2009年07月11日

イベント化してきた「全国新聞販売フォーラム」の悩み

 先週8日に秋田市内で開かれた「全国新聞販売フォーラム2009秋田」。
 今回で9回目を迎えたフォーラムは、日本新聞協会加盟社の持ち回りで、隔年で行われています。次回、2011年は北國新聞が主催。

 私のような下流の人間はそのような場へ行けるはずもないのですが、全国の販売店主、各新聞社の販売局に勤務されている方など7名の方から、今回のフォーラムの資料を送っていただいたり、講演やディスカッションの感想などをメールで頂戴しました。ありがとうございます。

 連絡をいただいた方からの感想をまとめると、(今回だけではなく)セレモニー化して、いかにシナリオ通りに終わらせるか―という内容で、目新たしい取り組みも紹介されることなく、「手詰まり感」を抱かれた方が多かったというところでしょうか。
 実際にフォーラムを取り仕切り、運営された秋田魁新報社や販売店の方は大変ご苦労されたと思います。でも金と時間を使って参加する販売関係者が何も持ちかえるものがないというのは、すでにフォーラムの意味合いが薄れているように感じます。

 よく「初心を忘れるな!」と言われますが、最初のフォーラムは新潟日報が主催しています。参加人数も500人程度〈今回は1000人の方が秋田市内の飲食店にお金を落としたようですが)で、2日間、缶詰め状態で議論が繰り広げられたと聞いています。エライ人の挨拶を聞くよりも、いかにして増紙もしくは読者維持に向けた具体的な手法や折込チラシの受注拡大の話を、販売店経営者は聞きたいはずで、もっとナマ臭い話をしたいのです。
 しかし今回の講演やディスカッションのテーマを見ると、やはり「活字文化を守る」がメインであって、「戸別宅配網」は後付けのように感じてしまいます。ちなみに記念講演は「シナリオにおける新聞の意味」(社団法人シナリオ作家協会常務理事 加藤正人氏)、パネルは「自立と共生 新聞の良さ伝えよう〜活字文化を守る防人として」(パネラーはクリエイティブ戦略家、秋田NIE推進協議会会長、出版社社長、新聞社販売局長)というもの。新聞協会の仕切りなので当然といえば当然ですが…。

 参加された販売店主(TOARUさま)の方から、貴重なご意見をいただきました。厳しい批評をされる方はあまりいないでしょうから、次回フォーラムのバージョンアップを期待して以下に引用します。

* * * * *
・・・講演は正直いって期待を裏切られました。今の業界の抱えている問題点と結びつかなかった。
 全体会は教育者の立場とマーケティングのプロの立場としての発言が非常に興味を持たされました。ある意味業界の抱えている問題点の一つを指摘した内容ではないかとも思います。読者へ心理的な訴え、作用を促す営業、心深く染み込む販売所活動等々はとても参考になりましたし、考えさせられました。ただ、どうしても「売る」といった視点での話でしたので、新聞の方向性としては若干疑問を抱く場面もありました。

 分科会は二つに分かれてありました。私は第一分科会の「もっと読まれるために」方に参加したのですが、とにかく今回は二つの分科会しかなく、500人ほどが一分科会に集まるといった言わば全体会のような感じでした。発表事例も目新しいものは無く、少し残念に思いました。もう一つの分科会も地域貢献関連の話と聞きましたが、こちらもあまりいい感想は話してなかったような気がします。

 こうしてみると全体的に悪い点ばかり書いてしまいましたが、やはりフォーラムの転換期に来ているのではないでしょうか。
 先行きを見通せない状況にあって、参加者はフォーラムに来て何とかヒントを見出そうとしています。しかし、近年のフォーラムではイベント色が強くなってしまって、本質から外れているような気がしてなりません。私が以前、フォーラムの分化会を任された時も、「参加者を二分してディスカッションをしましょう」―と上申したものの却下されましたが、やはり少数でも真剣に議論しあう場があってもいいと思います。そして、参加者には各系統の役員をされているベテランと次代を担う若手所長が参加されておりますが、せっかくですから名刺交換できる場面を作ってあげるのも主催者の役割かなぁなんて感じました。


 フォーラムは一度リセットする必要があるでしょう。各系統が集まって今後の方向性を議論しあえば、まだまだ良いフォーラムができるような気がします。また、しなければいけないと思います。

 イベントではなく、参加者全員が発言できるフォーラムを…
 秋田フォーラム プログラム0_edited.jpg

posted by 今だけ委員長 at 21:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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