2012年06月27日

これは削っちゃいけないよ/震災で一気に削られた学校図書購入費

 消費税率引き上げを含む一体改革関連法案が今国会での可決が濃厚になってきました。個人的な感想は控えるとして、やはり被災された方の生活再建を考えると消費税率の引き上げは「マイナス」としかとらえられません。


 渦中の消費税率引き上げの採択直前に、活字文化議員連盟(会長・山岡賢次前国家公安委員長)が新聞・出版業界に後押しされて、新聞および出版物の軽減税率を求める声明を発表しました(6/21の小ブログで取り上げました)。

 活字文化を知的財産と位置付けて軽減税率を求めていますが、被災地の宮城県東松島市ではこんなことが起きています。

 今年度の東松島市の学校の図書購入費は、たった「2万円」です。
 被災地だからですか?予算がないからですか?もうただただ唖然としました。
 震災前から年々削られる学校の図書購入費。図書とのふれあいが子どもたちの成長に、いかに大事なものか、各学校も図書館も協力して推進する反面、図書購入費は年々削減。
 子どもたちの教育環境を考えない街に、市に、県に、国に、未来は無い。目先の復興も大事である。漁業・農業・他産業の復興も大事である。だがそこで暮らす人を育てずに真の復興といえるのか、子どもたちの夢や希望を育てなければ、その環境を整えてあげなければ、根を張って生きていく子どもたちの為にも、未来の東松島市の為にも。
学校図書室支援プロジェクト・川村隆弘さんより)


 震災の影響でこれまでの行政予算がひっ迫しているとは言え、これから育つ子どもたちに必要な経費まで削ってはならないと思います。このような問題を新聞はまったく取り上げてくれません(リリースを出しましたが無視です)。独自に調べた東松島市の学校図書関係予算の推移は以下の通りです(宮城県教育員会調査)
【小学校1校あたりの予算(市内10校平均)】
 平成24年度  24,000円 図書カード6.9万円分が各校に配布
 平成23年度  112,500円 
 平成22年度  112,500円
 平成21年度   99,000円
 平成20年度  113,100円
 
【中学校1校あたりの予算(市内 4校平均)】
 平成24年度  22,500円 図書カード7.75万円分が各校に配布
 平成23年度  203,000円 
 平成22年度  206,750円
 平成21年度  206,750円
 平成20年度  226,250円
※平成24年度、学校図書関係予算が減額されているのは、震災の復興・復旧を優先するためという理由とのこと。各校に配布した図書カード100万円分は、「JA和歌山マル賢みかん」さんからの寄贈です。

 こうした行政側の対応に対して、東松島市の住民の方々が「教育を考える親たちの会」を結成し、学校図書室支援プロジェクトと称して各方面からの支援を募っています。ご協力をお願いします。 
https://sites.google.com/site/tosyo311/home

 「学校図書館へ新聞を購読してもらえ」と意気込む新聞販売陣営。NIEの取り組みはこれからの読者を育てるという大事なプロジェクトであることは間違いありませんが、被災地ではこのような実態があるのです。
 軽減税率を求める前に、活字文化が重要だと紙面でぶち上げる前に、活字に触れ合う機会を減少させるような予算配分に対してもっと(紙面で)声をあげてもらいものです。

posted by 今だけ委員長 at 09:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2012年06月22日

ワンコイン応援メッセージ第14弾は気仙沼市!

 先の台風4号の影響で浸水・建物被害など一時避難勧告が出された気仙沼市。震災以降は地盤沈下した沿岸部で冠水の危険や山手ではゆるんだ斜面の土砂崩れなどの脅威にさらされています。ライフラインの復旧も含めて、これまでの生活を取り戻すにはまだまだ時間がかかりそうです。
 ワンコイン第13弾 気仙沼編A.jpeg  ワンコイン第13弾 気仙沼編A2面.jpeg
 ワンコイン応援メッセージの第14弾は、気仙沼市の販売店3店舗へ約6,000枚のチラシをお願いしました。折込日は6月23日付け朝刊となります。
 2面には、今だけ委員長が参加している「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の物資拠点にもなっていただいたコヤマ洋菓子店さんのPRに使っていただきました。被災地でふんばっているお店の応援と地域情報の発信媒体として、発行エリアにあわせて2面の活用(無料提供)も続けていきます。


