2008年12月20日

今年の新聞業界を漢字一字で表わすと「崩」かなぁ

 今年も残すところ10日余り。今年の新聞界は販売・広告の二大収入のうち、広告収入の落ち込みが大きく「赤字決算」を計上せざるを得ないところもでてきそうです。それだけ厳しい状況下で、「印刷・発送・販売(配達)」部門の提携・協業による合理化が進められています。さらに「夕刊廃止」の動きも加速した1年でした。
 今年1年の新聞業界を漢字一文字で表すなら、「崩」がピッタリくると思うのですが、どうでしょう。

 昨年に引き続き、新聞協会報(08年12月16日付)が報じた「2008年報道界重要ニュース」(協会報編集部選定)を引用して、今年1年を振り返りたいと思います。
注:重大ニュースに順位づけはされていませんが、見出しの大きさなどを勝手に判断して並べています。

@相互印刷、共同輸送に拡大
「朝日・読売・日経3社提携」
 朝日・読売・日経の提携は相互委託印刷、共同輸送へと広がった。新聞経営を取り巻く環境が厳しさを増すなか、連携を深め経営基盤を強化する。朝日の秋山社長は「過剰気味の製作設備を有効活用したい」と、相互印刷・共同輸送を進める理由を説明した。読売の内山社長は長期的には設備更新の時期に「自社工場を閉じ、他社工場に委託するようにもなる。今回はその第一弾だ」との認識を示した。このほか、三紙の一面、社会面、社説の読み比べなどができるニュースサイト「新sあらたにす」も1月末に開設された。

A夕刊廃止・休刊相次ぐ
「収入減、製作費の高騰で」
 新聞各社で夕刊の廃止・休刊が相次いだ。販売・広告収入の低迷、用紙費など新聞製作費の高騰が背景にある。月極め購読料を上げる動きも一部に見られた。毎日北海道が8月末、秋田魁が9月末で夕刊を廃止(秋田魁は50円値下げ)、南日本も来年2月末で夕刊を休刊する。また、夕刊紙の名古屋タイムスも10月末で休刊し、夕刊を取り巻く環境は厳しい局面に入った。一方、十数年ぶりに月極め購読料を値上げした新聞社は、市民タイムス、SANKEI EXPRESS、日本海新聞、山形新聞、フジサンケイビジネス・アイ、陸奥新報、東京スポーツ、大阪スポーツ、中京スポーツ、内外タイムスの11紙を数えた。

B裁判員報道に向け指針
「協会公表、各社の作成も進む」
 裁判員制度の開始を来年5月に控え、新聞協会は1月16日、「裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針」を公表した。公正な裁判と報道の自由の調和を図り、国民の知る権利に応えるために策定した。協会の指針は、事件報道の目的・意義を再確認するとともに、報道各社が人権へ配慮してきたことを踏まえ、被害者を犯人視することで裁判員に過度の予断を与えない取材・報道のあり方を改めて確認した。

C各紙が拡大文字を採用
「12段制への移行も進む」
 新聞各社で春以降、文字拡大が相次いだ。新聞協会技術委員会の調査によると、昨年以降71紙が文字拡大した。このうち28紙は、1951年から多くの社で採用された15段制を改め、文字拡大に併せて12段制に移行している。朝日・読売・日経も昨秋から共同で研究を進め、朝日、読売両社は今年3月末、12段制へ移行し文字拡大した。両社が昨年末から新聞協会加盟社にも12段制移行の検討を呼びかけたことで動きが広まった。

D学習指導要領に「新聞活用」
「『言語活動の充実』に重点」
 小中学校の新学習指導要領が3月に公表され、「新部の活用」に関する文言が盛り込まれた。NIE推進の追い風になると期待されている。小学校は2011年度、中学校は12年度から全面実施される。

E新聞広告費が大幅減
「マス4媒体ともに落ち込む」
 電通によると、2007年の新聞広告費は前年比5.2%減の9,462億円で、三年連続で減少した。総広告費が増えるなか、マス四媒体の構成比も50.9%となった。一方、インターネット広告費は、前年から24.4%伸長し、6,003億円。広告費全体の8.6%を占めた。日経広告研究所は08年度の新聞広告費を前年度比16.5%減と予測する。

F有害情報規制法が成立
「表現の自由めぐり反対も」
 「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が6月、成立した。青少年の健全な成長を著しく阻害する情報を「青少年有害情報」と定義し、携帯電話会社などにフィルタリングサービスの提供を義務付けた。有害情報の判断主体は、民間の第三者機関に委ね、国は直接には関与しない。自民党では当初、有害情報の判断主体について「内閣府の委員会」とした案も出されたが、表現の自由の観点から新聞協会や民放連などから反対が相次いでいた。

G「情報漏えい」で一佐懲戒
「防衛省 記者への提供で初」
 防衛省は10月2日、読売新聞記者に防衛秘密を漏らしたとして、自衛隊法違反(秘密漏えい)容疑で東京地検に書類送検されていた元情報本部課長の一等空佐を懲戒免職処分にした。記者への情報提供による処分は初めて。報道関係者や有識者からも取材者、被取材者双方を委縮させ、取材・報道の自由、国民の知る権利を制約する恐れがあるなどの危惧が相次いで指摘された。

H編集統合の流れ 日本にも
「本紙・ウェブで一体発信」
 昨年から今年にかけ、朝日、産経、共同、東奥、神奈川、西日本、熊本日日など新聞・通信各社でウェブの報道部門を編集局に移し、ニュース配信部門を一元化した統合編集局を目指す動きが目立った。速報性の強化や、多メディア展開を目指し、新たな収益の確保も狙う。編集統合により、現場記者は紙の締め切り時間だけを意識せず原稿を出稿するようになった。サイト記事が数倍に増えた社や、ウェブ独自の解説・分析記事などを提供する社も。サイトを充実させるためにブロック・地方紙では、ニュース映像(動画)などの配信に取り組む動きも顕著になった。


posted by 今だけ委員長 at 10:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース
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