▽陸奥新報のお知らせ
26日付本紙は、制作システムトラブルで編集作業に大幅な遅れが生じました。このため遅配となりましたことをおわびします。
http://www.mutusinpou.co.jp/news/2015/02/35288.html
青森の新聞社で働く友人がこの一報を知らせてくれました。氏によると「陸奥新報のシステムは中国資本のベンダー(方正株式会社)を使用している。日本法人はあるものの、こういったトラブル時に対応が遅れることが一番怖いと言われていた。陸奥新報は発送、配達も朝日や東奥日報の販売店に委託しているところが多いため、すべての読者の手に渡るまで、相当時間がかかる見通しだ」とのこと。
▽方正株式会社
http://www.founder.co.jp/solution_01_typesetting_info.html
よく「輪転機のトラブルにより販売店への店着時間が遅れる」という話は耳にしますが、システム障害で販売店が機能する時間帯(配達員の多くは副業であるため、7時くらいを過ぎると大半のアルバイトが日中の仕事へ向かってしまい宅配体制が機能しなくなる)を大幅に超えてしまうというのはとても珍しいことです(いや、とても残念であり、気の毒な話です)。
店主さんはじめ専業従業員の方が精一杯、配達していることと思いますが、雪深い弘前市内そして青森全域への新聞配達は容易ではありません。あすの朝刊と一緒に配達するところも出てくると思われます(夕刊と一緒というわけにも行かないので)。
定期購読者の減少に伴う販売収入や広告収入の落ち込みなどで、厳しい経営を余儀なくされている新聞社。株式会社電通がこのほど発表した「2014年日本の広告費」によると、「マス四媒体」といわれるテレビ、ラジオ、雑誌の広告収入が総じて前年比プラスになったものの、新聞だけが98.2%の前年割れ。急上昇中のインターネット広告(1兆519億円・前年比112.1%)にも大きく水を分けられています。
(これは想像ですが)できるだけ安価なシステムを導入した結果がシステム障害という事態を招いたのかもしれません。新聞社は不測の事態においてもソフト面(新聞社員力)については事態に対応できる能力と修練された技術力があるものですが、ハード面(システムや輪転機など)は専門業者に委ねるしかないのも現実です。「他山の石」として自分たちの足元を見つめ直したいと思います。
▽「2014年 日本の広告費」は6兆1,522億円、前年比102.9%(電通)
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0224-003977.html
【追記】(2016.2.26 19:15)
▽陸奥新報が朝刊遅配 システム障害で(東奥日報2/26付夕刊より)
陸奥新報社(本社・弘前市)の新聞編集制作システムに障害が発生し、同社発行の26日付朝刊「陸奥新報」が津軽地方で約6時間、遅配になった。
同社の成田幸男編集局長によると、システムに障害が起きたのは25日午後10時ごろ。応急処置をし26日午前9時すぎ、印刷を再開した。同局長は「原因を調べながら完全復旧を目指す」と話している。
今回の一報を知らせてくれた友人から貴重な資料も送っていただいたので引用します。ちなみに、青森市内には、午後3時に陸奥新報が届いたそうです。
※ベンダー(方正株式会社)の沿革によると、陸奥新報のシステムは2006年11月に稼働。2010年2月には日刊スポーツの「東阪統合システム」が稼働し、この年の新聞協会賞(技術部門)を受賞している。
http://www.founder.co.jp/about_us.html#c
※当時の「新聞研究」を見ると、受賞理由に「海外ベンダーに開発作業を委託することで、開発・保守コストの大幅な削減を図った」とある。今回の陸奥新報のトラブルを直接結び付けるわけにはいかないが、「できるだけ設備投資を抑えたい」とも受け取れる。以下は新聞協会HPより。
http://web.archive.org/web/20101127190847/http://pressnet.or.jp/about/commendation/kyoukai/works.html