2008年09月09日

消費税問題と新聞人への要望

 政界のゴタゴタ劇に業を煮やした社団法人日本経済団体連合会(経団連)が、消費税率引き上げに向けて本格的に動き出したようです。

2011年度から消費税10%、経団連要望へ(読売新聞より)

 日本経団連は8日、中期的な税制の抜本改革案として、消費税率を2011年度から5%引き上げて10%とするよう政府に要望する方向で最終調整に入った。
 正副会長による正式な組織決定を経て9月末にも公表する。
 経団連はこれまで、07年1月に御手洗冨士夫会長のビジョンという形で、15年までに2段階で消費税率を事実上10%まで引き上げるよう求めていた。しかし最近の試算によって、医療、年金などの社会保障制度を安定的に持続させるためには、消費税率を一気に引き上げ、引き上げ時期も前倒しせざるを得ないと判断した。
 試算にあたっては、日本経済が安定的に発展する条件として、政府が目標とする11年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を前提とした。さらに、消費税率引き上げによる負担増が個人消費に打撃を与えないよう、中所得者層以下への負担軽減策も組み合わせる必要があるとみている。


 新聞業界でも消費税問題は大きな関心ごとです。税率アップ分を購読料にそのまま転嫁すれば、セット版で4,000円を超えるため「購読中止に拍車がかかる」「セット版購読ではなく夕刊をやめる」という消費者の声が予想され、経営状況に相当な打撃を与えかねないという共通認識があるためです。

 3年前に新聞協会(当時会長は箱島信一氏:朝日出身)が与党税務調査会へ提出した「平成18年度税制改革についての要望書」には、
…欧米諸国では、新聞にはゼロ税率を含め軽減税率が適用され、それが常識となっています。
…1960年代以降、欧州各国では付加価値税(VAT)を導入していますが、新聞に特別な措置をとっています。ゼロ税率や軽減税率の適用、言論の多様性を確保するための各種の新聞助成策がそれです。例えば、英国、ベルギー、デンマーク、ノルウェーなどでは、新聞購読料はゼロ税率になっており、オーストリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデンなどの国では、軽減税率を適用しています。
…国民が正しい判断を下すには、政治や経済、社会など、さまざまな分野の情報を手軽に入手できる環境が重要です。欧米の先進国では、軽減税率をはじめ各種の新聞助成策を講じていますが、その根底に流れているのは、新聞による自由な言論と報道は「民主主義の必要経費」という考えにほかならず、わが国においても十分に考慮されて然るべきものと考えます。
…今後とも国民がより少ない負担で新聞を購読できる状態を維持していくことが、わが国の取るべき方策であると確信しております。その意味で、購読料への課税のみならず、新聞社の社会的責任のもとに行われる情報提供事業に対して他の商品と同率に課税することは、民主主義国家の健全な発展と国民文化の向上に、大きなマイナスになることを憂慮いたします。
…ゼロ税率ないし軽減税率の適用をご検討くださるよう要望いたします。

 確かに、新聞も社会的消費財ですから、娯楽品の類ではなく国民への平等な情報提供源として受け取れます。福田首相も経団連の御手洗会長もうちの親父も、毎日同じ紙面を見られるインフラは現代社会において必要不可欠だと思います。
 しかし、いまの新聞産業の現状(問題点)を鑑みれば、(現状放置で)果たして社会的合意が得られるかどうか?新聞社の内部構造を見渡すとまだまだ努力すべきところはたくさんあると感じます。

 新聞の定価販売についても長期購読者への割引や学割などの要望が寄せられています。何も著作物再販協議会の会員からだけ発せられている声ではないのです。では何故(学割などが)できないのか?新聞社は広告もそうです(広告主からの直接受注は広告会社や代理店)が、販売も販売店という別法人(片務契約ではあるけれど)が販売行為をしていますから、その販売店のもうけも考えなくてはいけないという問題(押し紙などの問題もありますが)があります。著作物再販制度はメーカー(新聞社)が小売店(販売店)の販売行為に対してメーカーが決めた定価販売を守らせるというものですから、新聞社が「長期購読者割引」や「学割」の価格設定をすれば不可能ではないわけです。
 しかし、(販売店が顧客DB を提出しないため)顧客管理が出来ないからとか、逆差別になるとか言い訳をつけて手を付けないわけです。でもムダな拡張物品(短期契約者だけに恩恵がある)や拡張団へ積まれる販促経費、販売店への適正な手数料配分を実行すれば、新聞社も販売店も市場の要請に応えられると思うのですが…どうでしょう。


 新聞業界の危機を叫ぶだけではなく「では、どうするか」を考えなければなりません。「小手先」の改革で切り抜けることはせずに…です。いま問われているのは新聞というインフラではなく、そこに働く新聞人なのだという問題整理をしなくてはいけません。

 新聞の存在意義というものを訴え、それを体現する新聞人の質的向上(社会とズレない)を図っていかなければならないと感じています。新聞の反撃ではなく、これまでの使命を現代の価値観に落とし込んで発想すること――そう思います。期待も込めて…



posted by 今だけ委員長 at 06:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
ツイート
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。