* * * 次回発行協力のお願い * * *
【支援要請】ワンコイン応援メッセージプロジェクト第15弾!
@発行エリア:宮城県石巻エリア(エリアは検討中)
A折込部数:3000部程度
B折込日:2012年7月20日頃
Cメッセージ受付締切:7月10日
D支援金の振込先:ゆうちょ銀行・店番818・普通口座3265931
 名義:コセキカツヤ
 ※1口500円でお振り込みください。
Eその他:メッセージは140字以内でお願いします。チラシへ表記する
 お名前(ニックネーム可)、所属、居住地も一緒にコメント欄へ入力し
 てください。

2012年06月20日

受託印刷はこれまでの「臨機応変」な対応が排除されるということ

 自然災害には太刀打ちできないと、昨年の大震災以降ひしひしと感じているところです。
 けさも台風4号が直撃するということで新聞配達作業中の事故を心配していましたが、大きなトラブルもなく順調に配達されたようです。ググってみたところ、栃木県で配達作業員が業務中に軽傷を負ったというニュースも。お大事にしてください。

▽新聞配達中の50歳代女性が軽傷 台風4号被害
 県消防防災課の20日午前7時45分時点のまとめによると、台風4号の影響で、真岡市でバイクで新聞配達中の50歳代女性が強風であおられ転倒し、右肩に軽傷。住家被害は宇都宮市中岡本町で一部損壊一棟、日光市下鉢石町で床上浸水1棟、那須塩原市塩原と日光市上栗山で計4棟が床下浸水した。非住家では佐野市の車庫1棟が倒壊した。那須塩原市の1世帯3人が自主避難した。
 道路関係では、通行止めになっていた国道120号線第1いろは坂が20日午前4時半に解除された。(下野新聞6/20付)
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20120620/809065

 宮城県内では午前5時頃には(強風の余韻はありましたが)雨もあがり、きのうの時点で休校を決めていた児童や生徒の通学もないため、交通量も少なくいつもより通勤はスムーズでした。
 台風などは、あらかじめ来襲することが把握できるため、新聞発行も降版時間を早めるなどの対策を講じることも可能ですが、近年、印刷現場(新聞社が別会社として設立した印刷センターなど)で取り組まれている「受託印刷」という環境下だと、そう簡単に販売店への店着時間を早めることはできなくなります。単独印刷から複数印刷で生じるリスクでもあるのですが、仕事を請け負うということは「臨機応変」という言葉が排除されることでもあります。(降版の順番を視野に入れた)システム面、輸送態勢など決まったアウトラインをずらすことは、受託先との関係もあって相当難しいもの。
 この辺を理解していても販売と編集では「早く販売店へ届けろ!」「中途半端な紙面内容では降版できない」と、同じような綱引き(議論)が行われているものです。解決策は印刷職場の増員、輸送トラックの増便という原資を増やすことしかないのだと思います。

 ここで評論しても仕方ないのですが、(紙の)新聞は「物」なので、読者の手元へ安定供給できる体制を[「読者優先」を起点に編販一体で考えたいものです。

posted by 今だけ委員長 at 12:41 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2012年06月19日

3.11大震災時のメディア産業の内側を伝える/文化通信特別縮刷版

 文化通信縮刷版.jpeg
その時メディア産業は―東日本大震災(文化通信 特別縮刷版)
発行:文化通信社(1000円)

 新聞のみならず、それぞれの産業に特化した情報を伝える業界紙。
 昨年の震災以降、被害に見舞われたそれぞれの産業をどのように報じたのか、記者の目線が試されたのではないかと感じてていました。産業界とつかず離れず、お手盛り記事が多いといわれる業界紙(睨まれるとその逆も)にあって、新聞業界の内情を報じるのもこれまた難しいわけです。しかし、被災地の状況を伝え続けた新聞社、配達し続けた販売店を内側から報じた業界紙も新聞産業のアーカイブ機能としてとても参考になります。

