けさ(5月2日付)の日本経済新聞14面に「電通、初の赤字に」という記事が掲載されていました。ほかの新聞には掲載されてなかったようです。
ひと月前に毎日新聞が「電通:新たに408億円の特別損失 最終赤字の可能性も」の記事を掲載しています。電通が408億円の特別損失を計上し、従来の最終損益が110億円であることから最終赤字に転落する可能性もあると伝えていましたが、連結ベースで200億の赤字を計上することになりそうです。世界一の広告会社「電通」が赤字を計上するのは100年ぶり。
(日本経済新聞から引用)
売上高は前の期8%減の1兆9千億円程度だったようだ。大部分を占める電通単体の売上高が1兆474億円と9%減にとどまった。とりわけ、新聞やテレビなど「マス四媒体」向けの広告取扱高が9%減り、5年ぶりに1兆円を割り込んだことが大きい。
営業利益は36%減の360億円程度とみられる。販管費はなどを抑制したものの、大幅な減収による下ね気分を補えなかった。
特別損失に投資有価証券評価損510億円を計上。フランスの広告大手、ピュブリシス(株式で償還される債権)で約380億円、ジャスダック上場のオプトで約110億円の評価損が発生した。
電通は簿価に対して30%以上、価格が下落した状態が6カ月以上の下落した銘柄を減損処理するのが一般的だが、保守的な処理で今期以降の評価損発生リスクは減る。
赤字転落を踏まえ、期末配当を従来予想の20円から減らすことも検討しているもようだ。
単独の最終損益も赤字で、1901年の創業直後の1時期を除き、約100年ぶりの赤字決算と見られる。
元日経広告研究所専務理事の森内豊四さんからは、「電通の200億円の赤字は予想より少なく、先に発表された博報堂DYも含め広告は総崩れだ」との連絡がありました。加えて、「グーグルやヤフーの売上高が伸び悩み」や「ネット広告減速」などの記事を指し、「ネットならうまくいく、といわんばかりの論調は本当に眉唾物であることがはっきりしてきた。この数年、日経を含め各社とも『紙とネット』をモットーにしてきたが、それは経営戦略になりえないことを意味するもの」とのご意見もいただいています。
新聞社では、広告収入の落ち込みが経営に大きなダメージを与えていますが、「ネットが何とかしてくれる」と言わんばかりにクロスメディア戦略へ取り組む新たな部署を立ち上げて、広告収入の引き上げに躍起になっています。しかし、日本経済自体がひっ迫している状況下では、効果をあげるのは至難の業といえます。なにせ、あの電通が100年ぶりに赤字になったのですから…。
【追記】
今週11日に電通の2008年度決算が発表されました。
http://www.dentsu.co.jp/ir/marketing/pdf/FS2008-4QJ.pdf
マス四媒体の総崩れが大きな要因ですが、新聞の前年マイナスを圧縮しようと電通も躍起になっていたみたいで、なんとか80.8%とマイナス8割台をキープ。
しかし、そのあおりを受けてか、新聞の電通扱い4月単月売上は、前年比71%という惨憺たる結果です。
http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=001519
マスメディア広告の総崩れ。折込広告も今後予断を許さない状況となりそうです。