友人から「新聞購読をやめたい」という連絡が今月に入って2件ありました。
理由を聞けば、「就労先で給与の見直しがあり、諸手当など月額で3万円削減された」ので、毎月の生活費を見直したところ、新聞代を削るということになったというもの。
今年3月末でいわゆる派遣切りをされる方々は100万人を超すと報じられ、年収200万円に満たない「ワーキング・プア」と呼ばれる人が1,000万人もいると言われています。そのほか雇用は維持されるも年収が下がっている社員は少なくありません。
日々の紙面では「100年に一度の金融危機」という文字が飛び交い、生活者だけでなく中小企業も先の見えない経済環境の中で、少しでも経費を抑えようと新聞購読を中止するところも増えています。年度末を待たずして「購読中止」の連絡が急速に増えていることを、新聞社の方々はどれだけ知っているのでしょうか?
新聞は15年間も値上げしていないのだ…と多くの新聞経営者が「我慢」を強調しています。いま値上げすれば定期購読をやめる読者の予測ができず、値上げが逆効果となって経営を圧迫する可能性があるため値上げに踏み切れないというのが実情だと思います。
値上げをするタイミングを画策するよりも、いまは値下げについても考えるべきではないでしょうか。国民の知る権利を掲げるのであれば、ここは値下げ(シルバー世代割引や生活保護者割引など)を武器に新聞の価値創造と習慣性を後世に引き継ぐという戦略も必要ではないかと思うのです。
これまで業界は、再販制度や特殊指定の維持を世論に訴える際に「国民の知る権利」を主張し、世論形成をしてきたはず。その論拠に嘘がなければ社会的弱者への対応も検討するべきです。すでに新聞経営者は日本経団連の経営者と同じになってしまいましたが、自社の経営ばかりを考えるのではなく「新聞産業の生き残り」は、読み手がいて成り立っていることを忘れてはいけないと感じています。
マージンが減れば、配達従業員の給与にも反映されるのは自明のこと。
これ以上給与を切り詰めると、余計に危ない労働力に頼ることになる気がしますが。
市場を鑑みれば値下げもしたいところですが、抱えているインフラ維持のためを思うと、踏み切れない事情もあるような気がします。
今の待遇がいつまでもあるという前提で物事を考えてはいけないと思いますよ。
再分配の問題だと思いますよ。何が適正なのか分かりませんが、原価率の問題も聖域とせずに考えてみてください。
人が生活をしていく上で必要最小限の経費というものがあります。販売店従業員も副業(第3種被保険者の方など)で新聞配達のインフラを守っていただいている方が7割で、専業(奨学生も含みますね)と言われている方がおおよそ3割。その方々はすでに必要最小限で生活をしているのではないでしょうか。
うちの会社も徐々に配達経費に手をつけ始めようとしていますが、その前に社員のボーナスがカットされました(3割です)。まぁ当然です。収入部門が縮小しているので削るしかないのですが、弱いところから先に切るというのはいかがなものかと自分でも思うから。
いまの待遇は守りたいけれど、いくら新聞を読んでもらおうと知恵を絞ったところで、価格政策なしに購読できない方が予想以上に多いという現実から目をそむけているのはどうかなぁと。新聞がマス″コミと言われ続けられなくなるのではと心配しています。新聞が読めない(図書館で読めって話もありますが)方を何とか救えないかなぁと思っています。
今回のブログでは新聞労働者の立場という視点を加えませんでした。いまの待遇というより「(紙としての)新聞があり続けるのか」ということも突きつけられています。あと15年後、今の団塊世代の人数が少なくなってきたときのことを今考えておかないとヤバいと思うのです。
「値下げ」の意味はブログにも書いたとおり経済的な弱者に対してであり、販売店は値引きできないものですから新聞社が定価を3パターン位打ち出してもらって(再販があるので新聞社が価格設定をしてくれないと無理ですから)、新聞を読みたい人を将来への投資として業界(1社だけやると潰されそうなので)で支えられないかなぁ。
どうでしょう。これは私やあきをサンの世代にとっても岐路になる問題だと思いますよ。
※あえて賃金水準のことは控えました。
たまに再販やテリトリー制はなくてもいいのではと考えたりもします。
ただ、価格の多様化で購読ばなれが防げるとは思いません。
要は新聞のパッケージとしての魅力が落ちているということです。
同一商品で複数価格を設定するという矛盾を含むやり方よりは、複数のパッケージを提供するほうがいいと思っています。
経済的弱者に対して安くするというのは聞こえがいいですが、収入があるからといって高く売ってもいいという理屈もないと思います。
収入の大小に関係なく、欲しいものは欲しいし、無理しても買うのですから。
今だけ委員長がおっしゃるように、きれいごとをかざして身を守ろうとする業界の姿勢は嫌いです。
新聞は私たちが「知る権利」を行使する手段の一つなだけで、「新聞=知る権利」ではない。
