以前にもこのブログで紹介させていただいた日本経済新聞社出身で日本広告学会常任理事の森内豊四さんから、「日本広告学会40年史」(第1章:日本広告学会設立の経緯)を贈呈していただきました。
広告に関する学術研究の場として、経営学、社会学、商業額等の関連諸科学部門の学者、研究者によって構成される日本広告学会は、1969年12月6日、東京千代田区神田の学士会館で開催された創立総会をもって日本広告学会は正式に発足しました。しかし、当時のマスメディアは日経を除いてニュースとして扱ったところはなかったと言います。学会創立の前後、日本の広告費は4年間で倍増するという驚異的な成長を遂げることになり、新聞、テレビを中心とするマスコミ産業の発展に大きく寄与することになります。
研究されるプロジェクトは相当なボリュームです。例をあげると、広告の経済的機能、広告の社会的機能、広告関係諸機関の組織、広告管理、広告モデル、広告効果測定の開発、広告教育の方向・内容・扱い方、消費者行動から見た広告、広告心理、広告費、広告のクリエイティビティ、広告倫理・広告規則、広告学体系化など…。学会の発足時から携わってきた森内さんの見識の高さは、このような学術的な研究成果が裏打ちされていることを改めて理解しました。本書には歴史的経過が時系列にまとめられており、資料価値は相当高いと思われます。
森内さんは先週10日発刊のアドプレス(広告業界の専門誌)にも寄稿(歴史的転換点を迎えて)されています。引用すると
しかし、インターネットの進展や地球環境の制約から、従来の、大量媒体を利用することで業界が発展する方式は行き詰ってしまった。いくら広告を打っても成果が上がらないということは、広告の送り手も受け手も広告から遠ざかってしまったということである。しかもこれは欧米の先進国にも共通した現象である。広告は構造不況に陥ったとみなければならない。従来の景気循環的な見方を改め、広告は駅私的な転換点を迎えたとの認識に立つべきである。
これからは「より大きなビジネス」ではなく「よりよいビジネス」、すなわち広告本来の知恵や創造性を競う方向へと転換を図る必要がある。代理店の本質的な仕事は、真に優れたクリエーティブの提供と効率的なプランニングの提案にあることは言を俟たない。広告会社は営業部門を思い切って縮小し、機能別再編で広告の原点回帰に努めることだ。そのためには、フィーへの転換が必要となる。
森内さんの考察は常に原点から外れることなく、クライアントと消費者双方の立場からそれぞれの利益を代弁してくれます。そしてマスメディアと広告の適切な関係とその重要性など学ばせていただくことが多々あります。
新聞は現役の新聞人と学会(研究部門)との間で意見対立が激しく、相容れない関係であると言われますが、広告はどうなのでしょう。それぞれの研究成果を結び付けていくと最適な広告・マーケティング手法が確立されるようにも思うのですが…。政府の景気対策に勝るものはないのかなぁ。
▽コミッションとフィーの説明
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa650759.html