クライマーズ・ハイ
著者 横山 秀夫(文芸春秋)1,650円
今日、NHK総合で「クラーマーズ・ハイ」(主演は佐藤浩市)のドラマが前編・後編に渡って放送された。一昨年に出版された書籍を購入して、感じたとおりにドラマも争点を捉えており、久しぶりにじっくり観れたテレビドラマだった。
書籍の内容については、1985年に起きた御巣鷹山日航機墜落事故をめぐって、地元紙の上毛新聞社に勤める新聞記者(悠木)と主人公を通じて新聞社の体質、親子・友人との絆が描かれた「勇気をもらえる」一冊。
新聞社内の問題点もしっかり指摘されており、ジャーナリズムと新聞社経営、編集と販売という組織内での個人の葛藤が書かれている。
クライマーズ・ハイ=人生はさまざまな過去を持ち、それを乗り越えるためにまた山を登る。極限を通り過ぎると陶酔の境地を迎えまた更なる山を目指す。
悠木デスクがスクープ記事の掲載(取材)による新聞の降版時間をめぐって、販売局長が「発行が遅れると販売店が迷惑をする」と一刀両断するシーンがある。
その新聞(発行責任者)が読者に対して責任を持つならば販売店(宅配)は如何様にでも対応しなければならないと自分は思っている。なかなか新聞の役割や地域・読者への使命感のようなものは販売店まで浸透しづらいが、昨年起きた新潟中越地震の時に新潟日報の販売店が自分たちも被災しながら「新聞を配り続けた」という使命感を持てたーという話を聞いた。日本では新聞は配達されてひとつの商品になる。それぞれの新聞に携わる従業員が「誰のために」取材し、新聞を届けるのかという意識を共有している新聞社になりたいものだ。