2014年03月30日

消費税増税をあすに控えて思うこと/静岡新聞が税込購読料据え置き

 2週前のネタですが、全国紙を皮切りに新聞各紙が4月からの消費税率引き上げに伴う「月ぎめ購読料」改定の社告を掲載しました。3月17日に読売、翌18日に朝日と毎日、19日には産経(産経は1部売り定価を10円値上げし110円へ)が社告。それぞれ「紙面の充実とサービスの向上」という同じような社告の内容となりました。
 勿体つけているわけではないのでしょうけれど、なぜギリギリにならないと読者へ知らせないのか不思議。「他紙の出方を確認するまでは・・・」との戦略なのかなぁ。それも掲載は一回のみ。社告は一度きりでもよいと思いますが「お知らせ」として複数回掲載して読者へしっかり伝えるべきと感じます。ちなみに、秋田魁新報は早々と2月28日に社告を打ち、販売側がじっくりと読者フォローをする態勢を敷かれたようです。
値上げ社告.jpeg
 新聞業界では、値上げなどの場合は全国紙がリードして地方紙が追従するというパターンなのですが、静岡新聞社(673,000部発行・月ぎめ購読セット版2,900円)では増税分を購読料へ転嫁せず「据え置き」という施策を打ち出しました。
▽税込み購読料据え置き(静岡新聞 3月17日付)
 4月1日から消費税率が8%に引き上げられます。これに伴い静岡新聞は月決め購読料の本体価格を77円引き下げ、税込み購読料を従来と同じ2900円とします。
 国内経済は回復の兆しが見られますが、静岡県経済の回復は全国に比べ遅れ、県民全般が個人所得の増加などの実感を得られるまでには時間が必要です。
 新聞は読者の皆さまの購読によって支えられています。その社会的役割を考え、支払料金の増額を避け、税込み価格を据え置くものです。
 本体価格引き下げ分は静岡新聞社の負担となりますが、紙面構成の見直しや新聞制作の効率化などで費用削減に努めます。

 南信州新聞(23,000部発行・月ぎめ購読1,500円)や中部経済新聞(94,700部発行・月ぎめ購読1カ月3,300円)も3%増税分を購読料へ転嫁しない措置をとったようですが、県内で約60%の普及率を持つ静岡新聞の経営判断は、社告にあるように「読者とともに」という姿勢を全面的に打ち出した戦略と思われます。その背景には専売店を持たずに全国紙販売店へ委託するという効率的な経営(同紙では土曜夕刊も休刊している)もあるのでしょう。これまで攻勢をかけてきた中日新聞や全国紙を一気に突き放した感じですね。

 販売店では社告後、4月からの購読料改定のお知らせチラシや挨拶品などを携えて、読者宅を回っています。私が接した方のほとんどが「仕方ないねぇ。全部あがるんだもんね」という反応です。あきらめ感というか、消費税引き上げそのものに対して「社会保障になんて使われないでしょう。年金は減らされるは、医療費は上がるわで大変よ」と愚痴をこぼす方も少なくありません。ある50代の方からは「あなたたちも大変ね。税金上がって新聞やめられたら大変だものね。若い人は新聞をネットで読むから(読者が増えず)大変だって言うけど、読者のほとんどが年寄りなのだからまだまだ大丈夫なんじゃない。年寄りは新聞やめないから」と励まされ?ました。
 日中に面談できる世帯のほとんどは高齢者が在宅しているお宅。ラジオを聞き、再放送の時代劇や相撲を観ながら、新聞を手元に置いて隅から隅まで読んでいます。新聞産業はこの方々に支えられているのが現実です。紙面の充実とは何かを考えたとき、ターゲットはこの世代だということを認識しないと、ですね。
 消費税が上がっても年金受給額も同じように上がれば(新聞購読補助費なるものの新設など)、読者は一気に減ることはない―。そう感じるのであります。
posted by 今だけ委員長 at 23:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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