2008年10月29日

消費者が変わった 広告も変わらないと

  明日の広告.jpg
明日の広告―変化した消費者とコミュニケーションを取る方法―
著者 佐藤尚之(アスキー新書)743円

 今年4月から、これまでの営業企画部門から管理(財務)部門へ異動して半年経ちました。財務管理による企業マネジメントの重要性についても徐々にではありますが理解を深めています。
 デスクワークばかりしていると「生活者感覚」「市場の反応」からズレてしまうのではないかと、しきりに地域で開催されるイベントへ顔を出し「生活者」の声を拾うようにしています。部門に関係なく「消費者本位」の発想を持ち続けることが新聞販売業のみならず企業活動には欠くことのできないことですよね。

 最近購入した書籍を並べてみるとマーケティングや広告に関連するものばかり。このブログでもいろいろ紹介していきたいと思っていますが、今回はイチオシの「明日の広告」についての感想を。


 本書は今年1月に発行され、多くの広告・メディア関係の方が読まれたと思います。4大マスメディア広告費が前年比を割り、かなりネガティブな雰囲気にある広告・メディア業界にあって、電通に勤務する佐藤尚之氏がポジティブに「消費者へのラブレター」というキーワードを使って、消費者の変化に対応する具体的手法について書かれています。メディア・ニュートラルな時代に「わかっているつもり」が一番怖いと指摘する佐藤氏。そうそう業績が伸びない時などよく言われますね「初心に帰れ!」とか。創業時の精神とかは必要でしょうけど、以前と同じこと(初心に帰ればという感覚)をしていれば業績は伸びるはずと顧客のニーズを決めつけて発想するお偉いさんって少なくありません。「わかっているつもり」で営業戦略を立てると成果が表れないばかりではなく、逆にターゲットから嫌われる時代なのです。

 佐藤氏が携わった仕事の実例も多く紹介されていて、スラムダンク1億冊感謝キャンペーンの取り組みなどは「自分もこんな企画に携わりたいなぁ」と思わされます。これだけとことん消費者本位に仕事ができたらって。そう考えると自分はこれまで、実は消費者(読者)本位ではなかったのではないか?とハッとさせられます。ネットの出現で新聞広告の力に疑いを持ち始めた人もいるかもしれませんが、佐藤氏はコミュニケーション・デザインによってメディアごとの役割分担が明確になれば、新聞広告は今までになく魅力的に見えていると述べています。毎朝確実に届くメディア、ポスターにすらなるサイズの大きさ、襟を正す感じ(新聞は消費者が襟を正して読むという印象から)、他メディアよりピンポイントのタイミングを狙いやすいこと、切り取りのしやすさ…広告マンが見逃していることも多いと指摘する一方、紙面へ載せる表現は変化した消費者に合わせて工夫が必要とも…。

 ネットの普及で消費者の購買決定の判断が、広告よりも消費者の口コミを重視する時代へ変わってきました。そんな現状を佐藤氏は「商品丸裸時代」と呼び、@認知に徹することAよりプロモーショナルになることBありのままの自分を出すことC買ってくれた人をもてなすことD買ってくれた人に参加してもらうことーを
クリエイティブ作法にあげています。かなり参考になります。


 新聞(定期購読)をPRするための広告物(チラシや申込はがき)はその多くが印刷会社がデザイン案をいくつかもってきて、販売局が決めるというのが常。「わかったつもり」はもうやめて、その道のプロに頼むか、グループ・インタビューでもやってラブレターの内容や渡し方を考え直さなくちゃいけないのでは…

posted by 今だけ委員長 at 22:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
ツイート