 文化通信特別縮刷版は2011年3月21日付から6月6日までの紙面から、(新聞、出版分野の)メディア産業の動向を伝える記事がピックアップされています。電子データで保存しておきたい気もしますが、やはり「紙」で持っておきたい1冊です。
posted by 今だけ委員長 at 07:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2012年06月13日

訃報 ヤメ記者弁護士・日隅一雄さんが死去

 訃報です。元産経新聞記者で弁護士の日隅一雄さんが12日、お亡くなりになりました。

 日本のマスメディアを憂いマスコミ労働者に対する辛口なエールを送り続けてくれた方でした。東日本大震災以降は、福島第一原発事故に関連して政府や東電の責任を追及され、病気を抱えながら記者会見へ出向いて行かれたそうです。

 一度、日隅さんの講演をうかがったことがあり、ご自身が運営されているブログ「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄」でのスパッという物言いとは違った印象を持ちました。小ブログにもコメントやトラックバックなどを送ってもらい、いろいろご教示いただきました。
 

 お疲れさまでした。安らかにお休みください。合掌
 
PK2012061302100037_size0.jpg弁護士・日隅一雄さん死去(東京新聞 6/13付より)
 昨年三月の東京電力福島第一原発事故直後から、政府や東電の責任を追及してきた元新聞記者で弁護士の日隅一雄(ひずみ・かずお)さんが十二日午後八時二十八分、入院先の東京都新宿区河田町八の一の東京女子医大病院で死去した。四十九歳。昨年五月、末期胆のうがんで余命半年と告知されていた。広島県出身。
 京大卒業後、産経新聞記者を経て一九九八年に弁護士登録。第二東京弁護士会に所属。NHK番組改変訴訟や沖縄返還密約情報開示訴訟などに携わる一方、弁護士やジャーナリストらで設立したインターネット市民メディア「NPJ(News for the People in Japan)」編集長を務めた。
 十二日に亡くなった日隅一雄さんは、弁護士として「表現の自由」や「知る権利」の実現に奔走する一方、ジャーナリストとして福島第一原発事故の問題を追及し、ブログなどで発信を続けた。東電や政府の記者会見に足を運んだ数は延べ百回以上に上る。
 会見への出席は「市民に必要な情報がきちんと出ていない」との危機感を募らせたことが発端。既存のメディアにも問題を突きつけていた。
 今年二月、東京新聞のインタビューでは「今は政策決定が官僚主導。『主権在官』になっている」とし、国民が情報を得にくい制度に問題があると指摘。「市民が情報共有して主権を行使できる社会にし、日本に実質的な民主主義を根付かせなくてはいけない」と強い口調で説いた。
 一方で「今の記者はおとなしすぎる」と憂い、「官僚は常にメディアをコントロールしようとする。勝たなきゃだめだ」とも訴えていた。
 今年一月に「検証 福島原発事故・記者会見」(共著)、四月には「『主権者』は誰か」を刊行。病をおして対談や講演に出向き、真の民主主義の実現に最期まで執念を燃やした。

 東京共同法律事務所の同僚で前日弁連事務総長の海渡雄一弁護士は訃報に接し「日隅さんとは一緒にたくさんの仕事をした。本当によく働く誠実な人でジャーナリスティックな視点で訴訟に取り組んでいた」と話した。

▽日本のメディア労働者よ、立ち上がれ!〜カナダ公共放送局労組勝つ
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/80bec53c55599e873c928fe3706343cd
▽道新が「自殺」した経緯〜労働組合の報告から
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/3f32cbdcb2dae5d7b4be3749c6a14efc
▽政府・企業にがんじがらめにされている日本のマスメディア
http://minihanroblog.seesaa.net/article/97968567.html

posted by 今だけ委員長 at 23:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年06月02日

目的はサービス向上か収益確保か 下野新聞が直営のカフェオープン

 新聞社が新たな事業展開をする際に「読者サービスおよび拡大のため」なのか、「儲けを優先させる新たな収入源の確保」のかといった議論が会議の前段でされることがあります。

