新聞公正取引協議会が発行する「中央協だより」(155号)が、毎月デスクに届けられます。A3二つ折りの8頁建ての紙面構成もマンネリズムを感じますが、今年度から同協議会の委員長に就任した飯田真也氏(朝日新聞東京本社役員待遇販売担当販売局長)のあいさつが1面に掲載されていました。
その飯田氏は業界紙の共同インタビューで次のことを述べています。
▽共同出資でポスティング会社 飯田中央協委員長が就任会見(新聞情報 5月2日付)
(引用はじめ)販売店の強化策だが、これこそ各社の強調がもっとできないかと思う。例えば、この3年間連続して折込収入が減少しているが、媒体としての折込広告の優位性をもっとPRしていく必要がある。折込は廉価で地域限定、何より食卓まで届く便利な媒体だ。ただ、昨今、新聞離れが進んでいるので、今後は無購読世帯をどうするかという問題がある。無購読の増加で到達率が下がり、その隙間を狙って、ポスティング業者が進出してきている。このポスティング業者を各社で共同出資してできないかと思う。そうすれば新聞購読者には折込で、無購読者にはポスティングで届くという営業ができる。いずれにしてもポスティング業をやっている人は業界外の人ばかりなので、これは(新聞業界)共通の敵。これこそ協調の精神でやることが重要だ。すでにいくつか実験的にやっているところもあるが、全国的に展開することが大事だ」(引用終わり)
実配をはるかに超えた部数を抱えた新聞販売店が経営を維持できたのも折込広告の収入があったからこそ。しかし、この3年間で折込広告は2〜3割の落ち込みが続き、販売店の経営は厳しい状況が続いています。最近ことに都市部の専売店の自廃が目立ってきたという報告もあります。
一方で、チラシ広告の需要は大きく下がっておらず、リクルートが展開するタウンマーケットなどチラシ広告の宅配業社も増える傾向にあるようです。その意味ではエリアごとに安価で訴求できるチラシ広告をそれぞれの新聞(専売店であれば)に折り込む(2紙購読していればチラシも2部届く)よりは合売店の方が効率はよいし、購読者、無効読者に分けるまでもなく全戸配布をする業者が重宝がられる時代なのでしょう。でも(新聞)折込広告の場合は新聞に挟まれているから食卓まで届き、安価な価格設定が可能だというメリットも忘れてはなりません。
以下は「中央協だより」から注目したい記事をピックアップ
公正取引委員会はこのほど、毎年開催している著作物再販協議会を「今年は休止する」と連絡してきた。公取委は休止の理由として。「再販協議会では再販制度の弾力的運用に加え、昨年から流通・取引慣行の弊害是正をテーマにしてきたが、このテーマを取り上げる場合、景品の問題は避けて通れない。景品表示法の所轄は消費者庁に移ることが既に閣議決定されており、消費者庁がいつ設立されるのかわからない状況の中で、公取委として流通・取引慣行の弊害是正の問題を扱うのは適当でないと判断した」と説明している。
【階上配達呼び掛ける広告掲載も/春の新聞週間の取り組み】
「春の新聞週間」に合わせて福岡県の南福支部協では、オートロックマンションの階上配達検討を呼び掛ける広告を作成し、4月6日付けの新聞(朝日、毎日、読売、日経、西日本)に5段広告(朝日と読売は3段?)を掲載。すでに問い合わせが20件を超えているとのこと。
個人的な意見ですが、新聞は玄関ポストまで届けてもらいたいものの、オートロックマンションでは管内で営業行為をされるのを嫌がって階上配達が実現できないケースも。こちらも共同出資(NPO法人を立ち上げて新聞奨学生だけで配達するという方法もアリかと)でマンション専門の配達部門を立ち上げれば住民から受け入れてもらえるかもしれません。
その通りですね。
確かにポスティングの効果はそれなりにありますが、食卓までという話になれば大きなロスがあるのは言うまでもありません。
さて、飯田中央協委員長の言われるポスティングによる販売店強化策ですが、聞こえは良いようですね。
しかし今になって、この話がでる事自体で業界のスピードの遅さと、トレンドに対しての鈍感さを露呈してしまっています。
今、郵政もポスティングに触手をのばしてきており、宅配業者もすでに多くのメール便などを扱っています。
販売店が扱うのと大きく違う点は中間マージンに差があるという事です。
具体的に言いますと、新聞以外の業種の場合は
クライアント→業者→(各支店)→配達員
新聞販売店だと
クライアント→発行本社→配送センター→販売店→配達員
どうでしょうか、何が違うか分ると思います。
確かにデリバリー網を活かしたビジネスモデルを模索する事は間違っては無いと思いますが、販売店の事を考えるなら、配達“所”にしたいのか、販売“店”にしたいのか方向性を考えるべきです。
個人的には多機能な“店”化することの方が地域に対しての利便性があると思のですが。 はてさて・・・
ご指摘された中間マージンの搾取こそ、新聞産業の構造的な問題ですね。
一般的にはこれらの問題は「優越的地位の濫用」に抵触するものです。発行本社が販売店のことを語りだすときは、注意すべきです。「押し紙」があるうちはキレイごとでしかないと、販売店の方々は思っていることでしょう。
この「生かさず殺さず」という発想しかない新聞社だからすべてが後手に回るのだし、新しいビジネス(例えばデータベースを活用した商品開発とか)をつくろうにも(販売店は)本気で取り組まないと思います。だって信頼関係がないんですから。
この辺の交通整理をしないと、地域のなかのインフラ(宅配網)も活用されぬままに共倒れになってしまうかもしれませんね。
やはり(新聞社と販売店は)運命共同体なのだと思います。販売店は物流倉庫もなく、バイクに積載できるものしか運べないわけですから…。
「ウンザリしながらも…」お気持ちもわかりますが、あえて前向きに行き(生き)ましょう。権力も筋の通らない使い方をしていては、いずれ崩壊していくものです。「言論の自由」「国民の知る権利」を盾に、自分たちが得た権力の使い方を新聞業界は間違ってきたのかもしれません。そして販売現場のわれわれも、その傘によって(これまでは)雨風をしのげてきたところもある―というところを認めて再生に向けた議論をしていく必要があると思っています。
宅配業へのチェンジについては、今後夕刊を維持できるのか否かも含めて、販売店の強みである「顧客情報」「1日2回の宅配網(インフラ)」を生かすためには、時代は「物流機能」を選んでいるように思います。
>護送船団方式で通用しないしのでは・。
消費者や広告主のことを考える視点がないのでしょう。すべて「知る権利を守るため」「言論・表現の自由」との掛け声のもと、業界の既得権を守るというのがこれまでのやり方(結果として)なのです。さらに、政治家にも圧力をかけて(すり寄って)守ろうとする既得権こそが、再販制度や特殊指定だという意見が絶えないわけです。
読者が新聞から離れて行った理由は、自分のことしか考えなかったことのツケなのだろうと思っています。
でも愚痴ばかり言っても仕方ありません。「じゃぁどうするの?」。販売店は新聞社との契約上、多くの規制がかけられて“儲けの道”を阻害されているということもありますが、着々と武器を仕込んでおく必要があると思います。なかでも顧客DB構築と地域からの信頼獲得は必須だと思うのですが。