マンション内覧会に加わった背景には、セキュリティ重視の近代マンションはオートロックタイプとなり、新聞の営業が全くできない状況にあるという販売店側の要望と「新しいマンションが建つと新聞の勧誘員がうるさい」という入居者の声を考慮し、デベロッパー側が「勧誘員の訪問を防ぐ」という要請を販売店(代表の)に対処(新聞に関するトラブルは一切自分が対応しています)させるために加えた―という双方の考えがあったわけです。
当然、他紙販売店の皆さんに信頼をしていただくよう「現住所で購読をしている新聞の移転手続き」の代行をしていますが、「どこの新聞が良いのでしょう」と質問を受ける場面もあります。さまざまな質問や要望に答えながら、商品知識(価格も含めて)も必要になってくるわけです。今日は30件の入居者へ説明を行い、27件のお客様から「手続きの依頼」を受けました。それぞれの新聞の販売店ごとに「お客様からの要望」をきちんと引継ぎをして確実に連絡をします。これで販売店側も連絡の手間が省けて効率的なんですが…。
最近、読者の方々から寄せられる声は「各部屋まで配達してくれないの?」ということ。オートロックマンションへの新聞配達は、ほとんどが1階のメールボックスへの配達になっているため、毎朝わざわざ新聞を取りに行くのが面倒という意見なんです。特にこの寒い時期はつらく、パジャマ姿というわけには行かないので着替えもしなくちゃいけないし化粧も…。
そうした声に対応するため、マンションの管理組合に「新聞の各戸配達サービス」を提案している最中です。配達員を登録してロック解除キーを貸与してもらいます。当然、責任の所在(器物破損時などの)を明確にした契約書を締結します。しかし、なかなか進みなせん。管理組合の理事会には新聞を購読していない人もいるわけですから、その方からすれば「新聞を取っていない人には必要ないこと」ということで、なかなか管理組合から要請を受けることは多くないのです。販売店からすると「新聞を取りにいくのが面倒だからやめる」という声も聞かれる中で、多少の労務費が嵩張ってもお部屋のドアポストまで配達したいのですけれど。
読者からのニーズは、何も景品や値引き、無代紙だけではありません。マンションの各戸配達や古新聞回収(リサイクル)への要望も多くなっています。部数獲得のために過大な経費を掛ける大手紙の販売政策が続く一方で、このような読者ニーズに応えず「新聞をやめる人」を増やしているという事実を新聞経営者はきちんと理解するべきだと感じます。
入居者のニーズを的確にキャッチして、デベロッパーさんへ地道に提案をすれば取り組んでくれると思います。大手紙が資本(広告のつながりとか)の力を使って参加するのとは違い、販売店が「入居者の利益」を考えて行動することが必要だと思っています。まだまだ“新聞屋”というあまり思わしくないイメージを持たれている方々も多いのですが、これも自分たちの業界が読者に植え付けてしまったイメージだから受け止めましょう。でもきちんと話をすると理解していただけます。
読者の方はみんな「手のひらを上にして」モノを要求していると思っているのは、業界の人間だけだと思います。