このところ、新聞価格の流動化が目につきます。先月だけでも2件の事例が業界紙で紹介されていました。
売上が伸び悩む新聞業界のなかでも、スポーツ紙とビジネス紙の落ち込みは相当なものです。以前は販売部数を引き上げるため「人とオマケ」に投資したキャンペーンが展開されてきたのですが、「値上げ」と「値引き」によって増収策を模索しようとする新聞各社の動きが出てきたと感じます。
スポニチ大阪本社 1部売り130円に値上げ(新聞情報 10月7日付)
スポーツニッポン大阪本社は1日から1部売り定価を120円から10円引き上げ、130円に改定しました(月ぎめ購読料3260円は据え置き)。ただし、名古屋市内で現地印刷する東海版(愛知、三重、岐阜エリアで発行)の1部売り価格は120円のまま据え置くとのこと。即売定価を二重価格にするということです。「即売用と宅配用とでは紙面構成も若干違う」とは言え、新聞特殊指定の「差別定価」との兼ね合いが問題視されてしかるべきでしょう。
週刊誌とセットで1935円引き ビジネスアイとダイヤモンドで(新聞通信 10月29日付)
フジサンケイビジネスアイ(日本工業新聞新社)は、10月の新創刊1周年を記念して、ダイヤモンド社と連携して、「週刊ダイヤモンド」とのセット定価キャンペーンを23日から開始しました。キャンペーンは来年1月末まで実施されるようです。
ビジネスアイと週刊ダイヤモンドのセット販売は、1年間の購読契約をクレジットカード決済するとことで、定価7万5400円(ビジネスアイ月ぎめ4200円×12カ月とダイヤモンド年間購読料2万5000円))のところ6万300円で購読できるというもの。年間1万5100円(20%)の割引となります。
週刊ダイヤモンドはもともと年間定期購読の割引制度(ビジネス系週刊誌はほとんど)を導入しているので、今回の連携でダイヤモンド社側が更なる値引きに応じたとは考えられません。そうするとビジネスアイ側がセット価格の割引分の転嫁を受けたと考えられます。ビジネスアイの購読料は5万400円(4200円×12カ月)から3万5300円へ実質30%割引されることになります。