記者は知る権利を行使するための下僕なんだけど、そこんところを勘違いしちゃってて書く記事が知る権利を満たしていない。
値下げを切り口に新聞の存在価値に警鐘を鳴らすのなら、経済的弱者を引き合いに出さなくてもいいんじゃないですかね。
ホントに弱者の視点で書いてるのなら、今の値段でも支持して購読してくれますよ。
なんだかせっかくの提唱がピントはずれのような気がしましたので、コメントしてしまいました。
コメント欄をよごしてごめんなさいm(_ _)m
せっかくなのでもうチョットお付き合いください。
あきをさんの指摘は了解しました。複数のパッケージを提供するというのも私も賛成です。でも実際にはやれるのかどうか難しいところですね。費用対効果が求められますから。かと言って朝刊を夕刊の時間帯に配達すれば安くするとかという価格政策も難あり…
まぁいろいろ考えたのですが(発行側の人間ではないのですが無責任なことは言いません)、販売店からすると「パッケージの魅力がないから売れない」だけでは言い訳にしかならないんですよ(心ではそう思ってもね)。日本人的なお付き合いをし尽くしているのですが、「ごめんなさい支払えないから…」と言われると残りのカードはそうあるものではない。なので購読を続けたいという方への対策は価格政策しかないと考えました。
社会的弱者の引き合いについては、良いものであれば無理してでも買うのであって、値段に比例しないから購読を止めているのではないかという指摘だと思います。実際現場で感じていますが、ホント3千円を払うことが難しい方は少なくないのです。新聞が弱者へ向かった記事を書いてもらえたとしても、どこまで無理して買ってもらえるかわかりません。新聞を読みたい人が求めているものは(まだ)新聞を読んでいることへの安心感のようにも思います。
売る側も基本的にはパッケージの問題だということを思いながらも、減っていく読者を抑える対策を講じていかなきゃいけないし、せめて読みたいと思っている方を救えないかなぁと感じています。フランスのような国策ではなしに新聞社の努力で。
3千円がけっして安いとは思っていません。経済的理由での購読中止は増えています。
NHKで間に合わせているという高齢者の方は多いし、できるだけ節約したい(または切り詰めなければならない)という状況の方は多い。
ただ、安易な価格政策をとると自分の首を絞める結果を招く気がします。
また、メーカー側がお客さんを選別して差別定価を提示するのはおかしい気がします。
同じ商品ならば一律に定価を下げるのが妥当で、制作コストを下げるなどの経営努力を尽くすことが必要です。
売る側が柔軟な価格政策をとるためには、再販がない方がいいのでしょうね。
それと「救う」という言い方にはちょっと違和感を持ちました。
減っていく読者を抑えるためには、まず基本業務の徹底が欠かせないでしょうね。
販売店さんは、固定読者の顔をどれだけ知ってしているのでしょうか?
集金読者ならまだしも、口座振替やクレジットカード払いなどの読者に対して、年に一度でも訪問して、購読お礼のあいさつができているのか。
電気・ガス・水道と、新聞は同じではありませんが、いまだに「チラシ挟んで配るだけ」という姿勢の新聞屋さんが多いのも、購読者減少の一因だと思っています。
まあ、キリがないほど課題は山積ですね。
できればどこかでお会いしてゆっくり議論したいものですね。
>安易な価格政策をとると自分の首を絞める結果を招く気がします。
その辺は私の感情論が先行してしまったことを反省しますが、おそらく各新聞社は何も手を打たない(こういうときだけ再販や特殊指定を持ち出す)でしょうから、主張してみました(社内の会議でも提言していますが、却下です)。
努力を怠っている新聞屋さんも少なくないということは理解しつつも、担当員がそれを言っちゃおしまいよじゃないかなぁ(笑
新聞のパッケージとしての魅力も落ちているし、販売店も基本業務が行えていない―では、販売セクションはなんなの?となってしまうような気がします。大変だと思うけれど、販売店への徹底指導をあきらめずにお願いしたいものです。
河北と高知は減紙率bPを競っていますが、それだけまともな定数を取っている証だと思っています。
直接会って話すのと文字面とでは、100%の意思疎通はどうしても難しくなるものです。やっぱり会う機会を作りましょうね。
今だけ委員長のところはすばらしくいい仕事してるんでしょうね。
いろいろと教えてもらわなくちゃあ。
東北は遠いな。見に行きたいですけど。
内を見ても外を見ても、正直なところ外向きのかっこつけばかりで、肝心の基本がダメなところが多い。
きれいごとが嫌いな性質ですから、せっかくのブログへのコメント、本音で書きすぎましたかね。
まあ愚痴というより、偽りない現状認識で。
成功体験を拭えずモチベーションが下がりきっていることと、保護されたなかでの商売に胡坐かいていることが問題でしょうね。
今年のテーマは「地を這う」です。
徹底した現場主義で、底を見極めたいと思っています。
またいい知恵を貸してください。