2014年4月に1990年から2013年までの新聞業界の動きを「年表」にまとめたものの続編として、2014〜15年の2年分をアップ(再開ではなく一部公開)することにしました。個人的な備忘録として新聞界の中でも「販売・流通・ネット・東北」を軸にまとめたものです。
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2014年
1・1 1部売り定価改定=毎日新聞140円(10円上げ)、東奥日報130円(30円上げ)夕刊60円(10円上げ)。中部経済新聞社が月決め定価を3,000円から3,300円に改定、1部売り140円(20円上げ)
1・14 日本経済新聞社は、日経電子版などの読者管理に使っている認証システム「日経ID」と、日経BPの同様のシステム「日経BPパスポート」を統合すると発表した。春から順次、日経IDに一本化する
2・1 1部売り定価改定=北海道新聞140円(10円上げ)、デーリー東北110円(10円上げ)、長野日報110円(10円上げ)
2・3 毎日新聞社は、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)を発行するダウ・ジョーンズ社と、編集、印刷、デジタルなどの分野で包括提携することで合意したと発表
2・21 茨城新聞社は、経営再建のため会社分割方式により、新聞発行を引き継ぐ新会社と債務を整理する旧社に分離することを決めた。11年に負債を抱える印刷子会社、茨城プレスセンターを吸収合併したことで、業績が悪化していた。会社分割は4月1日付▼公正取引委員会による著作
物再販制度の弾力的運用に関するヒアリングが開かれ、新聞協会販売委員会の下林光夫(毎日東京)、前田昌彦(東京)両副委員長が出席した
3・1 河北新報社は、ニュースサイト「コルネット」やSNS「ふらっと」を統合、刷新し、無料のデジタルサービス「河北新報オンライン」を開始した▼岐阜新聞社が有料電子版を開始した。本紙購読者は月300円(税別)、県外在住者は同3,062円
3・11 岩手日報社は、東日本大震災時の支援の感謝の気持ちを伝える特別号外1万7600部を、東京、横浜、名古屋、新潟、京都、神戸の全国6都市で配布した
4・1 消費税率引き上げに伴い、新聞各社が購読料を改定した。多くの新聞社が増税分を転嫁した▼15段から12段へ=京都、中部経済(山陽は14日付から)▼愛媛新聞社が印刷部門を別会社化した
4・8 毎日新聞社は、東京本社1階に「毎日メディアカフェ」を開設した
4・17 朝日新聞社は、大学教育向け新聞記事活用サービス「朝日新聞デジタルforアカデミー」トライアル版の東洋大への提供を始めた
5・29 デーリー東北が1ページ15段を12段へ変更した
6・6 新聞協会の白石興二郎会長が「文字・活字文化と国民のくらしを考える緊急集会」に出席し、消費税率を10%に引き上げる際は新聞、出版物に5%の軽減税率を適用するよう求めた
6・10 東奥日報社は、購読者向け無料デジタルサービス「東奥日報タブスマ」を始めた。利用登録した上で、スマートフォンなどで閲覧用のアプリをダウンロードすると、朝夕刊の紙面イメージが無料で配信される
7・9 愛媛新聞社などが主催する「全国新聞販売フォーラム2014松山」が松山市で開かれ、新聞販売関係者約550人が出席した。
7・17 特定秘密保護法の運用ルールを議論する「情報保全諮問会議」(座長:渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長)は、特定秘密の指定・解除に関する運用基準と政令の政府素案を提示した。同法22条「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由を十分に考慮しなければならない」を順守すると明記した
7・20 元日本新聞協会副会長で河北新報社社主の一力一夫氏が死去した。88歳
9・6 ジャーナリスト・池上彰氏の連載コラム掲載を一時見合わせたことに関し、朝日新聞社は朝刊で市川速水東京本社報道局長(当時)が経緯を説明。読者に対し「多様な言論を大切にする朝日新聞として間違った判断であり、読者の本紙に対する信頼を損なう結果になった」と謝罪した。
9・11 朝日新聞社の木村伊量社長は記者会見を開き、東京電力福島第一原発事故の政府事故調が非公表で作成していた吉田昌郎元所長(故人)の聴取記録(吉田調書)について、5月20日付朝刊で報じた記事を取り消し、読者と東京電力の関係者に謝罪した。慰安婦報道についても、「誤った記事を掲載し、訂正が遅きに失したことについて読者におわびする」と述べた。
10・20 東奥日報社は、1ページ15段制を12段制に変更した
11・14 朝日新聞社は臨時取締役会で、木村伊量社長が東京電力福島第一原発事故をめぐる「吉田調書」の記事や従軍慰安婦報道の取り消しなど一連の事態の責任を取って辞任した。後任は渡辺雅隆取締役。
12・4 読売新聞東京本社と産経新聞社は、東北地方に配達する産経本紙などを、建設中の読売仙台工場(宮城県黒川郡大和町)で2015年3月から印刷することで合意した。印刷の受委託に合わせ、共同輸送も検討する
2015年
1・26 毎日新聞社は、出版事業を分社化し、4月1日付で全額出資の事業子会社「毎日新聞出版」を設立すると発表した。資本金は1千万円。「サンデー毎日」などの雑誌や書籍の発行を新聞社が受け継ぐ
