2009年10月29日

シビックジャーナリズムの実践によって達成される目的を考えたい プラス【告知】スイッチオン仙台シンポ

シビックジャーナリズムの挑戦.jpg
シビックジャーナリズムの挑戦
著者 寺島英弥(日本評論社)1,890円

 ちょうどこの本が出された2004年は、自身にとってウェブ関連の動きに興味を持つようになったり、mixiやグリーに登録したり、このブログを始めるきっかけになった年でした。そうそう「EPIC2014」のショートムービーにカルチャーショックを受けたのもこの年だったような気がします。
 その前年に時事通信社の湯川鶴章さんが「ネットは新聞を殺すのか」を出版し、新聞産業のビジネスモデルに危機感を抱く方々との交流が広がりました。新聞労連が開催した産研集会で出会った「ガ島通信」の藤代さんや「猫手企画@新聞屋」の小石さん、ローカルメディアネットワーク(mixi内)を立ち上げた畠山さんなどとの出会いもちょうどこの頃。新聞特殊指定撤廃問題で揺れていた当時の新聞労連委員長は「ニュース・ワーカー2」を運営する美浦克教さんでした。

 米国の新聞社が展開していた「情報をタダで配信しアクセス数を稼ぐ広告型ビジネスモデル」に舵を切りつつあった新聞産業の方向性を検証し、読者の「紙」離れや紙面広告とのカニバリゼーションなどについて、(私は話について行くのが精一杯でしたが…)夜な夜な議論したものです。マーケティングの本を読みだしたのもこの頃で、商品化された新聞紙面に意見などできる立場にない販売労働者が「生活者の声」を編集側に伝えないと生活必要財として新聞は生き残れなくなるのではないかと強く感じたものでした。これまでは「新聞産業を歪めているのは、押し紙問題に派生する構造的な問題だ!」としか言わなかった輩だったのに…。


 前置きが長くなりましたが、これまでの新聞ビジネスモデルの危機がささやかれた時に、シビックジャーナリズム(パブリックジャーナリズム)の必要性を紹介したのが寺島さんです。寺島さんは河北新報社の現役記者で、2002年8月から7カ月間フルブライト奨学生(ジャーナリストプログラム)として米国で過ごし、米国の地方紙の20%が実践しているシビックジャーナリズムの事例を紹介しています。それぞれのテーマを独自の取材をもとに構成、解説されているので、「これから重要となるジャーナリズムの方向性」が、私のような初心者でもわかりやすく読めます。

 読んでから5年たった今思うことは、「何のために」シビックジャーナリズムを実践する必要があるのかという視点です。新聞を核に地域社会のまとまりを高めようという運動、市民(生活者)の側を向いた紙面づくりによって達成されるものとは何か。こと最近の新聞人の議論は、新聞社の財務状況が潤うことばかりに傾注しすぎているような気がします。
 ジャーナリズム活動は個々人がその精神と能力を持っていれば果たされるのかもしれませんが、マスメディアのような組織的ジャーナリズム活動はその企業の経営が成り立たなければ、人員削減はもとより取材体制の縮小など活動の維持は難しくなってくるものです。個人が発信できるメディアツールは増えてきたものの、既存のマスメディアの「チカラ」をあえて手放す必要はない。そのマスメディアに働く方々がジャーナリストたる精神を取り戻し、能力を研磨することが必要なのではないかと思っています。
 そういうメディアを一生懸命に売りたいし、生活者もそんなジャーナリストの集合体を支えてくれると思うのです。


【告知】
 その寺島さんも参加する「スイッチオン」プロジェクトが仙台でシンポジウムを行います。



誰でも発信できる時代の「伝える」を考える〜「11・28仙台シンポジウム」

テーマ:「磨こう!思いを『伝える』スキル 〜誰でもジャーナリストになれる時代に〜」
時間:11月28日(土)13時半受付開始、 14時開場、16時30分終了予定。
会場:せんだいメディアテーク 7Fスタジオシアター(アクセスはこちらから)
参加費:無料
対象:どなたでもご参加いただけます
人数:先着180名(申込フォーム
パネリスト : 寺島 英弥、高成田 享、関本 英太郎、紅邑 晶子
コーディネーター : 藤代裕之

 マスメディア、研究者、NPO関係者がパネルディスカッションを行い、誰もが情報発信できる時代の課題や可能性、情報発信や表現のスキル、そしてメディアとしての役割を考えていく。参加者を巻き込んだミニワークショップ、街に出て取材している大学生とネットで中継して取材状況を聞くインタラクティブな企画も予定しています。
スイッチオン.jpg

「スイッチオン」プロジェクトは、各種マスメディアで活躍するプロが組織の枠を超えて協力。大学生記者と共に取材を行い、記事を制作する、実践的かつ実験的な大学生向けのジャーナリスト育成プログラムです。



posted by 今だけ委員長 at 19:42 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍紹介
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[読書][新聞・マスメディア]読書:「シビックジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙」(寺島英弥 日本評論社)
Excerpt: シビック・ジャーナリズムの挑戦―コミュニティとつながる米国の地方紙 作者: 寺島英弥 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2005/05 メディア: 単行本 クリック: 1回 Amazon.c..
Weblog: ニュース・ワーカー2
Tracked: 2009-10-31 12:52
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