2012年03月24日

経営効率が引き起こす危機管理の不備

 新聞販売の現場で最も大切なことは、読者との約束を履行すること。なかでも「配達時間を守る」ことは最重要の課題です。
 東日本大震災から1年が経過したいま、降版時間も通常ダイヤに戻り、できるだけ最新のニュースを紙面へ収納して読者の手元へ届けようと、新聞社、印刷会社、輸送会社、販売店の四位一体でふんばっています。

 読者と直接かかわっている販売店の立場からすると、店着時間の遅れは大きなリスクを伴います。以前にも書きましたが、店着時間が30分遅れると配達作業が約60分後ろへずれ込みます。悪天候による流通部門(新聞輸送)の遅れについては、物理的に仕方がない要因(読者もある程度許してくれる)でもありますが、ほかの理由で店着が遅れてしまうケース(選挙、スポーツの結果掲載など含む)に対しては、早めの連絡体制は必須です。
 「輪転機故障のため店着が○○分遅れます」。そんなファクスが届いた場合は、当たりようのない憤りをかみしめながらも、新聞産業の最終アンカー役として代配要員を配置するなどの対策を即時に講じるものです。


 紙ベースの新聞産業は言わずもがな、取材から新聞配達までのことを指します。お互いのミス等があればそれぞれが補い合って、読者に対して最善の策を講じることが組織力なのだと思います。いわゆる危機管理の徹底です。店着が大幅に遅れるという連絡が入れば複数の従業員を緊急に呼び出し、配達完了時間をできるだけ早める努力をするのも販売店の使命だと思っています。
 しかし、連絡もなしに店着時間が遅れると、現場では大パニックを起こしてしまいます。人間が携わる作業ですからミスが発生するは仕方ないのですが、そのようなミスが生じた場合の危機管理体制が整っていない場合は、既存の体制で対応でき得る作業量をオーバーしているのではないかと検証する必要があると思います。経営効率を過度に重視して「やれます」とか、「経費を圧縮するためにはこの程度なら大丈夫でしょう」と豪語する現場を知らない方たちの意見ではなく、実際に混乱する販売店の現場の意見や、新聞を待ってくれている読者の声に耳を傾けるべきだと思います。


 新聞産業も合理化による人員削減の流れはますます進むと思われます。ギリギリの人数でそれぞれの職場で業務に携わる方々が、問題意識を共有し、危機管理に必要な体制作りをしっかり考えたいものです。内向きではなく、読者を向いた発想で…。

posted by 今だけ委員長 at 07:55 | Comment(4) | TrackBack(0) | きょうの喜怒哀楽

2012年03月11日

3.11大震災から1年 まだこれからです/ワンコイン応援メッセージ第11弾は大槌町エリア

 3月11日を迎えました。東日本大震災から1年、この度の震災で犠牲になられた皆さまに哀悼の意をささげます。合掌


 行方不明者を含めると約2万人が犠牲になったあの大津波の惨状から、まだ多くの被災者がつらい気持のまま「生きるため」にふんばっています。私も津波で伯父と伯母を含む大切な知己を多く失いました。でも下を向いてばかりではいられません。「前へ、もう一歩前へ」という気持ちで、自分にできることをやってきたつもりです。
 多くの人との出会い、つながりを大切にしながら、被災された方が一日でも早く自立した生活を送れるように願い、復興のお手伝いを続けていこうと思います。

 まだ1年。これからです。

* * *
ワンコイン応援メッセージ第11弾を発行しました!
 ワンコイン大槌町編 1面.jpg ワンコイン応援メッセージ 大槌町編2面.jpg
 きょう3月11日、岩手県上閉伊郡大槌町エリアで発行します。岩手日報などの販売店で約1,880部のチラシ(実際のものはモノクロ印刷)を当日の新聞へ折り込んでいただきます。

 昨年5月に女川町の梅丸新聞店さん(阿部喜英所長)からはじまったワンコイン応援メッセージプロジェクトも毎月発行することができました。これまで、延べ301人の方から応援メッセージのご協力をいいただきました。あらためて感謝申し上げます。
 引き続き、被災した新聞販売店の支援に向けてワンコイン応援メッセージプロジェクトを続けてまいります。できるだけ多くの皆さまからのご協力をお願いします。

