読売新聞東京本社と新潟日報社は、新潟県内に配達する読売新聞朝刊の一部約7万部を、2010年秋から新潟日報社の印刷センターで印刷することで基本合意した。読売新聞社が地方紙へ印刷を委託するのは、茨城新聞社、十勝毎日新聞社に続いて3社目。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090715-OYT1T00755.htm
きのう発表された読売新聞東京本社と新潟日報社の印刷部門の業務提携は、地方紙にとって朗報なのか、それとも疑心暗鬼が強まるのか―を考えてみたいと思います。
新聞社の印刷、販売の業務提携は、ANY連合が先陣を切って取り組み始めていますが、今回の新潟日報との業務提携で「ANYvs地方紙」の構図が弾力的になったと感じます。
新聞協会長として新聞各社と協調路線を打ち出したい内山斉氏(読売新聞グループ本社社長)の戦略もあったのではないかと見ています。一部には、内山社長と新潟日報の高橋道映社長が日大OBつながりで今回の業務提携に至ったという話もあるそうです。
委託印刷の業務提携は、これから加速すると思われますが、同じ輪転機で刷るのなら発送、配達もセットにしないと作業効率、経費的な効果は半減します。委託印刷をするなら流通部門も提携するのが最適なのですが、今回の新潟のケースは上越、中越地区のみということです。
新潟市内は読売の専売店が頑張っている?のかわかりませんが、新潟日報販売に配達まで委託する決断ができなかったのでしょう。山間部が多い上越と中越は配達コストもかかるので、とりあえず部数増の期待薄なエリアから提携が始まったと思われます。
今回の業務提携で、地方紙が疑心暗鬼になっているのではないか―との見方もありますが、多くの地方紙は営業収入がマイナスしていますから、立派な輪転機の稼働率(聖教新聞だけでは物足りない)を高めたいと思っているはずで、提携に賛成する経営陣が多いはず。朝日、読売からアクションがあれば「願ってもないこと」と思っているかもしれません。以前のように編集系の方が騒ぐことはないでしょうから。
ですが、上記で述べたように流通部門も一緒に考えないとスケールメリットは生まれないので、配達委託の提携までやれるかどうかが、今後のポイントだと思います。