2・13 中国新聞社は、夕刊を4月30日付で休刊するとともに、新媒体「中国新聞SELECT(セレクト)」を創刊すると発表した。朝刊とセレクトのセット価格は税込み4,030円。セレクトは5月1日創刊で、海外や経済ニュースを中心に解説記事を掲載するほか、各地の地方紙の企画特集を紹介するページなどを盛り込む。ブランケット版16ページフルカラーで、月曜を除く週6日、朝刊と併せて配達する
2・20 毎日、長崎、南日本の3社は、毎日新聞鳥栖工場(運営・毎日新聞九州センター)で印刷している毎日本紙の朝刊のうち6万8500部の受託印刷で基本合意したと発表した。今秋の印刷開始を目指す
2・25 読売新聞東京本社と河北新報社は、災害などで新聞印刷ができなくなった場合、代行印刷する相互援助協定を締結した。発効は3月1日。東日本大震災で読売の旧仙台工場(仙台市宮城野区)が被災したため、両社は印刷受委託契約を締結し、2012年3月から河北新報印刷センター(仙台市泉区)で読売朝刊の一部を印刷していた
3・11 岩手日報社、河北新報社、福島民報社は、東日本大震災被災地の現状を伝える8ページの特別紙面を合同で発行した。3社で展開する「スマイルとうほくプロジェクト」の一環で、3年連続の取り組み。各紙が同日付朝刊に折り込んだほか、東京・渋谷駅前などの街頭でも配布した
4・1 1部売り定価改定=中国新聞140円(10円上げ)
5・18 沖縄タイムス社と琉球新報社は、新聞、別刷り媒体、折り込みチラシなどの商品の共同配達を始めた。対象は沖縄本島北部地区の販売所。業務の効率化、配達時間の安定化により読者へのサービスを向上させる
6・1 毎日新聞社は、電子新聞サービス「デジタル毎日」を開始。ニュースサイトを原則有料化し、記事閲読にメーター制を導入した
6・3 新聞協会の白石興二郎会長(読売グループ本社代表取締役社長)は、活字議員連盟などが開いた会合で、2017年の消費税率を10%に引き上げる際には新聞をはじめとする出版物に5%の軽減税率を適用するよう求めた
6・10 新聞協会は、特定商取引法の見直しを検討する内閣府消費者委員会・特定商取引法専門調査会のヒアリングに出席し、訪問販売や電話勧誘など不招請勧誘の禁止に反対した
6・22 新聞協会販売委員会は、10日に行われた消費者委・専門調査会のヒアリングで、発言者に対する委員の対応が不適切だったとして、山口俊一内閣府特命担当大臣宛に抗議文を提出した
7・2 新聞協会は、自民党内閣部会・消費者問題調査会の合同会議による特定商取引法見直しに関するヒアリングに出席し、健全な事業者への過剰規制には強く反対するとの意見を表明した
7・22 日本経済新聞社は、英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を発行するFTグループを親会社の英ピアソンから8億4400ポンド(約1,600億円)で買収すると発表した。FTの全株式を取得する。両社の顧客基盤を活用して、グローバルな情報とデジタル戦略を強化するのが狙い。日本のメディア企業による海外企業買収としては過去最大規模だという
8・19 定価改定=デーリー東北新聞社月決め2,900円(225円上げ)1部売り120円(10円上げ)。9月1日から。月決め購読料値上げは1997年4月以来18年ぶり
9・3 長崎新聞社は、配達員2,285人が新聞を届ける様子をGPSデータから視覚化した企画「The Way長崎新聞配達ルートデータMAP化プロジェクト」を展開した。別刷り特集を発行したほか、特設サイトで動画を公開した
10・15 第68回新聞大会が大阪市で開かれ、新聞協会会員社幹部ら522人が参加した。いかなる圧力にも毅然たる態度で臨み、国民の知る権利に応えていくことを誓う大会決議を採択。新聞への軽減税率適用を求める特別決議を3年連続で採択した
10・28 自民党新聞販売懇話会の羽生雄哉会長は、同党税制調査会の宮沢洋一会長と党本部で会い、2017年4月の消費税引き上げの際、新聞に軽減税率を適用するよう求める要望書を提出した
12・1コミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」に、朝日、毎日、産経、サンスポ、報知、日刊スポ、スポニチ、時事など24のメディアがニュース配信を始めた。1日に2回提供。1回につきメディアが配信できる記事は8本で、何を提供するかはメディアが選ぶ
12・7 政府は、徳島県那賀町で、新聞販売店を拠点として無人飛行機(ドローン)を活用した宅配を行う実証実験を2016年2月に行うことを明らかにした。国交省、徳島県、那賀町と、新聞販売所スタッフによる高齢者サービスを支援するMIKAWAYA21(東京都港区)が連携する
12・16 与党税制改革大綱の決定を受け、新聞協会の白石興二郎会長(読売)は談話を発表した。定期購読で週2回以上発行の新聞に8%の軽減税率が適用される点について、「公共財としての新聞の役割が認められた」として評価する一方、知識課税強化に反対する観点から、「引き続き検討」とされた書籍・雑誌を軽減税率の対象に含めるよう求めた
12・18 新聞用紙を中心とする用紙メーカーの讃州製紙(高松市)は、事業からの撤退を発表した。11月には大阪製紙(大阪市)も洋紙事業からの撤退を発表しており、国内で新聞用紙を製造するのは7社となる。両社の新聞用紙シェアは計2.8%(14年)だった
(資料:日本新聞協会六十年史、新聞研究)