2013年03月24日

仙台市の新聞販売事情

 先日、私が所属する販売会社のエリアにある「応急仮設住宅」での一幕。

 仮設住宅の見回りをしていた仙台市の職員が、「景品」を抱えた新聞セールスマンを目撃し、不審に思って契約をした仮設住宅避難者へ事情聴取したところ、「本意ではない契約をさせられた」との意思を確認し、契約を破棄したというものでした。
 その後、「景品をもってお年寄りに契約を迫るセールスマン(拡張員)が後を絶たない」という苦情が宮城県支部新聞公正取引協議会(支部協)へ寄せられました。仙台市内の新聞販売店主らで組織する店主会では、「応急仮設住宅への訪問セールスは行わない」という申し合わせをしているにもかかわらず、ルールを無視した拡張員が日中在宅する高齢者を狙って、景品を積んで契約を迫る。この業界の関係者(業界というくくりにすると怒られるので拡張員個人なのかなぁ)に秩序はないのか―と憤ります。


ゆたかなくらし.jpg 詳しい事情を聴こうと、仙台市消費生活センターを訪ねました。担当の方からは「これまでも新聞契約に関するトラブルは相談件数の上位にランキングされていましたが、最近になって相談件数は増えています」ということでした。「苦情が寄せられる大半はY紙系の販売行為に関するもの。何とかならないのでしょうか…」とその担当の方も呆れ顔でした。
 消費生活センターが発行する「ゆたかなくらし」(2013年・新生活特別号)の最新号にも「新聞契約のトラブルにご注意ください」(6P)という内容で相談事例が掲載されています。

▽ゆたかなくらし 2013年 新生活特別号(仙台市消費生活センター)
http://www.city.sendai.jp/shimin/syouhi-c/kurashi/147/pdf/all.pdf


 時代との乖離…。
 われながらこの業界の足元を見るとそう思います。買取る新聞部数を増やさざるを得ないために従業員を安価に雇うことしかできない販売店主。当然のことながら従業員の質は下がる一方です。(新聞社が販売店へ)モラルハザードを求めるだけの労働条件の分配がされているのか疑問でなりません(販売店経営者だけが儲けているのかもしれませんが…)。

 下の画像は、昨年末に岩手県大槌町で「大槌みらい新聞」の配達ボランティアに行った時のものです。Y紙がPRのために「月一の試読紙配布」をしているのでしょう。でも空部屋に先月配った新聞がそのまま残っているにもかかわらず、(散乱するチラシ等を見れば誰でも空家と分かるはず)次の月も新聞を投函してしまうスタッフ。莫大な景品に金をかける余裕があるなら、スタッフの人材教育(モラルの問題ですが)へ投資した方が本来の読者獲得(新聞社は読者ではなく部数にしか興味を示さないかも)に直結すると思うのですが…。
大槌仮設.jpg

posted by 今だけ委員長 at 22:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | きょうの喜怒哀楽

2013年03月10日

ワンコイン応援メッセージ第23弾は2度目の3・11に陸前高田市エリアで発行します

 東日本大震災から2年目を迎えるあす(3月11日)、岩手県陸前高田市で宅配されるすべての新聞へワンコイン応援メッセージ第23弾・陸前高田市編が折り込まれます。
 ワンコイン 陸前高田市編 3月発行.tif  日弁連 岩手編.jpeg
 震災前から4分の1まで減ってしまった陸前高田市の世帯数。新聞販売店では新聞購読者の減少もさることながら、これまで新聞折込広告(チラシ)を請け負っていたスポンサー企業も再建されず、厳しい経営が続いています。
 全国のマスコミ関係者をはじめ、自身が所属するふんばろう東日本支援プロジェクトの仲間からも応援していただき、無事に約4,000部のチラシを作成し、11日付の陸前高田エリアの新聞販売店へ発注させていただきました。


 アナログ世代への情報インフラを残さなければ…そんな思いではじめたこのプロジェクトをはじめてから2年。まだまだ被災地の復旧もままならない状況ですが、自分の財力と体力もそろそろ限界に近づいてきたこともあり、次回の女川編(第24弾)で終了することにしました。
 被災した販売店へ「カンパという」一過性の支援ではなく、チラシの組み込み作業という労働への対価として“仕事を作る”というスタイルを続けてきました。一方で、このような取り組みを通じて「折込チラシはそのコンテンツがよければ、ネットメディアとは違い手元にずっと置いてもらえるメディア」ということをスポンサー企業に感じてもらいたかった。「手元に残るメディアを毎朝、決まった時間に顧客の手元に届ける」という新聞販売店のチカラは素晴らしい機能なのだと思っています。

 あすで東日本大震災からちょうど2年。
 被災地では若手を中心に新しい試みがインターネット機能を駆使して構築されていますが、「アナログ」であることの価値も震災前より理解されてきたと感じるこのごろです。

