2014年02月23日

自社ブランドのイメージ戦略は重要な広報活動

 今週から日テレ系で放送されている読売新聞のCMはイイなぁと思います。
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YC見守り隊」のテレビCM(読売新聞CMギャラリーより)

 「配達で、街の安心を見守りたい」というコンセプトは、読売新聞販売店に限らず各系統の販売店でも(温度差はあれ)掲げており、実際にマニュアルを作って取り組んでいます。しかし、読者からすると販売店がそのような活動をしているという認識はとても薄い。紙面で一度紹介したくらいでは読者にすら浸透しないし、「共感を得る」までのイメージ戦略は“広報と現場のギャップは埋まらないまま”となってしまうものです。これってとても残念。

 以前から読売新聞のテレビCM「配達する力 時事川柳」編や「配達する力 エア配達」編を拝見するたびに、「(新聞の流通部門全体として)コンセプトはすばらしいけれど現実とのギャップをどう埋めるか」と個人的に感じていました。「新聞って、新聞販売店の人たちってこうなんだよ」というイメージを訴求する気持ちはその通りなのだけれど、これまでの販売店のダーティーなイメージを一新するための施策はどうか・・・。スタッフ不足に悩む販売店の現状などを考えると、このような素晴らしいCMを多くの方に共感してもらう(してもらいたいと思っています)には、まだまだ改善しなくちゃいけないことが多そうだなと思ったりします。

 これからも企業間の販売競争は続くのでしょうが、宅配網の役割や価値を産業全体として浸透させることって不可欠であるはず。でもそこには流通部門だけでは・・・という限界もある。ふんばっていくしかないですね。

▽読売新聞CMギャラリー
http://www.yomiuri.co.jp/cm/

 
posted by 今だけ委員長 at 21:13 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2014年02月16日

ツイッターで知った手本とすべき販売店の仕事ぶり

 2週続きで関東・東北地方を襲った大雪。先週の雪がとけぬ間に降り続く重たい雪。「また積もるか…」とため息しかでません。配達スタッフの疲弊度もピークに達しています。


 けさの朝刊発行については、東北自動車道の通行止めや幹線道路の渋滞で新聞印刷会社(新聞社の印刷部門はほとんど別会社化されています)から販売店への輸送が大幅に遅れることになりました。新聞配達の遅れは直接読者宅へ新聞を届ける配達スタッフによるものだけではなく、天候によって輸送トラックの事故などで遅れるケースもあります。
 今回の大雪でも南東北一円の毎日新聞を印刷する毎日新聞首都圏センター・福島工場で印刷・配送される16日付本紙および諸紙がトラックによる輸送が不能となり、欠配になったエリアが生じました(販売店には17日付朝刊と同送との連絡が入りました)。


 そのような新聞産業の流通部門の方々がご苦労をされている最中、ツイッターで発信(ツイート)された写真にエラく感動しました。


いわき市enoさん.jpg『今朝の新聞、大雪の影響で届かなかった。そのお知らせと共に、広告だけは入ってた。配達、お疲れ様です。。。』


 この方のツイートに対し、「そういうことだったんですね。今朝何も入っていない郵便受。今日は休刊日?なんて思っていました」とか、「わが家にも届いていました。広告とお知らせ。それも届くのが遅くなったのでしょう」という複数の方からの返信が続き、「手書きの『お知らせ』とチラシだけでも配ろうという販売店のやる気をを感じる」という好意的なコメントが見受けられました。

 いわき市のとある新聞販売店さんの仕事ぶりなのですが、手本とすべき新聞販売部門(不測の事態が生じた場合は販売店に委ねられますが)の行動だと思います。実際には大雪の時などは「災害時における折込取扱いの免責」が適用されるので、チラシを配らなくても広告主から免責されるわけです。でも、宅配網は新聞だけではなく、折り込みチラも読者宅へ届けるーとの使命感を持って仕事をされているということですね。

 おととしの3月12日(東日本大震災翌日)のことを思い出しました。地元紙の河北新報は緊急事態のなか新聞を発行。8ページの新聞に(12日は週末の土曜日でした)20枚超のチラシを組み込んで届けたこと。現場からは「緊急事態なのでチラシは組み込まず新聞だけで…」という声もあがったのですが、経営トップの「広告主からあずかっている商品だ。最善を尽くせ」との一言で決まりました。あの暗闇の中を分厚いチラシを組み込んだ8ページの新聞を届けてもらった配達スタッフには感謝しつつ、今回のような状況下でも同じような行動がとれるようスタッフ間の理解と協力がさらに必要だと感じます。

 その昔、先輩から「この商売(新聞販売)の優先順位は配達・集金・拡張だ」と教わりました。まずは読者との約束を守り配達して、毎月の購読料をしっかり回収して、読者を増やす営業をしていく―ということです。でも近年、内側から「配達」の仕事を軽んじられているように思えてなりません。なんか残念。


▽災害時における折込取扱いの免責について
http://www.kahoku-orikomi.co.jp/kijyunn/mennsekijikou.gif

posted by 今だけ委員長 at 21:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | きょうの喜怒哀楽

