2006年01月22日

映画「にがい涙の大地から」海南友子監督の講演会に行ってきました!

 仙台市内にある河北新報社会議室で、戦時中に旧日本軍が遺棄した毒ガス兵器や砲弾に、今なお苦しめられる中国の人々を描くドキュメンタリー映画「にがい涙の大地から」の監督、海南友子さんの講演会に行ってきました。この講演会は、河北新報労働組合(新聞研究部)が、これからのメディア(メディアに働く労働者)のあり方について、学習しようと企画されたものです。

にがい涙の大地から.jpg
 映画のあらすじについては、多くは書きませんが、1995年に道路工事中の爆発事故で父親を亡くしたリウ・ミン。旧日本軍が残していった砲弾の爆発で大やけどを負い、両手両足を吹き飛ばされ…。残された家族は亡くなった父親の治療費を払うために休まず働いて…
 被害者の中国人や遺族は日本国を相手に損害賠償を求める訴訟を行っています。リウ・ミンたちの第一次訴訟は2003年9月29日に原告の全面勝訴。東京地裁は請求を認め、賠償金(2億円)の支払いを命じました。原告のリウ・ミンや李臣の歓喜の涙。「正義が勝ったのだという涙」の記者会見後、日本国は無残にも控訴したのです。

 海南さんが中国に旅行中、そんなリウ・ミンとの出会いがきっかけで「遺棄毒ガス・砲弾問題」に関心を持ち、自費で映画製作までこぎつけたそうです。戦後の補償問題について「まだまだ終えていない」と考えさせられる作品です。ぜひ鑑賞を!

 海南さんは大学卒業後、NHKの報道ディレクターとして勤務。2000年に独立。 2001年インドネシアのもと『慰安婦』を取材したドキュメンタリー映画「マルディエム彼女の人生に起きたこと」を監督するなど、戦争中に起きた社会的問題をテーマに活動しています。
 フリーになったきっかけは、4〜5年で異動になり35歳位になると報道の現場から外されてしまうというNHKの体質と報道したくともやらせてもらえない組織内(企業内)の壁があったからだそうです。このような社会的問題を提起する活動について「昨年も200回位の上映会を行いましたが、1回の上映で100人から200人の方に観ていただくので年間でも5万人にしか伝えられません。本当は大メディアがこのような問題提起をしていかなければならないし、それぞれの組織の中で取り組めるようにしていくことがジャーナリズム守ることであり、メディアの重要な役割」だと話されました。

 現在、報道関係で活躍されているフリージャーナリストの多くは、新聞社などのメディアを辞められた方が多いと聞きます。企業利益を守るために報じない、報じられない限界に耐え切れずフリーになって活動されているのでしょう。でも、組織内で“報じるべきものを報じる”ために経営側の圧力に対抗するという人達の存在がなければ、メディアはもっと酷い状況になってしまいます。だから、その役割を担う労働組合の存在がとても重要だと感じています。
posted by 今だけ委員長 at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(2) | 日記
この記事へのコメント
記者クラブの圧力と旧態依然とした在り方があるから、フリーに転進するのでしょうかね・・・
Posted by newspaper at 2006年01月24日 06:35
権力からの圧力に屈しない―というメディア(新聞でも放送でも)であれば、組織全体で踏ん張ろうと思うのでしょうが、いざ、取材をしたネタが「危うすぎる」と経営側からストップが掛かる。『会社潰してまでやるきかぁ!』ってことになるんでしょうねぇ。戦う前から白旗なんだと思います。ネタが間違っていなければ読者(視聴者)が支えてくれると思うし、そんな新聞を待ってるんじゃないかと思います。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年01月24日 11:04
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