次世代マーケティングプラットフォーム―広告とマスメディアの地位を奪うもの―
著者 湯川鶴章(ソフトバンククリエイティブ)1,600円
時事通信社編集委員の湯川さんが「自身のメディアの未来探求はこれで終わりにしたい。この本を総括としたい」と言い切る気合の入った1冊。
湯川さんとは2004年に新聞労連の会合でお会いしてから、4回ほど講演を聞いたし、酒を飲みながら話す機会もありました。常にメディアと広告とウェブの未来を探究されて、歯に衣着せぬ話しぶりに「こんな上司がいたらなぁ」と思ったものです。
湯川さんがなぜ本業の新聞業界のこと以上に広告やウェブに関する著作が多いのか?そこを理解しないとそれぞれのメディアが抱える産業問題というものを議論する土俵にはあがれないと思います。なぜならマスメディア(新聞でいえばジャーナリズムか)を資金的に支えているのは広告ビジネスなのだから。
メディア企業(特に新聞だと思って読みました)は今後どう進むべきかという提言されています。
(ここから引用)…表現好きの人間が多く残っているからこそ、メディアや広告企業は、時代の波になかなか乗れないのだと思う。競争のルールが、表現力の個人戦からテクノロジーを使った団体戦に変化しようとする中で、最後の最後まで個人戦にこだわっていたい人間をたくさん抱えているのだから身動きが取れないわけだ。こうしたことからも、時代を変えるのは業界の中核にいる老舗企業ではなく、周辺領域に登場した新興企業になるのは、歴史の必然なのかもしれない。…表現を核にした仕事を続けたいのなら、これから来るであろう不透明な時代を生き抜くしかない…(引用終わり)
また、新聞労連の産業政策研究会にも湯川さんからこんなメールもいただきました。「別にみなさんは最新の広告トレンドを知る必要もないし、デジタルサイネージなんて詳しく知る必要もありません。マーケティングプラットフォームが確立する前にどういうメディア、コミュニティを作って準備しておくべきかを考えることが最優先課題だと思います(イイところだけ抜粋しました)」と…
いまamazonで注文しても1カ月待ちの状況ですが、「電通vsGoogle」という発想とは別次元のメディア、広告、ウェブの方向性をイメージできると思います。
私は新聞奨学生制度を利用させて頂いている立場ですが、集金や拡張などでお客様と実際に話してみると、販売所の経営方針や営業方針があまりにずさんだと感じてしまいます。多重契約や割り込み契約、角材の均一な分配が成されていないことも去ることながら、お客様の『弱み』につけこむような営業方法が気になります。
中には多重契約の末、泣きそうな顔をしながら契約の引き延ばしを哀願するおばあさんなどもおり、強引な営業方法を改善しなければ、お客様は無為に新聞を取り続けなければならなくなってしまう事態が発生します。
贅沢を言うなら、それらを一括して処理しなけれはならない我々の労力も考慮して頂きたいものです。
現状はご指摘いただいている通りです。ただしすべての新聞販売店が「その通り」というものではないと思います。nameusedサマもご存じだと思いますが、拡張団に「今日は何処の販売店へ行け!」と指示しているのは新聞社(販売局)であって、強引な拡張方法で読者から拒絶されればされるほど悪質巧妙になり、その犠牲者が学生さんや高齢者になっているように感じています。まずそこを改善させなければなりませんね。
あとは、販売店も「新聞販売店は配達店ではない」という名言?を語った方がいますが、読者を増やすというよりは、とにかく数字をあげるために倫理観を失った契約行為に走らざるを得ないという状況があります。
私も一括して処理をする側だと思いますが、現場(新聞社も含めて)では、押すことも引くこともできない状態になっていると思います。誰も矢面に立ちたくないので「何もしない」ことがマニュアル化されているようです。半ばあきらめていますが・・・