 次回が最終号となるワンコイン応援メッセージプロジェクト。ぜひ、多くの皆さまからご賛同いただけますようお願いします。
* * *
ワンコイン応援メッセージプロジェクト第24弾 ご協力のお願い!
 ワンコイン応援メッセージプロジェクトは、被災した新聞販売店への支援と被災エリアへの情報提供を目的に折込チラシを発行するプロジェクトです。
@発行エリア:宮城県女川町エリア
A折込部数:1,500部程度
B折込日:2013年4月20日
C メッセージ受付締切:4月10日
D支援金の振込先:ゆうちょ銀行・店番818・普通口座3265931
 名義:コセキカツヤ
 ※1口500円でお振り込みください。
Eその他:メッセージは140字以内でお願いします。チラシへ表記するお名前(ニックネーム可)、所属、居住地も一緒にコメント欄へ入力してください。

2013年03月08日

伝統メディアを真摯に検証〜3・11とメディア

3・11とメディア.jpg
3・11とメデイア
著者:山田健太(トランスビュー)2,000円


 東日本大震災からもうすぐ2年。
 福島第一原発事故や学校管理下で74名もの犠牲者を出した大川小学校(石巻市)などの問題を含め、「伝統メディア」と言われる新聞、テレビなどのマスメディアが検証報道を行っています。昨年の同時期とはまた違った角度で真実を解明していただきたいものです。

 本日発売(先月末に著者の山田健太さんから謹呈いただきました)となる本書は、その「伝統メディア」と「新興メディア」(ソーシャルおよびポータルメディア)が先の大震災から2年間で果たした役割と課題が丹念な取材によって検証されています。
 原発再稼働を機に毎週末、首相官邸行われる反原発デモを新聞各紙がどのように報じたのか―紙面の比較をしながらそれぞれの新聞社のスタンスを明快に断じる一方、政府発表に依存しすぎて本来の調査報道が初期段階では全く機能せず、誤ったイメージを読者や視聴者へ伝えた(思考停止ジャーナリズム)ことで信頼を損ねたと提起されています。
 そして、「伝統メディア」が担うジャーナリズムの問題。著者も相当のジレンマを抱きながら本書を書きあげたのだろうと察します。「もっと伝統メデイアがふんばらないと…。プレスとしての役割、記者魂はなくなってしまったのか」と、喉元まで出かかっているようにも読み取れます。これが伝統メディアを真摯に批評し、検証するスタンスなのだと思いながら読ませていただきました。


 これはメディア関係者だけでなく、多くの方に読んでもらいたいと思います。伝統メディアが抱える課題を理解すると読み方、視聴のスタンスも変わり、それぞれのリテラシーが高まってくる。そういう国民全体の知の底上げのようなものが必要な時代になってきてるのだと感じています。

▽「3・11とメディア」山田健太著(Amazonより)
* * *
 「3・11とメディア」を読んだあと、定期購読している「新聞研究」(2013年3月号・日本新聞協会発行)を眺めていたら、「おっ」と思わせる手記に出くわしました。
 それは、朝日新聞東京本社社会部に所属する仲村和代さんが同誌の「記者読本2013 先輩記者から」特集(この春新聞社へ入社する方へ7人の先輩記者がアドバイス)へ寄稿されたもので、「メディアの原点に立ち返る」という題名のものです。新聞社員のソーシャルメディアとの距離感を通じて、メディアの原点を再認識したという内容のもので本音″で書かれているなぁ…と。以下に一部引用します。


「当時、取材に行くと、『朝日新聞の記者が来ました―』とツイートされ、何となく困ったなぁと思いつつもその理由を説明できず、もやもやすることがよくあった。今から思えば、困ることなんて何もない。でも、他社との競争が基準になる仕事を続けているうち、『先に書かれたら困る』、『手の内を知られそう』という感覚が身についてしまっていたのだと思う」


「取材をするのは、『新聞を作るため』ではない。情報を求める人のところに、いち早く届けるためだ。かつてはその手段が新聞しかなかったから、新聞紙面を充実させることに全力を注いできた、でも今は、ネットを通じ、もっと素早く発信することができる」


「(震災後に同社社会部もツイッターアカウントを取得し)ツイッターの活用が始まった。給水所の場所、避難生活で役立つ知識、デマの打ち消し。情報の信ぴょう性を一つ一つ確認し、発信した。反響は大きく、フォロワーは驚くほどの勢いで増えた。記事の書き方を考えるいい機会にもなった。例えば、これまでは『○○市の何か所で給水』と書いていたが、そんな情報は実際には役に立たない。『それじゃ意味ないし』。即座に返ってくる反応に、反省させられることも多かった」


「大事なのは、小手先のコミュニケーションにたけることでも、その場限りの人気を集めることでもない。何のために取材するのか。誰のために記事を書くのか。当たり前のことを考えながら、向き合っていくことなのではないだろうか。誰もがメディアとなって発信できる時代、報道機関にしかできない取材とは何かを考えるヒントが、そこにはあるように思う」


 後輩たちへのメッセージなのですが、自分へ言い聞かせているようにも感じます。新聞社という独特な職場(ある意味閉鎖的かも)で経験を重ねると、仲村さんのように感じていても組織内の暗黙のルールや立場によって実践できなくなってしまうのかなぁと思います。このような感想を書くと新聞社のデスクの皆さんから「販売店の労働者が何も知らないクセに…」と罵声が飛んできそうですが、諦めずに言い続けて行きまーす。
 仲村さんのような気概を持った方が書く記事を、新聞を読者のもとへ届けたい―こう思うのです。
posted by 今だけ委員長 at 09:11 | Comment(3) | TrackBack(0) | 書籍紹介
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