2009年07月30日

R25式成功は「グループインタビュー」によるターゲットリサーチ

「R25」のつくりかた.jpg
「R25」のつくりかた
著者 藤井大輔(日経プレミアムシリーズ)893円


 ターゲットを絞れば「紙」でも手に取ってもらえる。M1世代は活字離れなんてしていないし、日本経済新聞を恰好よく読みたいけれど難しすぎて「手が出ない」。
 そんなM1世代をターゲットにしたフリーペーパー「R25」の元編集長が、その成功までのマーケティング手法をまとめた1冊です。


 「R25」創刊の経緯は、リクルートが毎年1回開催している新規事業開発コンテスト「NewRING(RECRUIT INNOVATION GROUPの略)」の2002年に準グランプリを受賞した「ペーパーポータル構想」が企画の発端です。リクルートは新しい事業を立ち上げたいと思う人たちが多く、このコンテストは毎回700グループが参加するほど盛り上がるそうです。この辺の社内風土は見習うべき点も多いし、経営者の決断力が大きく影響しているいと思われます。


 活字を読まない人に活字を読ませるためにはどうすればいいか、どんな本の仕立てにすればいいか、じゃあその本はどんな判型にしたらいいのか、どんなタイトルなのか、それはどこで読まれるべきなのかといった、R25式のたたかいが始まります。そのなかで一番重視したのが「グループインタビュー」。本文で紹介されているR25スタッフの熱い議論、挑戦はまさに『プロジェクトX』。リサーチに1億円を投資するリクルートの底地にも感心します。


 リクルートはそもそも情報誌を販売して利益をあげるビジネス。いわゆる「紙」ビジネスがその生業でした(有料誌7割、ネット2割、フリーペーパー1割の収入構造)。それが7年前の「ホットペッパー」の爆発的ヒットでリクルートの収入構造が大きく変わります。現在では有料誌3割、ネット2割、フリーペーパー5割へと収入構造が変わっています。
 情報がデフレ化している状況下で、有料化から無料化への波が来ていると著者は問いかけます。しかし「無料だからと言ってもコンテンツが面白くなければ読まれない」。そのあたりは新聞人も熟慮する必要があると思います。

 おととしの3月、著者の講演をうかがう機会がありました。時代をつくる人はやっぱり何かが違いますね。優れた能力に加えて人を包み込むような「魅力」を藤井さんに感じたことを覚えています。

 そういえば、きょうで「R25式モバイル」(朝イチmail・夕刊mail)のサービスが終了します。今だけ委員長もユーザーだったので、チョット残念。
http://r25.jp/b/static/a/static/stn/mobile

 講演をうかがった当時、藤井さんはこんなことを言ってました。


…「R25」というのはモバイルを持っていたり、駅のラックに広告、雑誌を立てられたり、中吊りにも広告が仕込めたり、PCサイトにも広告が仕込めたりで、7つ広告が仕込めるようになっているんです。M1ターゲットに対してクロスメディアということで。で、平日の行動動線でさっきも見たところを1日全部網羅できるようにしているのですが、「7つ全部買っていただくとより効果が高いですよ」という広告営業用のツールなんですが、だいたい5つから6つぐらいに仕込ませると、一気に印象とか行動とかというのは変わるということです。
 だからモバイルというのは、単体で広告を設けようというよりは、本誌とのクロスでこういったかたちで、ナショナルクライアントさんに「たくさんのメディア接触、コンタクトポイントを持つことが、なかなか動かしにくいM1を動かすソリューションになるんですよ」というかたちで、営業をしています。
 ただPCもモバイルも、かかっている投資に対してのリターンで言うと、まだまだという感じです。こういうフリーマガジンがあるから、いまみたいなかたちで、クロスメディアでモバイル広告も売れるんですけれど、それだけではちょっと商売としては成り立たないというのが、正直なところです。

2008年「新聞の自画像」:新聞労連産業政策研究会より



posted by 今だけ委員長 at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
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