2009年05月26日

やはり、広告に頼らない週刊金曜日しか電通のタブーは書けません

電通の正体.jpg
電通の正体 
―マスコミ最大のタブー―
著者 『週刊金曜日』取材班(株式会社週刊金曜日)1,200円


 新聞業界をはじめとするマスメディア(媒体社)の「広告スポンサーの報道姿勢」を問う声は少なくありません。

 例えば、たばこの広告を掲載している面に「喫煙者の肺がん発症率は○○%高くなる」といった記事は載せないなど「暗黙の了解」があります。掲載面を別ページに動かすのではなく、記事そのものをボツにしてしまう(それをやっているのも〇〇)ケースもあるというのです。

 最近では「パック広告」と呼ばれ、一見すると取材された記事のように編集された紙面(その記事を書いているのも〇〇)の下段には、その記事に関連する企業の広告が掲載されている記事体広告をよく見かけます(最近は紙面上段のノンブルに【全面広告】と表記している新聞社も増えましたが)。原発の必要性について「遠まわし」に書かれた紙面の下段には電力会社の広告が全5段で掲載されたりしていますね。

 また、2007年初旬に新聞の信頼を失墜させた事件も起きましたね。新聞社が裁判員制度のフォーラムや厚労省との共催イベントで、謝礼を払って水増し増員をしたという問題。全国地方新聞社連合会(この団体の後ろ盾も〇〇)という地方紙の任意団体が、紙面広告を受注するのと合わせてイベントの開催までを「パック商品」として行政機関へ売っていたものですが、人が集まらなければ媒体効果も問われるので「サクラ動員」までやっちゃったのでしょう。「人を集められなきゃもう使わないよ(広告を載せないよ)」という神の声があったと聞きます。

 そのような広告主と新聞やテレビをはじめとする媒体のつなぎ役が広告会社(代理店)であり、そのシェアの大半を握っているのが電通なのです。

 本書には電通と媒体との関係が赤裸々に記されてあり、巨額の広告費をつかさどっている電通の圧力に日本のマスメディアは屈しているという内容が容赦なく続きます。「マスコミを支配する日本版CIA」とはしがきに書いてあるほどですから、相当突っ込んだ構成になっています。これは広告費に頼らない週刊金曜日しか書けないだろうなぁ…。

 電通と取引停止になってしまったら、いまの媒体各社は死んでしまう―と言われるまで権力を持ってしまった電通の構造とその歴史が見えてくる一冊です。

posted by 今だけ委員長 at 06:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
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