2014年02月10日

宅配網を守る新聞販売マインド/東北地連・販売正常化委員会ディスカッション報告

こんな大雪は見たことない

 8日から9日未明まで東北の太平洋側で降り続いた雪は「想定以上」でした。今だけ委員長が住む仙台市内では観測史上3番目となる35センチの積雪で、78年ぶりの記録更新。石巻市では38センチで史上2番目(91年ぶり)というから、9日付の新聞配達は想像を絶する「雪との格闘」となりました。
 今だけ委員長は昨年末にバイクで転倒し骨折した部位がまだ使いモノにならないので朝刊作業は同僚に任せましたが、ほとんどの配達スタッフが膝まで積もった雪をかき分けながら配達し、一部地域では配達終了が昼頃までかかったそうです。除雪されていない道ではバイクはおろか自動車でも走行できない状況で、作業に従事された方のご苦労は計り知れません。

プリウス.jpg 新聞販売に携わるFB友だちの書き込みを見ていると「新聞を積んだ車が坂道を登れず(梱包された新聞を)担いで届けた」、「車道と畦道の区別がつかず車が田んぼへ突っ込んだ」と大変だった様子が伝わってきました。でも、皆さんの書き込みに共通しているのは「配達が遅れて読者へ迷惑をかけないように」という気概を持っていらっしゃるということ。
 毎朝、当たり前のように新聞を届ける―。このマインドを持っているからこそ、この商売を続けていけるのだとあらためて感じました。
* * *
新聞販売店はテクノロジーの進歩を直視した経営を

 「チャレンジ2014 新聞の可能性と潜在力 人、組織、つながりの再構築」をメーンテーマに新聞労連東北地連春闘産研集会が2月3−4の両日、仙台市内のホテルを会場に開催されました。東北の新聞社に勤める労働者ら約100人が参加しました。
 東北地連(正式名称は「日本新聞労働組合連合・東北地方連合会」)の産業研究委員会は、新聞研究部、合理化対策部、販売正常化委員会の専門部で構成され、毎年2月にシンポジウムを行っています。

集会1.jpg 今だけ委員長は販売正常化委員会のパネル討論「地域における販売店の在り方」でコーディネーター役を仰せつかりました。パネリストには、福田洋介さん(秋田魁新報秋田南販売所所長)と青木慶哉さん(株式会社GEE&BEE代表取締役)という、新聞販売の次代を担う経営者との討論になりました。
 福田さんからは、秋田魁の販売店主会によるJR秋田支社とタイアップしたサッカーブラウブリッツ秋田応援列車「BB SAKIGAKE EXPRESS」の企画・運営や県内の全小学校へ秋田県地図を贈呈するなど全県規模で「地域に根ざした販売店作り」に取り組んできた事例が紹介されました。また、「地元新聞社のブランド力をもっと活用して、読者の生活圏に入り込んでいくことが重要。新聞の販促もクロスメディアを上手に展開していけばまだまだ販路は残っている」と地方紙の強みを活用し編販がさらに連携していけばさまざまな効果が生まれると述べました。

 青木さんは昨年まで経営していた読売新聞の販売店を後任に引き継ぎ、現在は新聞販売店向けのコンサル会社を設立。女性スタッフの活用とシニア層に絞った営業戦略を提唱しており、私自身も以前から話を聞きたいと思っていました。シニア層をターゲットに営業戦略を立てることは成功法だけれど、10〜20年後の新聞販売を考えると今の20〜30代の無購読者へのアプローチも必要ではないか―との問いに「テクノロジーの進歩は私たちの常識を超える。トヨタですら7年先までしか戦略を立てていないが、それは時代(技術)の変化に対応しながら経営するということ。過去の成功事例にとらわれず今の新聞販売店の強みを生かして客単価をあげていくしかない」と力説。従業員のモチベーションをあげる秘策については「読者からありがとうと言われない企業は衰退する。感謝される仕事をしていればモチベーションは自ずとあがってくる。特に女性は裏表のある仕事だと懸命にやらないと感じる。(固定読者以上に循環読者に経費を使っている現状を踏まえ)一部の読者だけにコソコソと景品を提供するような仕事ではモチベーションはあがらない」と語ってくれました。

集会5.jpg 販売正常化運動の原点は新聞社(全国紙vs地方紙)による販売過当競争や新聞社と販売店の取引関係に起因する押し紙問題などでした。しかし、昨今の部数減等による経営問題が直近の課題となり、それまでの議論を飛び越えてビジネスモデル再構築に走りすぎている感も否めないわけですが、新聞産業全体としてこれからの新聞販売問題を新聞労働者の皆さんには考えていただきたいと思います。


 「EPIC2014」が発表されたのがちょうど10年前。この間はなんとなく新聞産業界にネガティブな雰囲気が漂っていたように感じます。「(2014年には)ニューヨーク・タイムズはインターネット展開を止めエリートや高齢者のための紙媒体新聞に移行することになる」というストーリーは、紙は衰退しネットに取って代わるのだ―という将来への不安から、経営効率化に拍車がかけられた10年だったように思えます。そして、ロビン・スローンとマット・トンプソンの予言通りにはならなかった(もっと奥底では計り知れない個々人の情報蓄積が行われているかもしれませんが・・・)わけですが、「それみたことか」と揶揄するのではなく、「紙も、ネットも」現状に甘んじることなくふんばっていくしかないのです。

posted by 今だけ委員長 at 22:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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