2006年01月16日

北海道新聞「道警裏金問題」は道警の圧力によって不戦敗か

 北海道新聞社(以下、道新)が、昨年3月13日の朝刊で報じた「北海道警と函館税関の覚せい剤の泳がせ捜査失敗」に関する記事について、「全体として誤った印象を与える不適切な記事だった」という内容のお詫び記事を1月14日付けの朝刊第1面(新聞の顔ですね1面は)に掲載した。その際、記事の訂正および削除はしないとしたが、15日になって道警側から「記事の削除を求める文書」が同社に送られたという。
 新聞の報道がブログなどの情報発信より信頼されるのは、取材網(記者クラブによる発表物の垂れ流し問題もあるが)と複数のチェック機能が備わっているからだ。昨年の「泳がせ捜査」報道も入念な取材のもと情報のウラを取り、確信したからこそ記事掲載に踏み切ったのだろう。しかし、9カ月の期間を経て「不適切な記事」だったとする“お詫び”はいただけないし、新聞記事は確実な報道だと思って購読料を払ってくれる読者を裏切った格好だ。

 だが、今回の“お詫び”記事の背景には、「道新が道警の圧力に屈した」との指摘を多くのブロガー(情報流通促進計画byヤメ記者弁護士さん ・ ガ島通信さん)がエントリーしている。
 道新は、2003年11月に発覚した道警の裏金問題を追求し、全国の警察に蔓延していた「裏金」(公金横領)にメスを入れ、新聞労連ジャーナリスト大賞や日本新聞協会賞を受賞するなど「業界内」から高い評価を得た。しかし、その裏金報道をめぐって道新と道警の間で「情報提供」における圧力や記者クラブでの対応など、これまでの関係が崩れかけていたようだ。だから…という各論は口が裂けても道新経営陣は言わないだろうが、今回の“お詫び”が道警との関係を修復するためと受け取られても仕方がない。それが確定されるのは「不適切な記事」を書いた記者への処分(「泳がせ捜査失敗」を担当した記者と「裏金問題」を取材した記者(デスク)は同一人物)であり、15日に道警が文書で送りつけた「記事の訂正・削除」をするかで判明するだろう。道新の今後の動向を見守りたい。

 このような問題は、新聞販売労働者としても他人事ではない。業界の末端で働くわれわれだが、どうして新聞を売るのか、その責任の重さというものを改めて考えなければならない。
 尊敬するブロガーからこんなコメントをいただいた。
 新聞は確かに道警疑惑追及では売れない、お詫びしても部数が減らない。どちらの意見も表裏一体。商品としての新聞、新聞の価値とは何なのかをもう一度見つめなおす必要がある。もし販売店が読者から「ホントのこと書いているのですか?」って言われたら、どう応えるんですか?だから全員に関係する問題なのです。
 何か心に大きな穴が開いた気持ちだ…
posted by 今だけ委員長 at 23:43 | Comment(3) | TrackBack(3) | 時事ニュース
この記事へのコメント
官の圧力がまだまだあるのでしょうか・・
Posted by newspaper at 2006年01月18日 07:26
取材現場に参戦したことは無いのですが、記者クラブに属さないとネタを拾えない、県警(道警)記者クラブ(官側)の発表がないと紙面が埋まらない?体質も影響しているのかなぁと思います。
ライブドアの強制捜査の件も含めて、「官」というより『米国』からの影響が大きくなると思っているのですが…。
Posted by 今だけ委員長 at 2006年01月18日 10:53
ttp://blog.livedoor.jp/miki_pinchi/

信じられない現実です。
なんとかして十勝北海道の正常化を
Posted by ピンチ at 2011年05月10日 14:21
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

[趣味ジャ]北海道新聞、道警と手打ちか?問われるジャーナリズム
Excerpt: 北海道警の裏金問題を暴き、新聞協会賞を受賞していた北海道新聞社がどうやら道警と手打ちした模様です。[http://www.hokkaido-np.co.jp/:title=北海道新聞のHP]にお詫び..
Weblog: ガ島通信
Tracked: 2006-01-17 01:54

道新が「自殺」した経緯〜労働組合の報告から
Excerpt: 道新が謝罪した件(ここ,ここ参照)に関連して,労働組合が報告書を発行しているようだ。その報告書は,問題となった道警の泳がせ捜査記事に関する道新内部の対応が裏金疑惑報道を取材した記者たちの異動があった7..
Weblog: 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士
Tracked: 2006-01-17 04:40

道警裏金本訴訟
Excerpt:  上記のテーマで、オーマイニュース上に記事を書きました。できるだけたくさんの方に読んでいただきたいので、リンクさせていただきます。以下、記事です(少しだけですが)。 * * * * * * 被告と原..
Weblog: 青い空緑の森青い海
Tracked: 2006-10-06 22:10
ツイート