週刊東洋経済1/31号
東洋経済新報社 670円
週刊誌が取り上げるこの手の特集はもう飽きましたね。これまでなら「どれどれ取りあえず買ってみよう」となったのですが、今回は立ち読みで済ませました(笑)
「また広告の落ち込みが著しいとか、全国紙の09年4月決算は最悪だろう」という内容の記事が羅列してあるのかと思いきや(ほぼそんな内容ですが)、テレビ周辺は新規ビジネスの宝庫だと見通しを立てる同誌編集部。2011年7月から開始される(無理かもしれませんが…)地上デジタル化後に空く電波の再割り当てによって、マルチメディア放送に積極的に取り組むことを提言しています。
新聞社にも取材結果を紙だけではなく、ネット、データ放送、携帯電話などに提供する「コンテンツ・プロバイダー」へ転換することを模索すべき、ともあります。
確かに新しい環境に適合しないと、ますます生活者から見放されていくわけで…何とかしないと思っている若手新聞人も、10年先を予見できない経営者とのギャップに嫌気がさしているのも事実。ハーバードビジネススクール教授のクレイトン・クリステンゼンが1997年に出版した「イノベーションのジレンマ」で説いた破壊的イノベーションのように、いまは儲からなくてもネットへの研究、事業展開をしていかなければグーグルよりも高度なソリューションを提供する新興企業に持っていかれてしまうと感じています。
世の中の動きに「必ず」という言葉はありませんが、「頼みのネットも稼げない」から“紙だけでいく”という選択肢は止めなければならないと感じています。
特集には産経新聞が来月から勤続10年を超える40歳以上の社員に対して希望退職を募り、割増退職金が基準内賃金の55カ月分という破格値であることから応募が殺到するであろうという記事や、毎日と産経の業務提携についても(目新しくはない)紙面を割いて紹介されています。
日経が2期連続の大幅減益で赤字転落の危機という記事もあります。まぁ赤字でもキャッシュを流出させなければ経営は持つわけで、赤字決算というイメージ的なリスクよりも粉飾をして無理に黒字にしようとすることの方が経営的なダメージが大きいはずです。今年春に竣工する新社屋のうち、3フロアを三井物産に貸し出すことなどは、しっかり取材をしている証拠なのかも…
あとは、新聞特集のレギュラー陣の寄稿で構成されていて、池田信夫氏の「新聞・テレビ没落で始まるローコストメディアの時代」と河内孝氏が「老老介護は限界 現実的なシナリオは通信を軸とした再編」(メディアコングロマリットの持論で)を展開されています。
新たしくて効果のある処方箋が出されてもグズグズする新聞社の姿も思い描けますが、若手から変えていかなければと思っています。選択肢はそう多くはないと思うので。
今後とも貴重なご意見をよろしくお願いします。