新聞再生―コミィニティからの挑戦―
著者 畑仲哲雄(平凡社新書)760円
共同通信社に勤めながら、社会人学生としてマスメディア・ジャーナリズムを研究してきた著者が3つのテーマを示しながら新聞産業が抱えている問題を解明し、地方紙の可能性を探った1冊です。
著者とは数年前の会合でお会いして以来、知人の知人つながりで、本の内容はさておき、まず買って読んでみたのですが“スッキリ”させられる内容です。おススメ!
第1章では旧鹿児島新報社のOBらが、会社倒産後にNPO組織として再スタートを切った事例が紹介されています。第2章は神奈川新聞が展開するブログ「カナロコ」の立ち上げから現在に至るまでの道のりを。第3章は2005年に創刊し、わずか5カ月で休刊を余儀なくされた「みんなの滋賀新聞」の創刊時のコンセプトなど、丹念な取材のもとに各事例の真実がつづられています。
3つの事例とも資本力もない小さな新聞社で起きた(取り組まれた)ことで、新聞業界という大きなくくり方からすれば、大きな関心ごとではない(失礼ですが)ことなのかもしれません。しかし、この3者の取り組みを今の新聞産業界が自分たちのこととして考えなければならない問題のように思えます。読者から支持され、応援される新聞。これこそ新聞なのだと思います。