2012年03月08日

読者との「約束」を守ることが「共集・共配」の大前提

 新聞社間の受託印刷が加速する中、さらに下流の宅配部門も販売店間の協業的取り組みが否応なく進んでいます。
 まずはこのニュースから。


▽ASA転進支援、145人が応募
(新聞通信 2月27日)
 朝日新聞社は1月末で、販売環境が悪化している地域の所長を対象に導入した「ASA転進支援制度」への応募を締め切った。全国から145人の応募があった。応募した所長の平均年齢は58歳、平均店歴は16年。本支社別の内訳は北海道6人、東京25人、大阪54人、西部60人だった。飯田真也常務取締役販売担当は「制度実施に際し、高齢化が進み、人口が減る地方の戸別配達を揺るぎないものにするため各社が協調して『共同配達・合売化』を行う必要があると訴えたところ、多くの新聞社から賛同を得た」としている。朝日と提携するのは読売新聞、毎日新聞、北海道新聞、東奥日報、山形新聞、福島民報、河北新報、信濃毎日、北日本、北陸中日、中国新聞、山陰中央、愛媛新聞、徳島新聞の14社。
 紙勢の伸長が期待できるエリアについては、同系統の吸収・合併により専売店制を維持していくようですが、過疎地域など配達経費がかさむエリアなどは他系統へ委託して経営的な効率化を図っていくという方向です。


 一方、販売店従業員の労働人口も年々減り続けています。


▽新聞販売所従業員総数 ピーク時から10万人超減 過去最大の減り幅(文化通信 2月13日付)
 日本新聞協会販売委員会はこのほど、2011年10月現在の「全国新聞販売所従業員総数調査」をまとめた。調査結果によると、従業員総数は前年より1万4337人(3.7%)減少し、37万7495人に。15年連続の減少で1996年の48万3286人をピークに減り続ける中、最大の減少率となった。新聞販売所の数も前年より425店(2.2%)減り、1万8836店だった。新聞販売所も09年調査で、2万店を割り込んでから減少傾向が続いている。
 宅配される新聞部数(定期購読者数)が減少傾向にあるので、必然的に配達スタッフの数も減っていくのですが、経費削減で配達エリアの統合(これまで2区域を2人でやっていたものを1人で行うなど)が進められ、逆に店着などの遅れを吸収(代配などで配達終了時間を守る)することが困難になったり、配達労務難を招いているケースもあるという話しも伝わってきます。


 系統を超えた販売店同士の共同配達、共同集金は今後ますます進んでいくと思われますが、読者に対して配達時間を守ることや決まった日時に集金へ伺うなどの「約束」をしっかり果たすことが大前提です。日常の習慣に組み込まれている新聞だからこそ、流通部門の受託体制はしっかり整える必要があるのです。その辺のシミュレーションをしっかり描きながら、販売店間の信頼関係のもと「共集・共配」に取り組んでいくべきだと感じています。

posted by 今だけ委員長 at 06:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記

2012年03月07日

個人をつぶす構図がマスメディアには存在しているのかも…

  メディアの罠.jpg
メディアの罠
共著 青木 理、神保哲生、高田昌幸(産学社)1,500円


 フリージャーナリストとして活躍する三人が日本のマスメディアの危機的現状について語った1冊です。これは新聞人にぜひ読んでもらいたい。ネット上や一部の論者(ときにOBの妙な暴露本)が一方的に発する表層的かつ感情的なメディア批判とは違って、「公共財」としての新聞(メディア)の責務が論じられています。

 第一部の「崩壊するメディア」、第二部には「福島原発事故と報道」で構成されていて、各氏の問題意識は「それぞれの新聞社でこのような問題意識はされているのだろうか…」と真正面からの問いかけであり、期待でもあるように感じます。
 246頁におよぶ対談は圧巻です。「新聞社あっての記者」、記者クラブ発表(行政・大企業)を1字の間違いもなく紙面に載せることに追われる日々に嫌気をさしている若い記者に対して、新聞社という組織では教えられることのないOJTが詰まった応援メッセージとしてお勧めです。

 青木氏の言葉が印象的だったので一部引用します。
 「これまでは試験管の中でぬるま湯につかり、安逸を貧ってきた大手メディアが経営的な危機に瀕した時、その内部で既得権益にぬくぬくとしていた連中は、懸命にその権益と自らの組織を守ろうとする。すると、真っ先に切り捨てられるのは、いわゆる真っ当なジャーナリズムj機能ではないでしょうか。調査報道だったりとか、地味だけれど大切な人権や平和問題に関する取材・報道とか・・・」

 読者や情報の受け手は、「新聞社あっての記者」から「記者のチカラ」に注目する時代へと向かっているのだから、新聞社の労働条件にあぐらをかき、社内政治に精を出すエネルギーを持て余している余裕があるのなら、もっと読者に向き合ってもらいたいと願うばかりです。
http://sangakusha.jp/ISBN978-4-7825-7000-5.html

posted by 今だけ委員長 at 07:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
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