新聞労連の産業政策研究会の一員として倉敷市で開かれた、中国・四国・近畿地方連合による産業政策研究合同集会(約30名の労組員が出席)へ講師として参加してきました。
私のパートは、このほど同研究会が発表した中間報告書の総論部分の解説と販売問題について約60分(時間オーバーでしたが)話をさせていただきました。
集会は翌日午前中まで熱心な討議が行われ少々バテ気味だったのですが、せっかく岡山まで来たのだからとおととし新社屋が完成した山陽新聞社(地上30階建)を見学させていただきました(写真左)。
とても新聞社の建物とは思えないモダンな社屋は最上階に食堂兼ラウンジがあり、岡山市内を見下ろしながら社員の皆さんは食事をされているのだろうなぁ…こういうところで仕事をしていると市民感覚とズレてくるのだろうなぁと独りごとを言いながら、総工費85億円のお城を見せていただきました。
ひと通り新社屋を見学させていただいた後(販売局には伺えませんでした)、旧社屋(編集部門と印刷・発送部門、系列のケーブルテレビが入居:写真右)にもお邪魔しました。
注目したのは山陽新聞社が取り組んでいる「WEBニュース岡山」。同社のでは月曜から金曜まで(祝日は除く)その日のタイムリーなニュースを5本放送しています。しかも、取材(ビデオカメラで)から番組テロップの製作に至るまですべて編集局員が担当し、画面に登場するアナウンサーも編集局の方々というからビックリ。同社では撮影のスキル編集のスキルを学ぶために入社5〜6年の編集局員を系列会社のoniビジョンへ3年程出向させているそうで、映像の出来栄えも素晴らしいものです。同社系列のケーブルテレビ会社「oniビジョン」でも放映されています。
“紙面掲載に間に合わなかった事件でも取材(動画に収め)してWEBニュースに間に合えば先んじて放送するのか?”という問いに対して、同社メディア報道部E氏は「もちろん。ウェブファーストでしょう」と語気を強めました。
そのほか、先人の風景(紙面と連動し県内の名所を動画配信)や岡山医療ガイド(紙面とも連動)も人気があるとのこと。医療ガイドには「日帰り手術ができる病院」「クレジットカードの支払いができる病院」などのキーワードを入力すると適正な医療機関の情報が提供されるというポータル的な機能を備えています。「岡山県内のことはすべて山陽新聞が紙面とWEBで提供します」という地域に根差したスタンスを強く感じました。
共同通信や北海道新聞、静岡新聞をはじめ、地方紙でも動画をコンテンツにしたWEBサービスが取り組まれていますが、なかでも山陽新聞社は一歩リードしているという印象を持ちました。
国会中継しかり、全国の県・市議会でのやり取りも動画で一般公開していることろ出てきており、速報性だけをとらえれば1日2回印刷される新聞に勝ち目はありません。しかし、議会で論戦されている問題点は何なのか「解説」することは新聞の一番の強みのような気がします。新聞はその辺をもっとアピールするべきでしょう。
新社屋内にあるデジタルビジョンでは当日の紙面が映し出されている。