「個人的に、いままでのyahooニュースの中でもトップクラスに衝撃的な記事だ。この問題が継続的に取り上げられることを望む」というコメントにはビックリしましたが、「押し紙」問題を報じたヤフーニュースがチョット気になりました。
そのニュースとは、MONEYzineが記事提供した「新聞業界の苦悩 自らの首を絞める『押し紙』問題」というもので、3月29日13時10分から数時間にわたってヤフーニュース(トピックス)に掲載されました。
新聞業界に働くものとしては“空気のような”ネタだったので、さほど気になりませんでしたが、ヤフーの影響力というか、閲覧者(読者)から寄せられるコメントの数に驚きました。
ヤフーニュース(ヤフーを経由して配信されたもの)では、ニュースそのものへの関心度やコメントが書き込める「みんなの感想」が展開されており、今回の記事は話題ランキング(総合)で10位(20.9ポイント)という高位置につけるほどでした。コメント数は410件で、経済ニュースのカテゴリでは高い反響であることがうかがえます。なかには「コメント数を伸ばして皆に知ってもらおう」という“あおり”も若干見受けられましたが、トップページから外れてもコメントが続いています。
記事に対するコメントを少しだけ引用します。
【そう思うの意見】
・これって発行部数偽装ですよね?しかもその動機が発行部数によって広告料が決まるからということであれば、有価証券報告書に虚偽記載する以上に問題がある。これはとんでもないぞ。
・押し紙をすべて廃止したら、どの位の、紙・インク・印刷の光熱費・輸送費が節約出来るんだろう。
・はっきり言って詐欺なんですよね。マスコミに広告載せているスポンサーさんは訴えるべき。
・無駄になるのは紙やインクだけじゃない。全く読まれない新聞を運ぶトラックの燃料や環境への影響まで考えると、もの凄い資源とエネルギーの浪費、環境破壊だな。いくら紙面で良い事を書いても、自分達の資源の浪費、無駄な環境破壊を反省して改善しないのではただの虚しい絵空事。大手新聞社への信頼が根底からひっくり返るよ。
【そう思わないの意見】
・販売店の営業力の無さを新聞社の責任にするのは良くない。
・そういう問題も存在するのかもしれないが、スポンサーをめぐって競合関係にあるyahooのニュースのこういう記事はどこまで信頼できるのか私には分からない。
「押し紙」問題については、ネット系ニュースサイトのJ‐CASTニュースやMyNewsJapan、個人運営のブログなどで報じられてきましたが、今回、Yahoo!ニュースで取り上げられたことによる反響とは比べものにならないPV(ページビュー)だったのではないでしょうか。
このような問題はすでに隠せる状態にないということを新聞関係者は理解するべきですし、司法の手がくだる前に正していくべきです。当然、事実無根であればしっかり反論すればよいわけです。
「紙面と販売は別もの」という二枚舌は、通用しなくなっているのです。
ならないでしょう。
実配部数と発行部数がこれだけ乖離
している現状では、調整したくても
もはや調整できるレベルではなく、
このまま嘘をつき続けるしかないの
ではないでしょうか。
他社の虚偽報告を叩いてる姿は、まるで
詐欺師が詐欺師を叩いている様で、その
様な新聞社が信頼など得られるはずがありません。
「押し紙」問題については、貴殿の言われるとおり戦前から続いてきた業界内のブラックボックスとも言われています。
新聞業界をひとくくりにすれば、詐欺師が詐欺師を叩いている―と見られるのでしょうけれど、編集職場(記者)の方は、意外と「押し紙」のことなど知らない(知ろうとしないのかもしれませんが)ものです。
しかし、そのようなダブルスタンダードが通用するわけがありません。その販売や広告収入で編集体制が維持されているわけですから。
でもjunさん。新聞協会に加盟する新聞102社のうち、すべてが「押し紙」のようなものが存在し、調整できるレベルではない―ということではありません。それぞれの新聞社によって違います。
業界ひとくくりで見られるのは仕方のないことですが、一方で、全国紙以外の新聞社では「押し紙が存在しない、もしくは「調整できる範囲」であることもご理解ください。
もしくは「調整できる範囲」であること????』
全国紙が悪で、地方紙はまだまし?という対立軸は
委員長様として、現状認識が甘いように思います。
縮小していく現状の中で、着地点を見つけて
どうソフトランディングするのか?これが
新聞業界の最大で共通の課題だと思います。
この問題をコメントだけで論じられるほど浅いものではありません。
過去には(現在も)マイナーなサイトで論じられたりもしましたが、yahooというメジャーサイトで、しかも各新聞社からニュース配信を受けているサイトでトップで載ると言う事は意味が大きいと思います。
確かに委員長のおっしゃる全部とは言いませんが、一般取引のいわゆるノルマの範囲を逸脱した押し紙は地方紙も含め問題ありの社は多いと思います。
現在、世界的な不況の中で各業種が生産調整して頑張っています。しかし、新聞社はどうでしょうか??
