久しぶりに骨っぽい映画を見て興奮しました。「沈まぬ太陽」
山崎豊子原作の「沈まぬ太陽」は、元宮城教育大学長の伊藤博義さんに勧められて、発売後(2001年11月)すぐに購入してほぼ徹夜で読みあさったものです。http://minihanroblog.seesaa.net/article/22254689.html
航空会社の労働組合委員長として「空の安全」を求めて会社とたたかった主人公の恩地元の生きざまを描いたストーリーですが、労働組合を「アカ」呼ばわりする経営陣の組合分断工作によって労働組合が骨抜きの「御用組合」へと化してしていく様は、日航には複数の組合(確か8つ)が存在する元凶でもあります。
父親が労働組合の役員であることで差別を受ける家族の苦労と友人の裏切り。そして520人の犠牲者を出した「日航機墜落事故」の犠牲者の無念の思いや遺族の悲しみは涙流さずにはいられません。恩地へのコンプレックスからか、次第に不正と乱脈で権力の座へ上り詰めようとする元同僚の行天のような人間はどこの会社にもいそうです。
政官財の癒着にも原作以上に深く切り込んでいたように感じます。「何を書いてほしいんだ。あいつを潰すために書いてやるよ」と日航幹部にたかる新聞記者の描き方に「チョットやりすぎ」と感じましたが、これが今の世間の見方なのでしょう。
まともな労働組合の存在がどんなに大切なものか痛感させられます。
主演の渡辺謙さん。いい味出してました。渡辺さんが恩地元役をやることで、原作の主人公像により深みがましたと思います。
そんな学生生活を送ったこともあり、少数組合に踏みとどまっています。
「沈まぬ太陽」は私も読みました。勇気づけられた一冊です。
伊藤先生との出会いは、私が13年ほど前、新聞販売店労組の書記長をになっていた時代に会社との争議を抱え、もがき苦しんでいた時にお世話になりました。当時、東北文化大の教授室にも押しかけててアドバイスをいただいたものです。
その後も、メーデーの際にも当販売店労組のメーデー集会にもご出席いただき、「メーデーとはなんぞや」「働く人の価値」などの講義を受けました。
そのあとも、当時の労組委員長とともに自宅に招かれ、奥さま(新潟出身だったかと)の「冷や汁」をご馳走になったことを記憶しています。
新聞社ではない、新聞販売店の労働者からの相談にも真摯に対応してくれた伊藤先生の懐の深さは、私の生涯の(こうありたいという)「手本」のような方です。