「全国紙との競争と協調の一つのモデルになるのではないか」と述べた。
FNIE開始から20年
1989年に学校への新聞提供がパイロット計画として東京で始まってから、20年が経過した。今年度のNIE実践指定校は47都道府県536校に上る。小中学校の新学習指導要領と解説書に新聞活用が多く盛り込まれるなど、新たな展開を迎えている。
Gバンキシャ誤報問題 日テレ社長が引責辞任
日本テレビの久保伸太郎社長は3月、岐阜県の裏金作りに関する虚偽の証言を放送した「真相報道バンキシャ!」の誤報問題で引責辞任した。番組は継続させた。日テレは社内調査を踏まえ、報道局に危機管理チームを置くなどの再発防止策をまとめた。業務妨害罪などに問われた情報提供者は7月、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けた。
Hデイリースポで広告掲載漏れ 社長辞任、新聞協会は加盟社調査
デイリースポーツ社で4月、広告の掲載漏れが判明した。社内委員会の調査によると、東京本社が発行する朝刊の4.8%に当たる7版で、掲載申し込みがあった広告の約40%が未掲載だった。朝刊掲載の契約だった広告を朝夕刊双方に掲載した例も約40%あった。6月には、橋田光雄社長が引責辞任した。再発防止のため7版は7月末で廃止した。
I書籍・新聞・雑誌の電子版配信へ協議
デジタル化した書籍のウェブ検索サービスをめぐり、米作家協会、全米出版社協会が米グーグルを提訴した集団訴訟の和解案は当初、日本の著作権者にも効力が及ぶとされ、インターネット時代の出版流通と著作権保護の在り方について大きな議論を巻き起こした。