この問題に各社のトップが真剣に取り組んでくれる事を祈ります。
事を祈ります」に販売所の思いが込められています。
「現実の配達されている部数に公称数を近づける!」と
言ってくれるトップの出現を望みます。
クライアントから訴えられたとき、「販売所も水増しの
公称数に加担していた」という審判がくだらないよう、
発行本社とのやり取りを記録することが肝要です。
>全国紙が悪で、地方紙はまだまし?という対立軸は…
そのような断定的な書き方をしたつもりはありません。専売店を持っている新聞社は、おおよそ「押し紙」なるものが存在し、すでに手がつけられない状況にあるかもしれません。そのよいな問題をなくすためには専売店制を無くすことの方が近道かもしれません。でもそれは現実的ではありません。
「押し紙」のあるなしで紙面の信頼がどうのこうの…というレベルではないと思うし、業界内(発行本社と販売店)で微妙な綱引きをしている間に、広告主や読者は新聞から離れていってしまったのです。どこに目を向けるかです。
もしかすると「押し紙」訴訟などでその正当性や権利を争っている間に新聞社が潰れるということも想定しています。販売店従業員の雇用を守りたいし、いわゆる新聞配達の仕事は事情があって他では就労できない方のセーフティーネットの役割も兼ねていると思っていますので。
おくりびとサマも業界で働かれている方ならば、ご理解いただきたいし、ソフトランディングの必要性については、以前の小ブログでも何度も書き続けています。
「新聞社が悪で、販売店は善」という議論から視点を変えて、新聞(宅配機能を活用して)で飯を食う(いまのところは)ためにどうするかを考えています。
TOARUサマが指摘されているとおり、私が今回の伝えたかったのは、ヤフーという、間違いなく読売新聞よりも日々チェックする人が多いポータルサイトに「押し紙」の文字がそれもトピックスで掲載されたことです。
ヤフーのニュース責任者の川辺健太郎氏と一度お話をさせていただいたことがありましたが、「数分単位で配信されてくるニュースをトピックス(トピックスは8行のうちエンタメは2〜3行であとは一般記事)にあげる作業は、ヤフーのニュース編集者が決めている」ということでした。そのニュース編集者のほとんどが新聞社からの転職組なのです。
これまで新聞社は力がありました。いまでも政界とのつながりもあるのでしょうけれど、その力は間違いなく薄れています。それはその権力の使い方を間違っていた、自分の業界、自分の社を守るための圧力団体としか世間からは受け取られなくなっているように感じてなりません。
まだ「白旗」はあげませんが、おととし全国の新聞労働者の方や経営(販売局)の方々と懇談をさせていただく機会がありました。自分の力の無さを痛感するとともに、130年も続き、護送船団方式で、かつ独禁法から保護されてきた産業を変えるのは本当に難しいと感じています。でも諦めませんが。
読者の前で釈明しろ!