 これまでほとんどの新聞社は、(紙の)新聞発行以外の事業で儲けようという発想は希薄で、地域貢献的な使命感を引きずりつつ採算度返し外視の催事を行ってきたわけですが、それは経営的にも安定していた時のはなし。さらに言うと、新規事業を考えるにしても編集出身者が多い経営幹部は、突拍子もない提案を受け入れるはずもなかったのでしょう。良い意味でとらえれば、冒険せずに紙一本で収益をあげてきた(これまではあがっていた)とも言えます。
 ネット社会に直面し、新聞社の(経営を支える)ビジネス展開も変わりつつあるものもあれば、変わりようがないものもある。でも、最近思うのです。商品の「安売り」だけはしない方がよいと…。


 下野新聞社(栃木)が宇都宮市内の繁華街にコミュニティースペースを1日、オープンしました。
 新聞協会広告委員会が実施している「
私の提言―明日の新聞広告・新聞ビジネス」で、第1回目最優秀賞を受賞した北海道新聞社広告局の松久貴紀さんの提言「ニュースカフェの創設〜新たな拠点メディアとして」を参考にしたのかなぁと。
 下野新聞NEWS CAFEは読者サービス(拡大)の視点なのか、はたまた新たな収入源確保が起点なのか、とても興味のあるところです。

宇都宮に「下野新聞NEWS CAFE」を開店(6/2 下野新聞)
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20120601/796568

posted by 今だけ委員長 at 08:10 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2012年06月01日

ニュースを、さわろう/毎日・スポニチの新デジタルニュース媒体TAP-i創刊

 「8月末まで無料」という言葉にひかれて、つい登録しちゃいました。
 毎日新聞とスポーツニッポンがスマートフォンやiPadなどのタブレット型PCに特化したダウンロード型コンテンツを提供する「TAP-i」(タップ・アイ)。キャッチコピーに「ニュースを、さわろう」というだけあって、日経や朝日が展開する「デジタル新聞」とも違った感じがします。ニュースを(音声で)読んでくれるサービスや紙面に掲載されないネタも提供されるようです。多機能であることは間違いないのですが、使いこなせるかどうかが問題かと…。
まずはお試しで3ヵ月。いかがでしょうか。

 TAP-i総合案内はコチラ→ http://www.mainichi.co.jp/tap-i/

【サービス概要】
 TAP-i(タップ・アイ)は、容易な操作で毎日のニュースや情報に「さわって」ご覧いただけます。美しい多数の写真を、臨場感のある高画質でお届けします。
 毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社が協力し、紙面には掲載しきれない多数のスポーツ写真やマイナー競技などもお届けいたします。また、動画やアニメーションキャラクターを駆使した音声読み上げニュースもあります。
 一見、何の動きもない画面をさわっていただくと変化が起きるなど、最先端の端末の機能をフル活用したコンテンツを提供します。
 紙面にはあまり掲載されない芸能ニュースや海外の話題も豊富に盛り込んでいます。気になるページは新聞のようにスクラップしておくこともできます。
 TAP-iは、Webサイトではありません。ダウンロード型のコンテツです。iPhone、iPad、iPod touch、Android端末でご覧ください。
 毎日新聞本紙と併せてご購読いただければ、月額500円と割安料金で提供致します。新聞の一覧性と、新聞では扱えないコンテンツ。双方の特徴を生かした情報収集が可能になります。
 さらに、Facebookやtwitterなどソーシャルメディアとも親和性が高いメディアです。読んで、見て終わりではなく、あなたのお友達や知人と情報を共有していただき、使えるニュースを目指します。


▽毎日・スポニチ 新デジタルニュース媒体「TAP−i」 紙を読まない世代にアピール(新聞通信 5/31付)
 毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社は5月25日、新しいデジタルニュース媒体「TAP-i(タップ・アイ)」を創刊した。価格は月額900円で、毎日新聞の購読者は月額500円。8月末までは「お試し期間」として無料で利用できる。TAP-iは両紙の記事、紙面に掲載していない写真や動画ニュースなどを配信するほか、CGキャスター「アイ」が毎日、ニュース原稿を読みあげる。記者会見で、毎日の増田耕一常務執行役員コンテンツ事業本部長は「これまで新聞を読んでいない人に触れてもらうため、千円を切る価格に設定した」と話した。今年度末で3万部を目指すという。

posted by 今だけ委員長 at 21:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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