毎日新聞社の共同通信加盟と共同通信社加盟社との「包括提携」の発表会見から1週間経った12月4日、共同通信の石川社長が「11月26日合同記者会見の一部訂正と追加説明」について会見を行いました。
なぜ、共同通信社が「共同加盟社との包括提携の訂正」の会見を開かなければならなかったのか?とても疑問です。共同通信加盟社の理事会で説明すれば済むことなのに、なぜ記者会見までして朝日、読売や業界紙に伝えなければならなかったのか?これは何らかの力が働いたのではないかという思いが拭いきれません。その引き金となったのが朝日に掲載された中日新聞社編集局次長(なぜ局次長なのかも疑問)のコメントではないかとの仮説を立てて考えてみました。
・・・毎日の再加盟は、共同通信の加盟各社にも波紋を広げる。名古屋を中心としたエリアで7割近いシェアを誇る中日新聞の臼田信行編集局次長は「競争相手である毎日と同じ記事が載ってしまう可能性がある。新加盟は好ましいと思っていない」と言い切る。加盟56社の中で、同社の販売部数は日経に次ぐ約270万部。だが毎日はこれを上回る。「その分、共同への発言力は大きくなるだろう。共同には、加盟社からの要望に偏りなく対応するように求めたい」と語る。(11月27日付け朝日記事より引用)
朝日新聞が「毎日の共同再加盟と加盟社との包括提携」をかなりのスペースを割いて掲載したわけですが、朝日の担当記者は11月26日の包括提携会見の後、Twitter(ツイッター)で「毎日新聞と共同通信が包括提携を発表しました。読者や業界にどんな影響があるか、明日の朝刊で読み解きます。」と発信しています。中日新聞編集局次長のコメントも含めて何かしらのシナリオをこの時点で描いたようにも受け取れます。地方紙に対して「聞き流していいの?」と言わんばかりに…。そうでなければ、わざわざ記者会見するまでもないネタです。共同加盟社の理事会で決定すればいいことなのですから。
ここぞとばかりに、(朝日と読売に加え有力地方紙も)毎日新聞つぶしに拍車をかけたのではないかと見ています。
読売は26日の合同会見記事を一切掲載せず、「包括提携の一部変更」会見のみ掲載していることを見ると、有力地方紙とつながっていて、共同通信の訂正会見(地方紙が割れている)を見越したかのようにも取れます。新潟日報も来年から読売と受託印刷(上越・中越地域)を開始するなど、地方紙でもANY連合と複雑に絡み合っている社も増えています。共同通信を軸とした地方紙連合(47NEWS)が一枚岩になっていないことの裏返しのようにも受け取れます。共同通信への出資金も地方紙にとってはかなり負担になってきていますから、朝日や読売から配信を受ける地方紙も今後出てくるかもしれません。
経営が厳しくなると、経営効率を優先させる(自社だけが生き残ればよいとする)新聞経営者の節操のなさが如実に表れてくるものです。ですから新聞経営問題とジャーナリズムの問題を複合的に議論していく必要があると思っています。