2009年06月02日

企業改革は経営陣の本気度がバロメーター

 6月1日、アメリカの象徴だったGMがとうとう経営破たんしました。

 今後は国有企業として再生の道を歩むことになるそうですが、過剰供給気味の自動車産業の中にあって、これまでのように(ガソリンの)大量消費型の大型車を大量生産する過ちを繰り返すのでは、再建は難しいのではないかと感じます。市場は低価格かつ燃費のよいコンパクトカーやCO2排出が少ないハイブリッドカーを求めているのに、消費者の動向を感じ取れなかったのでしょうか。いやデータや助言に耳を傾けなかった、経営改革を怠った経営陣による「人災」が、100年続いたGMを経営破たんに導いたのだと思います。


 けさの各紙の社説は総じて「時代の変化に乗り遅れた」、「変革なくして再生なし」などの文字が並んでいます。
▽朝日新聞:米GM破綻―クルマ文明変革の機会に
http://www.asahi.com/paper/editorial20090602.html?ref=any
▽毎日新聞:GM国有化 再生への道のりは長い
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090602k0000m070118000c.html
▽読売新聞:GM破綻 “売れる車”が再建のカギだ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090601-OYT1T01184.htm?from=any
▽日本経済新聞:自己変革怠った巨大企業GMの破綻
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20090601AS1K0100201062009.html
▽産経新聞:GM国有化 保護主義を排した再建を
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090602/amr0906020307002-n1.htm
▽中日新聞:GM国有化 「緑の社会」に残れるか
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009060202000041.html


 さて、新聞業界は…。

 日本経済新聞のコラム「日経春秋」(6/2付)に経済学者のピーター・ドラッカ―がGM経営陣から総スカンを食らったというエピソードが掲載されていました。

日本経済新聞のコラム「春秋」より抜粋。
 GMが破綻した。GMはアメリカ繁栄の象徴だった。そしてアメリカとクルマは20世紀の世界を語るうえでの象徴でもあった。自由と可能性の国でGMが国有企業になる…
第2次大戦中の話だ。経営学者ピーター・ドラッカーがGMに招かれ、1年半にわたって組織や経営を調査したことがある。すでに20年以上トップに君臨していたミスターGM、アルフレッド・スローンがつけた注文はただ一つ。「こんな助言なら気に入ってもらえそう、などと決して妥協するな」だったという。
…「私が裸の王様かどうか見極める必要がある」と言うスローンにしばしば意見を求められたとも書いた。であるのに、人が作ったもので四半世紀以上有効なものはなくGMの経営も例外でないと説いたら、経営陣に総スカンだったのだという。
…それから65年。創業からだと101年。石油危機や貿易摩擦はきつい助言をGMにつきつけたはずなのに。スローン自身も著書「GMとともに」を「変化に対応していかなくてはいけない」と締めくくったのに。それを結局生かすことはなかったのか。王様はついに裸のまま立ちすくんだ。
 

 過度に新聞産業の危機的状況をあおる必要もないし、右往左往するべきではないと思いますが、まだぬるま湯につかっている新聞経営者。現場の声とは読者だけではなく、産業の下流で働く人たちの声をも指すと思うのですが、自らの感覚や経験則による“知ったかぶり”で経営のかじ取りをしてきた結果が、読者離れを招いてきたのでしょう。

 朝日新聞社の秋山耿太郎社長が、5月13日に開かれた大阪朝日会総会でこんな挨拶を述べています。「新聞全体が生き残る時代は終わった。長い真っ暗なトンネルの中での『我慢くらべ』を経て、いち早くトンネルの出口を探り当てた新聞が『勝ち組』となる。昨日と同じことをしているだけでは出口は見つからない。新しい工夫と努力が必要だ」。その上で「販売正常化と業界再編が予想される中、いまのピンチをチャンスに変えなければならない。それを最後に支えるのは戸別宅配網のネットワークだ」と。

 企業改革は経営陣の本気度がバロメーターだと思います。人は何だかんだ言っても変化へ対応せざるを得ません。企業の中にいるとみんな人のせいにしていますが、既得権を守ろうとしているのは労働側ではなくて、じつは経営側だったりするものです。日本の新聞産業がGMと同じ轍をふまないように、頭(経営側)から「変化に対応」していかなければなりません。

 今だけ委員長の本籍地が山形県米沢市ということで、旧米沢藩の財政を立て直した上杉鷹山の名言をあえて紹介したいと思います。
 なせば成る 為さねば成らぬ何事も

成らぬは人の為さぬなりけり

会社は頭から腐る.jpg
「会社は頭から腐る」(富山和彦著)


posted by 今だけ委員長 at 07:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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