「原油価格の高騰で値上げをせざるを得ない」 今年の春先から夏場にかけて油脂や小麦を原材料にする商品の値上げが相次ぎました。「原油価格の引き上げは投資家が意図的に行ったマネーゲームだ」と言われてはいたものの、ここにきて価格は安定路線といったところでしょうか。輸入品目の値下げセールを実施するスーパーも目につきます。ガソリン価格も90円台に戻り新聞販売店も「燃料費」が嵩まず、ひと安心といったところでしょう。
新聞社も今年春先から「用紙代の値上げ」を各製紙メーカーから要請され、値上げや夕刊を休刊を決断した新聞社もありました。約15年間、購読料が据え置かれた状況のなか、各社とも“まだ”がまんくらべが続いています。販売や広告収入が下がっているとはいえ、新聞製作や配達のコストは急には落とせないもの。そこに用紙代やインクなど原材料の値上げが追い打ちをかけた1年だったように感じます。
さて、その用紙代ですが今後どのような推移をたどるのでしょうか。新聞通信(08年12月15日付)によると、「用紙代再値上げは回避か」という見出しで、中国の需要激減で古紙価格が暴落し、国内に古紙が流通して値段は値下げに転じる可能性も出てきたと解説しています。
一方、古紙ジャーナル(08年12月5日付)では、「輸出価格の暴落で、大幅に減少するかと思われた10月の日本の古紙輸出並びに中国の古紙輸入だが、通関実績によると日本の輸出は減ったものの、欧米からの輸入量は増え中国の総輸入は二桁成長(前年同月比)している」と報じています。10月の(日本からの)輸出中止は中国の製紙大手が買い控え(欧米から大量に購入)を強めただけで、日本が過剰反応したものだと分析しています。
そうすると、中国での需要(輸出価格)が高いうちは国内の建値も高騰するため、用紙代の再値上げは起こりうるとも取れます。ただし、このところの円高で、中国へ輸出するより国内価格の方が高値でさばけると判断すれば、海外へ出回ることなく国内の古紙在庫が増えて価格は安定するという見通しですが、どうなる事やら。
今後は需要と供給のバランスからどの程度の価格調整が図れるかが争点となるでしょう。いずれにしても資源は限られているわけですから…
ウィキペディアで「古紙」を検索してみると、以下の表記が目に刺さります。
「古紙の最大供給源」毎日、全国で印刷される新聞の1〜2割程度(1,000万部程度)は、新聞販売店のノルマ維持のために刷られる押し紙と呼ばれる新聞であり、実際には販売されずに全量がリサイクルに回される現状にある(新聞販売店の項を参照)。これは日本の新聞紙の回収率が、他国に比べて高い理由の一つにもなっており、手放しで評価できない一因にもなっている。