少々遅ネタですが、中国新聞が2003年から取り組んでいる会員組織「ちゅーピーくらぶ」(会員数42万2千人)がさらにパワーアップするという話題(9月4日)。PASPYプレスリリース
広島県内の交通事業者10社局で構成するPASPY(パスピー)運営協議会と広島銀行、そして中国新聞社が来年3月をめどに提携カードを発行することで基本合意したと発表。交通事業者と銀行、新聞社の提携による“交通系”カード発行はもちろん全国初です。
名称は「ひろぎんPASPY(仮称)」で、広島銀行が発行する非接触ICカードは、JRが発行する「Suica」の地域版といったところでしょうか。
三者のメリット・デメリットを考えるとこんな感じなのかなぁ。
▽交通事業者
メリット=利用者の向上(現在独自カードを4万枚発行)
デメリット=ICカード対応の運賃カウントシステムへの投資
▽広島銀行
メリット=電子マネー導入による市場活性化
デメリット=カード発行、システム開発の経費
▽中国新聞社
メリット=顧客データベースの構築、サポート店の活性化
デメリット=・・・
中国新聞社を皮切りに新聞社による会員組織は約十数社ありますが、まだまだ新たなビジネスモデルとまでは至っていません。逆にシステム構築や会員証の発行など経費がかさみ、新たな施策が打てずに会員組織自体が中途半端な扱いになっている新聞社もあるように聞いています。
このような会員組織を展開して、どれだけ購読継続・顧客の固定化につながっているのかということを数値化できないと「金がかかるだけで実入りがない…」という域から抜け出ることはできません。新規読者や3カ月ごとに購読紙を切り替える読者へ使われる「ムダな拡張経費」も減らせないと効果として表れないもの。その価値観(数値化された)を経営陣が持てれば次のステップへ向かえるのだろうと思います。
次のステップとは、顧客データベースを活用したビジネスです。これは広告ビジネスに近いものがありますが、中国新聞のように地元企業とタイアップすることでさまざまな効果(シナジー効果というのでしょうか)が得られるし、広告物のターゲット・セグメント配布、サンプル配布なども販売店のインフラを使ってできるわけです。エリア・マーケティングの基本的な手法であり、地域経済の活性化にはもってこいの施策というわけです。
ただし、このような地域カードはどこがイニシアティブを取るかがとても重要。その意味では42万人の会員数を有する中国新聞「ちゅーピーくらぶ」を取り込まない手はないと交通、銀行も考えたのではないかなぁと思います。