明日の広告―変化した消費者とコミュニケーションを取る方法―
著者 佐藤尚之(アスキー新書)743円
今年4月から、これまでの営業企画部門から管理(財務)部門へ異動して半年経ちました。財務管理による企業マネジメントの重要性についても徐々にではありますが理解を深めています。
デスクワークばかりしていると「生活者感覚」「市場の反応」からズレてしまうのではないかと、しきりに地域で開催されるイベントへ顔を出し「生活者」の声を拾うようにしています。部門に関係なく「消費者本位」の発想を持ち続けることが新聞販売業のみならず企業活動には欠くことのできないことですよね。
最近購入した書籍を並べてみるとマーケティングや広告に関連するものばかり。このブログでもいろいろ紹介していきたいと思っていますが、今回はイチオシの「明日の広告」についての感想を。
本書は今年1月に発行され、多くの広告・メディア関係の方が読まれたと思います。4大マスメディア広告費が前年比を割り、かなりネガティブな雰囲気にある広告・メディア業界にあって、電通に勤務する佐藤尚之氏がポジティブに「消費者へのラブレター」というキーワードを使って、消費者の変化に対応する具体的手法について書かれています。メディア・ニュートラルな時代に「わかっているつもり」が一番怖いと指摘する佐藤氏。そうそう業績が伸びない時などよく言われますね「初心に帰れ!」とか。創業時の精神とかは必要でしょうけど、以前と同じこと(初心に帰ればという感覚)をしていれば業績は伸びるはずと顧客のニーズを決めつけて発想するお偉いさんって少なくありません。「わかっているつもり」で営業戦略を立てると成果が表れないばかりではなく、逆にターゲットから嫌われる時代なのです。
ネットの普及で消費者の購買決定の判断が、広告よりも消費者の口コミを重視する時代へ変わってきました。そんな現状を佐藤氏は「商品丸裸時代」と呼び、@認知に徹することAよりプロモーショナルになることBありのままの自分を出すことC買ってくれた人をもてなすことD買ってくれた人に参加してもらうことーをクリエイティブ作法にあげています。かなり参考になります。
新聞(定期購読)をPRするための広告物(チラシや申込はがき)はその多くが印刷会社がデザイン案をいくつかもってきて、販売局が決めるというのが常。「わかったつもり」はもうやめて、その道のプロに頼むか、グループ・インタビューでもやってラブレターの内容や渡し方を考え直さなくちゃいけないのでは…